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住宅関連記事・ノウハウ

建築家 天野 彰 家相が気になる?気にさせられる?

1 注文住宅だからこそ、「家相」は無視できない

土地探し、好みの設計者選びによって、土地の選定が行え、契約も終え。いよいよ家のプランニングも本格化してプランもほぼ出来上がって来ます。ここで家族の誰かが、家相は?などと言い出してきます。それって気になるの?家相に合わせなくてはいけないの?やはり何かあったら家相は気になるしねえ?などと喧々諤々となります。ときには母や親せきなどのスポンサーたる誰かしらが家相に従ってなくては応援できないなどと経済封鎖も起こります。

家づくりはこうした家相に係わらず、いろいろな制約が出てきます。まずは近隣などとのバランスや地域全体としてわが家を観ることなどがこれで、法外に建てればそれなりに費用がかさみ、防火や災害に配慮も必要です。今決めたプランが果たして家族皆の将来のためになるか“春夏秋冬”住みやすいか?

不可解な鬼門や昔からの言われなどを周りから言われ、一時設計の作業が中断してしまうこともあるのです。家相と言いながらも拙速に生涯住む高額な家の間取りを決めてはならない!と言う古来からの家づくりの慎重論とも思われ、これを単なる縁起担ぎや占いのためとばかり言ってもおれないのです。しかし私は家相はあると断言するのです。実際に家を建てても建てなくても、身の回りには不運なことや思わぬ事故にも遭遇することもあるのです。そんな折、家相が悪かったのではないか?とか、家族や人に言われると気になるものです。なぜならそれが言われるように、マンションや建売のように誰かが建てた家に住むのとは訳が違って、家づくりにはそれ相応に思い入れや、初めて経験するような苦労が多いのです。だからこそ家を自ら建てた人は、人生を達観したような達成感があるようなのです。

長年家づくりのお手伝いをしていると、僭越ながら、建て主が初めてお会いした時に比べ、建てて住んで驚くような成長をされるのを幾度も感じているのです。

2 家相は住まい方の「科学」

私は1人の建築家としてではなく、1人の住まう人として、家相を観ることにました。すると実は鬼門を冒してはならない!などとする家相家の極論が人々に不安感を与え、気にさせて本来の家相の真実を覆ってますます不可思議なものになっていることが分かったのです。同時に、はるか古来からの家づくりや伽藍づくりの教本のようであり、清家清氏が言う、家づくり、住まい方の科学であることも分かって来たのです。

とは言え、なにも難しいことではなく、自然の摂理。避けては通れない四季と東西南北の絶対方位の長年の災害や安全の暮らしの知恵の合理的なことばかりであることも解かって来るのです。

絶対方位である東西南北の方位四神の図
絶対方位である東西南北の方位四神の図

3 家づくりは東西南北に目を向け、積極的に「家相」を活かす

家づくりのプランニングにはいろいろな制約やよく分からないことが多いものです。特に将来どうなるかを考えると迷うことも多くなかなかプランが決まりません。まさに迷信であろうと思いながらもその“障り”や良さそうな方位をプランに当ててみると、何やら自然の摂理や、避けては通れない四季の様子が見えてくるのです。四季ごとの太陽の位置や陽の高さ、風の動きまでもが想像されて、そこで家の周りの東西南北を考えることが何より重要と思えてくるのです。しかも家づくりならではの絶対方位があり、先人たちの長年の災害や安全などの暮らしの知恵など合理的かつ科学的なことが多いことも解かって来るのです。

そこでまず「鬼門」に例えられる障りをいかに避けるかを考えようとします。鬼門を避けるのではなく鬼門がそこにあると何が悪いのかを考えて見るのです。その上で他の方位の利点や欠点も探ってみるのです。言い換えれば積極的に「家相」を活かしたプランニングすればよいと思うのです。そうして自分たちの住みたかったもともとの場取りの連鎖をつくり出してみるのです。その土地の環境を考慮しつつ建築基準法などの法制限と同じように家相の一通りの決まり」を守ってみるのです。

イラスト「場取り」の鎖(画:天野彰)
「場取り」の鎖(画 天野彰)

4 「家相」は古来からの暮らしの知恵をまとめたもの

すると家相の真の法則のようなものが見えてくることもあるのです。なるほど玄関を開けたらいきなり寒い北風が入ってくるよりは暖かく明るい方向に向かった玄関の方が良さそうだとかキッチンも明るく温かいキッチンの方が朝食をつくるときも気持ちがいい。などなどです。

