無料新規会員登録

掲載情報件数

完成事例 1478 件 | ハウスメーカー 23件 | 工務店 68件 |建築家 11 件 | リノベーション

  1. HOME注文住宅のハウスネットギャラリー
  2. 住宅関連記事・ノウハウ TOP
  3. 設計のヒント
  4. 人生百歳元気で快適に住む「今何が必要か?を考える」

住宅関連記事・ノウハウ

建築家 天野 彰 人生百歳元気で快適に住む「今何が必要か?を考える」

令和になって早1カ月が過ぎ去りました。しかもその間にも国際情勢はあちこちで緊張し、国内では人口が確実に40万が減りそのスピードはさらに増すと言われている人口減のみならず高齢化がさらに進むと言うことが大きな懸念です。一方で、各地の空き家は800万軒を超す勢いで。核家族化が進んで、親たちの土地や住まいは廃墟と化し、その街や村もさらに過疎化し負の資産が増え続け今までの価値観が変貌しているのです。こんな由々しき状況の中で若い世代も、政治も行政も、さ肝心のメデアさえも目先の興味を引く出来事やトピックスだけを取り上げ、ただ伝達するだけで済ませている感がするのです。

今まで多くの家や建物を設計し、都市や社会の関係性を身に感じて勤めて来た職責が自身も高齢化して今ひしひしと感じることが「家族」です。家族あっての家庭であり、街であり社会なのです。そこからはじき出された荒んだ家族の問題や高齢者の車両事故、年金をめぐる財務経済の長の「老後は2000万円不足する」発言であり、これを高齢者の数を掛け合わせるだけで完全に国家滅亡の危機であり、人生の危機を誰もが感じるのです。しかもこの悲壮感がわが国だけではなく、世界的にじわじわと起きていることなのです。

1 日常の生活を見直すことで家づくりに必要なものが見えてくる

せっかく核家族となって新生を夢見た若者たちも気が付けば、わが子育てのみならず夫婦双方の老いた親たちを抱きかかえて生きて行くことになるのです。一時流行った?地域創生やふるさと再生も小耳に良い言葉遊びだけで何の実態も成果も感じられないのはそのせいでしょうか?そこに何の想像も具体的な手立てもなく、企業も政治も小耳に良い再開発やオリンピックはては万博などと目を引くイベントを立ち上げてもかつてのような国民的なレガシ-もなく、またそれを感じ取ることさえできないのです。

その最たるものが自動運転をはじめとするAIであり、それがまるで企業が生き残る為の巨大な投資であったり、「都民ファースト」、それらが単に企業間、政党間果ては国家間のキャンペーンとしか思えず誰もが失笑し失望しているのです。「ファースト」と言うなら、それこそまずは「わが身ファースト」であり、「わが家ファースト」で、そのためにわが家族をどうするか?わが親をどうするか?そして親はわが子、わが孫の将来を考え日常の生活を根本から考えることではないでしょうか。

企業に勤める人は投資家ではなくわが身わが家族のために何をすべきか、行政に係わる人も自分のこと、さらにわが子の為になるかが一番でその方針や政策が見えてくるはずです。「AIは便利の為ではなく、高齢者の運転を徹底補助し、異変を感じ取り、子どもたちの命を救う。家づくりや再開発も子どもたちや老人を見守る安全環境開発とし、企業も従業員の子育てや家族を支援し、その高齢者を雇用するなど、「ホンネのファースト」とするのです。

これは理想論のようなのですが、実はこれらは私たちが昔からやってきた当たり前のことなのです。これで人々の価値観が変わり今必要なことが何かを見つけ、家づくり、家庭づくりに必ず生かされるはずなのです。ではそれは一体何なのか?

2 乾いた空気の季節、潤いのある室内空間を

緊急事態宣言発令前の寒くなったころ、新築の住まいやマンションさらに病院福祉施設などに訪問して気になったことがあります。それこそ家のにおいです。マスク越しにもなぜか新建材や塗装のにおいが気になるのです。ひどくはコンクリートやセメントのにおいがそのまま鼻に付くこともありました。寒さのため締め切っていて、もともとコンクリートや新建材多用の建物で当然なのですが、それにしても長時間居るのには気になります。だからと言ってその表面を吹き付け材や塗料やクロスで仕上げても、所詮コンクリートや新建材の“箱”であり冷ややかさも否めません。中に入ってもその玄関やロビー、談話室、そして療養室へとコンクリートの独特の空気が漂うのです。そして寒く乾いた季節は室内が異常に乾き、さらに冷え冷えとするのです。

この季節の住まいや集合住宅、医療や介護施設は“乾いた空気”を注意する必要があるのです。特にウイルス撃退のためには通気や換気を心がけ、かつ加湿もしなければなりません。

年中湿気の多いわが国の住まいは、通気の悪い家の中に漂う空気はコンクリートや建材のにおいだけではなく、毎日の調理などのにおいやペットのにおいなどが染み付き、医療施設では消毒液やエタノールなどがにおい、老人施設はその生活臭が染み付きます。

都会の中に “山小屋”を?!

