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住宅関連記事・ノウハウ

建築家 天野 彰 防犯と災害に強い「向こう三軒両隣」

1 防犯と災害に強い「向こう三軒両隣」

突然ですが、皆さん!住まいの防犯に注意してください。

最近わが国も治安が悪くなり物騒になってきました。震災後しばらく鳴りをひそめていた空き巣や泥棒が、不景気とともに徐々に増え、欧米はもとより、新興アジア諸国などの国際的にも経済の先行き不安や不況感もあり、原発事故の収束に伴って外国からの窃盗団もまた増えてくるとも言われているのです。もはや「戸締りにご注意」などと言ったなまやさしいものではないと言うのです。

セルフデイフェンスハウス案
セルフデイフェンスハウス案(天野彰)

そこで私があの東日本の津波の被害までに対処した、セルフディフェンスの家をイメージした(イラスト1)外殻が甲羅のようなコンクリートの壁で囲み内部は住みやすい木造の家にするなどのダブルスキンの家の提案をしたり、そのまったく反対に全方向ガラスの被膜だけの家にして、普段は開放的に暮し、いざとなったら地下に沈み込む浮き沈みの家(イラスト2)

浮き沈みハウス案
浮き沈みハウス案(天野彰)

その双方の中間策のような、まるでキノコのように、地上から強靭な幹の上の二階部分に中庭を持った家をつくり、外殻は花弁のような鋼板の壁をつくり火災や強風あるいは賊の侵入などから身を守るキノコの家(イラスト3)などの提案をして来たのはそんなところからでした。

キノコハウス案
キノコハウス案(天野彰)

2 ハード(鍵)ではなくソフト(心)で対処

しかし現実の家づくりではここまではできず。実際にはいくら鍵を掛けていても、ピッキングなどで簡単に鍵を開けられてしまいます。それではと、頑丈な鍵を2つも3つにしても、なんと!バールひとつでドアや窓を抉(こ)じ開けてしまうではありませんか!耐火金庫のようにダイヤル式であろうと、カギは頑丈でも大きなバールで簡単に開けられてしまうのです。実際にこのことを耐火金庫メーカーに言っても「あれは“耐火”金庫です」とすげないのです。

確かにあのがっしりしているはずのATMのように、ショベルカーなどを持ってきて壁を壊されたり、レッカー車で持って行かれたらどうにもならないのです。不思議なもので泥棒に入られる家は、一度ならず何度も被害に遭うようで、何度もドアをこじ開けられて入られたりすると、「もう家の中にいても外にいても同然よ!」などと嘆くことになるのです。

こうしてバールなどで堂々?とドアや窓をこじ開けられたり、ガラスを割られてしまうことに対し、一体どう対処したらよいのでしょう?

そこで「目には目を、歯には歯を」と、さらに頑丈な鉄格子や有刺鉄線に南京錠、さらには重量シャッターその上で赤外線ビームなどで防御するか、ですが、これでは見た目にも仰々しく、第一日常の生活が不便です。そこで頭を使うのです!そう知恵を働かすのです。そのためには自分が泥棒になってみるのです。「え?」と思われそうですが相手も人間。ここに入りやすそうな家があれば、わざわざ入りにくそうな家には入りません?泥棒に入られた人はとても腹が立つのですが、冷静に考えてみれば、なるほど入られやすい家であったことが分かります。

3 入られやすい家とは「見通しの悪い家」

「見通し」

なにより一番が見通しの悪い家です。表の通りや近隣から陰となる玄関ドアや窓があったり、高いブロック塀に囲われていて、いざその中に入られたらあとは何でもできそうです。ベランダの手すりもプライバシー優先で目隠ししてしまうと、その中の窓は狙われやすいのです。何はともあれ、家のあちこちの開口部のどこからも見通しを良くすることです。

Y邸:プロテクトハウス
Y邸・プロテクトハウス(写真天野彰)

私の住まいのデザインの特長は先のイラストのような究極のアイデアを生かしたプロテクト外壁です。壁と壁の前後や段差でスリットを生かし、風通しや視界を良くしながら、かつ外部からの防御、遮蔽すると言う形態なのです。(写真1、2例)

T邸:外観は壁だけだが風通しは良い
T邸・外観は壁だけだが風通しは良い(写真天野彰)

さらに警報ですが、これを電気的なセンサーで大きな音を発するか、セキュリティー会社に通報されるかの警報システムですが、当初の設置予算と、後のメンテナンス費がかかります。しかも家族が多いなど、慣れないと誤作動も多く出動費がかさみ、ついにはスイッチを切ったままにすることも多いのです。セキュリティーシステムは自分たちの生活行動や性格を確かめてから付けることが大切です。

4 セキュリティーは“犬”と“光”?

一戸建てを建てたら犬を飼いたいと言う人が多いのです。実際に大好きな犬の為に家を建てた人もいるほどです。この犬がまたセキュリティーの役割になるのです。犬の居る家やその付近の家に、キャンキャンわんわんと吠えられながら入る泥棒はいないのです。そして夜はとにかく明るくすることです。電気容量の少ないLEDの常夜照明か、熱感知フラッシュランプ等を家の四隅に取り付けます。最近は太陽光利用の蓄電池式の照明も多く出回っています。

写真3:僅かに分かる防犯フィルムの継ぎ目(写真天野彰)
僅かに分かる防犯フィルムの継ぎ目(写真天野彰)

「防犯フィルムと二重サッシ」

さらに地震等の際にも役立つガラス飛散防止防犯フィルム(写真3)や、割れにくい防犯ガラスや、入るのに面倒な二重サッシや二重ドアなども効果的です。マンションなどの外壁にシャッターや面格子などを付けられないときは、内側に取り付けられる可動式の内格子(写真4・5)などもあります。

防衛くんー日本ロックサービス 可動式内格子ロック状態(写真天野彰)
防衛くんー日本ロックサービス可動式内格子ロック状態(写真天野彰)

防衛くんー日本ロックサービス 可動式内格子全開(写真天野彰)
防衛くんー日本ロックサービス 可動式内格子全開(写真天野彰)

これなら外から仰々しく目立たず、しかもサッシやガラスが壊されてもそれ以上は侵入されません。

「向こう三軒両隣」との何気ない交流は心強い防犯装置

しかし“何よりも強い防犯装置”が「向こう三軒両隣」です。

今は死語にもなりつつある言葉ですが。道の向かい側3軒と両隣が互いに見合っていればどんなに心強く、安全なことはありません!そして自分自身もその5軒を常に意識し注意してあげることです。そのためにも普段からプライバシーを守りつつの何気ない交流が大切です。これが大地震などの災害の時にも功を奏するのです。不思議なことにこうした交流がありそうな地域には犯罪も起こりにくいのです。

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

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