しかもなるほど家の中の人の居場所や暮らし方も何となく家相の吉凶のとおりのような気もしてきます。明るく陽の当たりが良いリビング・ダイニングや、お年寄りの部屋は一日中陽が当たり風通しの良いとろが良いとか、さらには火を使うところは北風が入ると、もしもの時に火が回りやすく煙や臭いも家中に充満してしまいます。同じことが湿気の多いところもその方位にあると家中が湿気ってしまいそうです。なるほど家相は古来からの暮らしの知恵、生活科学なのか!と思わせるのです。

家族中心のプランがやっと煮詰まってきたころに、家相は古来からの暮らしの知恵で生活科学なのか!と気付き、慌てて「鬼門」だけは最低でも避けようと「家相盤」を引っ張り出して今のプランに当て嵌めようとします。しかし、住まいの各方位の差しさわりなどは家相盤でどうにか分かっても、果たして肝心の家相の中心はどうやって決めたらよいか、さらにはよく言われる「張欠」とは一体どんな形のことかと言った疑問が起こります。

多くの家相家の障りを平均した天野式家相盤(画:天野彰)
多くの家相家の障りを平均した天野式家相盤(画 天野彰)

家相盤を改めて観てみますとなぜか家相盤は南(午)の方向が上で北(子)が下と言うことになります。人は南に向いて暮らしているとでも考えれば分かりやすく納得が行くかもしれません。実際に子の刻とは真夜中の12時あたりで反対の日中の12時は午の刻と言うと理解できます。なるほど住まいには陽の当たる真南と真夜中の真北で出来ていると言うことです。

実際に住まいの設計では我が事務所ではほとんど上が南で下が来た方で南北が逆に表示されているのです。朝起きて東から陽がのぼり、そして西に陽が沈むまでの日中で、太陽と人の暮らしとを表しているのです。こうして「鬼門」を見るとなるほど北東が正鬼門で、南西方位には裏鬼門があるのです。家相盤はその方位を24等分に分け、各方位を15度づつに割るのです。そこに各方位を真夜中から時計回りに子(ね)丑(うし)寅(とら)・・・と、十二支で名付け、それらに挟まれる45度の方位は8等分となり、その方位の北東を丑寅(うしとら)、対する南西を未申(ひつじさる)の鬼門とするのです。時間と方位の24方と、東(卯)西(酉)南(午)北(子)の四方とその十二支に囲まれる八方から細かくその縁起を表すのです。この辺りから十二支十干(じっかん)の八角となり人と方位、時間の日時さらに年の暦となり、それが八卦となり占いの感覚ともなるのです。時間と方位の24方と、東(卯)西(酉)南(午)北(子)の四方とその十二支に囲まれる八方から細かくその縁起を表すのです。この辺りから十二支十干(じっかん)の八角となり人と方位、時間の日時、年の暦となり、それが八卦となり占いの感覚ともなるのです。

5 家相盤から方位の中心と基本方位をを決める手順

家相の中心はバランスを図る(画:天野彰)
家相の中心はバランスを図る(画:天野彰)

古来からの人間・時間・空間とも言えるのです。従ってこの方位盤は八角盤あるいは方位盤とも言え家づくりでは重視するのです。そこで肝心の中心はまず磁北ではなく真北に合わせ、その中心出しはイラストのように、凹凸を平均して大きく対角線で決めなど、いろいろな方法があり、各家相家にはそれぞれの流派があるようですが、私どもは図の下の各ブロックの中心を出しその点を結ぶ方法や、建て主にビジュアルでも納得が行くようにプランの裏に厚紙を張り、それをカットして鉛筆などでその重心を正確に探し出す手法を用いることもあります。

そしてプランの「張り欠け」ですが、これは家相では鬼門を探るときに一番に注意するところとなり家相盤でも一番内側に記されています(イラスト)之もプランの大きく見てだいたい辺の三分の一以下の凹凸を張り欠けと言いどちらも鬼門などに障らないようにすることです。その謂れはやはり風の通りや日陰など住まいに支障のある場合について言われたもののようで、イラストのようにできるだけ欠けが生じないように注意することです。