しかしコンクリート構造のマンションでも寝室やリビングなどは取り付ける床や天井、窓枠(内窓)やドアなどの建具や家具を極力無垢(むく)の木製にしてカーペットやクロス、カーテンも分厚いウールや木綿素材にするだけでも室内空気がしっとりし、都会の中の山小屋です。

都会の中の山小屋?(画:天野彰)

反対にその表面をカムフラージュしようとして通気性のないビニールクロスや塗装をして塞ぐと今度は下地の建材や接着剤などを乾きにくくしてしまい、かえって後々までにおうのです。室内の調湿にも優れものの建材もあります。あの珪藻土(けいそうど)です。

建具に貼られた珪藻土ボード(撮影:天野彰)

空気中の湿気を吸い、空気が乾燥した時は吐いて湿度を安定させる調湿作用があり、しかもにおいや化学物質を分解してくれる効果もあります。しかし、この珪藻土は左官塗りや塗り仕上げが多く、工期やコストの問題もあります。

老人施設の療養室例(町田ミオ・ファミリア:設計:アトリエ4A)

そこでこの珪藻土をボードにし貼るパネル(写真例)や、クロスにラミネート加工した壁紙などもあります。空気が籠りやすい地下室や、湿度に敏感なヴァイオリンなどの楽器を保管するスタジオや美術館の湿気対策や、においのこもりやすい病院や老人施設などにも効果的です。

特にコロナ対策として、最近は光触媒による抗菌塗材も開発されていて床、壁、天井カーテンなどに全面塗装することで抗菌効果もあり、現在医療施設に限られている紫外線照射抗菌機器も家庭用として市販されることが期待されます。

3 新しい家族を形成することで将来に渡り自らを守る

今さらわが子夫婦と同居して住む!などと野暮なことを言っているのではありません。ましてや子夫婦に声を掛けて誘うなどと令和の時代の親としたら何とも情けないとお思いの人も多いことでしょう。かつて「同居」とか「三世代」とか「二世帯住宅」などと言う言葉がはやりました。最近はこれらは死語かと思えるほど話題にも上がりません。すでに「核家族」などと言うことも言われなくなりました。なるほど家族がバラバラで住むことが当たり前の時代だからです。こうした親たちは今高齢となり老いていよいよ介護が必要となりどちらかが入院したり施設に入り、先立たれたりすると言う歳となり、いよいよ独居老人となり介護サービスや在宅介護となるのです。

結果住宅地には電気のつかない空き家が増え、街は過疎化し、ますます生活経済は衰退し社会はバランスを失い不安となるのです。家族主義で何百年と暮らしてきた農耕民族「一家」は西洋の狩猟民族社会とは相入れず?小さな「一家」だらけとなり、もはや家族はおろか隣人や地域、社会とも交流がなくなり、まるで隔絶された“ワンルームマンション状態”だらけの家々となっているのです。

そんな折、今まさに参議院選中で、今さら「地域コミュニティ」などとも言えず、こうした根底の問題を取り上げて具体的な提案をする候補者など一人もいないのです。それどころか選挙で何が変わると言った風潮で、すべてが粛々とオリンピックイベントへ目が向けられ、今こそ解決しなければならないすべての難問が覆い隠されているような感さえします。反面インターネットがまるで残された唯一のコミュニティネット?のようになり、閉じこもった「核」を繋ぎ不気味に社会を形成するかのようで、まるでゲーム遊びのような家族となり、この先リアルに“マーベルコミックのような社会”となるのかも知れません。

しかし現実は今、生きて行かなければなりません。老いて生きる大きな仕組みだった?年金も政府が言うように確かではありそうもないのです。そこで自らで身の周りを固め、「新たな家族」をつくらなければならなさそうです。肉親に頼るのではなくまったく次元の違う家族の形成です。「新たな同居」で家族を形成し、自ら子世代、孫世代を助け、子世代は親世代、祖父母世代を救うのです。

古い家やマンションで新しい賃貸契約=契約同居?

