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建築家 天野 彰 本気でバリアフリーを考えよう!老後のことも巨大地震も忘れ?「夢の家」をつくる!!

1 まとめ本気でバリアフリーを考えていますか?

老いたらバリアフリーの家にする。段差や階段が大変…長年に渡ってそうしたバリアフリーの家づくりのお手伝いをして来て思うことは、意外にも誰も老後の為にそうしたリフォームや家づくりをしていないのです。これから足腰が不自由になったらどうする?などと考えはするのですが、いざ家の設計になるとそんな話題すら出ないことが多いのです。

「あのお・・・これでは年を召されたら大変ですよ。屋根裏などそうしょっちゅう上がれませんよ」などと、こちらから言って初めて、「じゃ、その時が来たらエレベーターでも付けますか?」などと他人ごとのようなのです。実際にそうしていざ不自由になってからエレベーターを付ける人などいないのです。あれこれしている間に入院か、子どもたちに介護施設に追いやられてしまうかが一般的です。「本当は主人は最後まで家に居たかったのですが・・・」この奥さんもいずれはこの家を捨てて介護施設のお世話になると言うのです。その為の家づくりやリフォームはいったい何だったのでしょう?

老いては二階に住む!が、いずれは下に移る作戦!
老いては二階に住む!が、いずれは下に移る作戦!(天野彰)

2 バリアフリーを考えると、リハビリが重要と分かる?

障がいのある人に対して都市や施設のバリアフリーと言う言葉が浸透しているようです。が、老いたらバリアフリーの家にすることはどうでしょう?年を取ったら徐々に段差や階段がきつくなってくる、長年に渡ってそうしたバリアフリーの家づくりのお手伝いをして来て改めて思うことは、意外にも誰も老後の為にこうしたリフォームや家づくりをしようとしていないのです。この先足腰が不自由になったらどうする?と考えはするようですが、いざ本当にリフォームや家づくりの設計となるとなぜかそんな話題すら出ないことが多いのです。

確かに今家づくりをする人は健康で若々しく、まさか自分がそうなったときのことを真剣に考えられないからでしょう。そんなことからか収納やインテリアなどに関心が行って、収納、収納と物の始末や、素敵なキッチンやバスなどの選択に翻弄されてしまいます。実際に屋根裏や床下収納など老いたら危険で出し入れができそうもなくほとんどの人が入れっぱなしにしているのです。その時が来たらエレベーターでも付けますか?実は障がいのある人の家づくりと老いてから足腰が不自由になることとは訳が違うのです。実際に車いすの生活などは老いてなかなか一人ではできず介護が必要となるのです。ましてや認知症などの障害があるとさらに検知の必要となるのです。

家づくりで問題はこうした老いてからのバリアフリーと同時に不自由にならないための少々のリハビリも必要となるのです。その中で最たることが「年寄りは一階に住む」と言う考えですが、最初から楽な平面で暮らしていることに比べ2階に住むか寝室くらいは2階にすることとで運動量が倍ほど違ってくるのです。わざわざ2階に住まずとも和室を小上がりにしたり、少々の段差のスキップフロアーにするだけでも足腰と意識のリハビリになるのです。

老いたら2階に住む
イラスト 老いたらあえて見晴らしが良くて静かな2階に住む(画:天野彰)

本当は二人で最後まで一緒に家に居たかったのですが…

最近多くの老夫婦のこんな言葉をよく聞きます。かく言うその連れもいずれはこの家を捨てて介護施設のお世話になるとも言うのです。最後まで夫婦一緒に居られる家こそこれからの家づくりやリフォームではないのでしょうか?

両側に手すりのゆっくりとした階段
イラスト・写真(I様邸) 安全で踊り場のあるUターン階段(画 天野彰)

3 耐震リフォームで、キッチンとバスが素敵!