張り欠けは中途半端な欠けを重視(画:天野彰)
イラスト:張り欠けは中途半端な欠けを重視(画 天野彰)

さてこうして基本法則が適合したところで先ずは玄関や水回りなどを鬼門を避け、さらに家相盤で色が濃く障りがある方位にそれぞれの部位をできるだけ外していく程度でいいのです。

6 簡単に鬼門を避けるプランへ変更する方法とは

このプランで設計し見積もりまで出来たところで、実家からの援助を断られました!と、聞けば家相が悪いと言うのです。図面が終了し予算オーバーの頼みをしたところで親が知り合いの家相家に見せたところ、鬼門など余りの悪さに両親も驚き応援を断られたのです。経済封鎖です。実はそんな家相のトラブルや不安を持つ人は多いです。そこであまり大幅なプランを変更をせずに予算にもあまり響かない鬼門の上手な避け方について考えてみましょう。

今建てようとしていた建物のプラン、見れば図の右の元のプランは台所などのコンロや水回りがすべて鬼門に障り、玄関は裏鬼門となっていたのです。なるほどこれではどの家相家も吉とは言わないはずです。

鬼門だらけのプランを回転して?一挙解決(画:天野彰)
鬼門だらけのプランを回転して?一挙解決(画 天野彰)

そこで彼らが練った理想の住まい方をあまり変えることのないように、今のプランのまま東西を思い切って、回転し、そのままで家相をクリアしたのでしたが、階段周りを変更して小中庭をつくり開放感のあるプランにして、家相をすべて障りのないようにして、結果、親の援助を無事得られたのです。その後決まった工務店とも話し合って中庭をつくるなど台所をさらに快適にしたのです。

7 建築家や施工会社に依頼する前に、少しだけ「鬼門」を気にして要望をまとめる

家づくりでは普段占いや年回りなど、縁起にまったく興味のない人が突然「鬼門は大丈夫?」などと家相を気にされることが多いのです。いい家のプランを考えるとき玄関や水回りなどの位置を決める際あれこれ迷ったり決断をするときに、なぜか家族や親友などの意見や家相についての体験談などが脳裏に浮かんで気が付いたら「家相の本」を買ってきたりするのです。生涯に幾度ともない大きな買い物であり、一度決めたらこの先何年も住むことになりやはり緊張と不安に駆られることが多いのです。

まずは自分の住みたいように家族とプランを模索して考え、それをもとに鬼門などの障りがあるところを少し調整し、その上で正式な実施設計図を専門家につくってもらえばいいのです。これをせずにすべての設計図を書いて見積もりまで取った後に家相のために大幅な変更をすることは大変です。

住んでいて人に言われたり、何か家族に異変でもあり始めて家相が悪いのでは?と思うことの方が辛いものがあります。

実際にそんな理由でリフォーム相談を受けることも多いのです。不思議なものでそうした家のプランを見るとなるほどこれは問題だと思うことも多いのです。家に行ってみるとなぜか暗く風通しも悪い家が多いのも驚きです。
鬼門など家相を気にするとますます不安になり、そんな気分になってしまうのです。しかし実際のプランニングで鬼門などあらゆる家相上の障りをはじめから気にするとまともなプランなどできません。

8 陽当たり、風通しが抜群な家相の気にならない家

こんなことからまったく家相のさわりのない家を考えたこともあるのです。まずはその模型の写真をご覧になればお分かりのとおり丸い建物でしかも回転をするのです。なるほど家相などまったく気にもなりません。しかも全方向が開放的なガラスの家で前室日当たりもよく、夜になると地下に沈んで行くので安心です。残念ながらまだこの家を実際に建てたことはありませんが、そもそもが地震や台風などの災害に備えたものですがこうした自由な発想を持って家を生活優先で考えていただきたいものです。

鬼門のない回転する?(画:天野彰)
鬼門のない回転する?(画 天野彰)

これほどの絶対方位の家ではありませんが家相を気にされる家族のために図のようなプランの家を実際に建てました。ひまわりの家と名づけたのですが、あらゆる家相をクリアし、どの部屋も陽当たりや風通しもよくまさしく向日葵のような家となったのです。実際に芸術家である家人からは住みやすく気に居られているようなのです。

ひまわりの家プランと写真(三重県津市  設計:アトリエ4A)
ひまわりの家プランと写真(三重県津市  設計:アトリエ4A)>

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

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