なんてことはありません。今あるわが家を開放し、わが生活スペースを最小限に縮め(減築し)て余ったスペースに子世代に安く貸して、それを少々の糧とし、その代わりにわが身の異変の通報を頼み、子世代の子どもたちの見守りをして助け、彼らが働きやすい環境をつくる「契約同居」で新しい賃貸契約なのです。

この形は今現在の高齢化したマンションの住民がそれぞれの年代の大きな家族とみなし、若い人や元気な老人が老いて不自由な老人たちに手を貸し、子世代の子どもたちを協力して預かり見守るのです。賛同を得られた人々で「契約」し、ケアや掃除など細かい費用のやり取りをチェックし、まさに相互扶助となるべく運営をし、それを遂行する管理者を選びさらに監視する監査機構を構築していくのです。

このどうしようもなかった古い家やマンションが巨大な「老人施設」、「保育施設」となるのです。こうして家やマンションは再生されメンテナンスもでき街も地域も活性化するのです。

すでに古い団地などではこうした取り組みが行われ、さらに空き室を借り受けてそれを生かそうとする運動が生まれているのです。あの戦国時代に生き抜き、その先300余年に渡り再生され、今日まで生き抜いた白川郷の合理的なアイデアに満ちた合掌造りの家のような、新たな家族の形、家の形を皆で構築する時代なのかも知れません。

営々と300余年も続く大家族の家 白川郷合掌造り(写真:天野彰)

4 対湿気こそ「住まいは夏を旨とすべし」の日本の住まい?

住まいをお話していろいろの文献や多方面のご意見をお伺いすると、驚くことにわが国の家づくりはすべて健康思考によっていることが分かります。それはすべて従自然の発想から来ているのです。それはやはり湿気に敏感なものでした。まさしく風と水、風水の原点ともなっているのかも知れません。わが国の家づくりで常に意識や思想はまさに「徒然草」でした。わが国の偽らざる自然環境や生活、世相を的確に言い著している随想と言えます。しかも時代が変わって何百年もの間、人々が読み継ぎ、今も変わらぬ事実からそれこそが日本のそして日本人の真の生活と思えるのです。実際に明治そして戦後とこれほど急激に欧米化、近代化が進み、電化が進みハイテク社会となっても日常の生活は春夏秋冬の織り成しに基づいて営まれているのです。住まいをはじめとする生活は「湿気」の気候と風土の中に息づいていることを改めて感じるのです。暑いときも寒いときも常に湿気に係わり、まさに長い梅雨のときこそ、その住まいは本領を発揮し人にも建物にも優しい「健康住宅」だったのです。

安心安全の「セルフ・ディフェンス住宅」の発想

それに比べて諸外国の家の形は歴史を見てもその本質は対自然で対外的で、それは今もあまり変わっていないのです。それにも関わらずわが国はこれほど湿気の多い国でありながら、突如としてその本質の異なる家の形や工法と材料による「壁の家」を求めることになったのです。さらに「断熱だ」「換気だ」と法規制まで設け、厚塗りの「健康住宅」となったのです。こうして今「衣」「食」に次いで「住」も見事に工業製品として商品化され、わが国の生活文化に浸透することになったのです。私の家には多くの留学生がホームステイをしました。彼らがわが家に来て最初に実体験するのが玄関で靴を脱ぐことです。知識で知っていてもこれは相当なショックとなっていたようです。この当たり前のことが実は世界的に観て驚くべき事実なのです。彼らはこの世界的なコロナ禍でもその体験を生かしていると言う。

「箱の家」から「傘の家」(画:天野彰)

今人々は「衣」「食」「住」のすべてに自然の恵みを求めています。それこそが創造の源ともなっているようです。なんとこれが私たちの当たり前の文化だったのです。今やっと、本来の健康な暮らしへと世界が回帰しようとしているのです。しかしその反面人々は利便性の高い街に住みたがり、さらに都市化され、密集化し、隣家との間は燃えない壁で囲います。そこで都市に住んだかつての賢人たちは庭付きの家を諦めて、逆に家の中央に中庭に設け小さな“自然”を創ったのです。その一つが京の町屋です。この千年にも及ぶ都市生活の知恵こそが 従自然でありながら“対湿気の文化”です。その構造や工法まで進化して「健康住宅」となったのです。今さらにその知恵を生かし、真に健康な住まいづくりに役立ててみたいものです。

健康を考えたセルフ・ディフェンスハウス案(画:天野彰)

イラストのように外壁を耐火耐風の強靭な壁としながらも、その中は木造のダブルスキンで、新しい形の町家のプランです。従自然のまさに災害に強い「セルフ・ディフェンス住宅」です。

私の住まいの発想はましに都市災害や地球規模の環境問題に対してもさらに対ウイルス災禍や省エネルギーに対しても風通しの良い“安心安全の健康住宅”追い求めているのです。

簡単予約!不動産・建築業界経験20年以上の専門家に相談できる!

関連記事

建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
 一級建築士事務所アトリエ4A ホームページ

CATEGORIES

絶対に後悔・失敗しないための家づくりコンシェルジュ

2024年人気住宅会社ランキング

THEME RANKING

PHOTO GALLERY