なんでも手元、一人アイランドキッチン
なんでも手元、一人アイランドキッチン(天野彰)

このことは地震対策も似ています。東日本大震災以降、これほど巨大地震だの首都圏直下型地震などと騒がれても積極的にそうした対策をなさる人などいないのです。確かに耐震診断の依頼は多いようですが、その判定も「やや危険」とか「震度6強程度が来たら損壊の危険がある」などと中途半端に判定されると、なんと本心「良かった!」と胸を撫で下ろしている感じなのです。その証拠にこちらが耐震対策の提案をしても、ろくに目を通すことなく、「3.11程度の地震で壊れないのならわざわざ費用を掛けることはないか」とか、「補助金がいくら出るか?その範囲の費用で賄えるか?」などとまるでわが家の安全を補助金頼みとなり、挙句の果ては「マ、そんな地震が来たら危ないのはうちだけじゃない」と自らに言い聞かせてしまうようにさえ思えるのです。実際に耐震リフォームで訪ねて来られた人も、リフォーム談義に話が進み、あのキッチンがいい、このバスのデザイン素敵!などと興味はそっちで、耐震補強のことなどすっかり忘れてしまったかのようなのです。しかたなくこちらから、「ここを補強します。ここをやりかえますよ!」などと即すしまつとなるのです。ましてや老後のためのバリアフリーの提案などは、“いったい誰のため”と言う風なのです。

老いの生活を想わせないモダンアイランドキッチン
老いの生活を想わせないモダンアイランドキッチン(写真天野彰)

4 老後のことも巨大地震も忘れ?「夢の家」をつくる!!

確かに元気なうちから老後をくよくよ考え、地震にびくびくしながら家を建てたり、リフォームをしていてはいい家は建ちません。素敵なキッチン、素敵なバスでいいのです!「え、えー?」と思われるかもしれませんが、家づくりは楽しくなくてはいけません。そしてこれからを元気に溌剌と生きて行くことが何より幸せなことです。それでなければ家を建てる意味などないのです。まずはこうして思い通りの「夢の家」にするのです。

そうすると…、不思議ですねえ?!なぜか、その段階で建て主の方からこれはあの巨大地震が来たときには大丈夫ですか…?とか年を取ったら屋根裏収納の物など出せるでしょうか?などなど、ご自分たちからおっしゃるのです。

老後の対策も耐震補強もこうした「夢の家」のプランができて初めて気付くことなのです。それでいいのです。それこそが現実的で究極の老後対策も耐震対策できるようになるのです。実際に、老後の為の家も地震の為の家もちっともおもしろくありません。第一夢が無いのです。

老後を忘れ、地震が来ることも忘れるくらい楽しく“良く考えた「夢の家」”が、本当に安心安全の家となるのです。では、その家をどうつくるか?答えは簡単です。まず、今の暮らしを考えるのです。すると何が必要で、何が必要でないかが分かり、「夢の家」をイメージして夫婦のそしてそれぞれのしたいことだけをプランに落とし込むのです。それだけでいいのです。その上で夫が、あるいは妻が不自由になる。その時をちょっと考えるのです。これは一般論ではなく、長年連れ添った相手の様子や性格を互いに考えて・・・、“家の中をどう移動するか? トイレは? 風呂は? と真剣に想うのです。そのとき世話をするのは自分です。自分はどうするか?です。その反対に今度は、自分が世話をされるときを想うのです。そのとき自分はどう思うか?を想うのです”。

毎日パーテーのジャンボテーブル
毎日パーテーのジャンボテーブル(写真天野彰)

まるで問答のようですが・・・これはいくら親しい間でも相談はできません。ひょっとして、逃げ出したくなる自分なのかもしれません。この想い。そうです、シミュレーションをすることです。この想いを設計者に「あの…」といろいろ質問をし、注文をすればいいのです。するとこの「夢の家」に現実的な老後の自分たちが刻み込まれ、さらにすっきりした本物のプランとなり、結果、地震にも強い家となるのです。いやー!家づくりは愉しいですねぇ!

わが家のスナックバー
わが家のスナックバー(写真天野彰)

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

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