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建築家 天野 彰 間取りゲームプランニングの手法!楽しく家づくり

1 楽しい「間取りゲーム」プランニングの手法

「住まいは三度建てないと自分のものにならない!」とはよく言われたものです。しかし家を三度も建てていれば“自分のものになる”どころか破産です!

私は長年家のプランづくりのお手伝いをしていて思うことは家づくりで人々が少しタイトになっているのでは?と懸念することが多いのです。これは最後の家づくりとでも思われるのか、プランづくりの深みにどんどんはまって身動きならない間取りの家になってしまうことが多いのです。ここで少し肩の力を抜いてプランづくりを楽しむことを考えてみましょう。

「間取り」のことを最近は「プランニング」とも言うようですが、「間取り」と「プランニング」とは違います。

「間取り」とは

あの方眼紙に部屋すなわち「間」を嵌め込んで並べて行くこと間(部屋)を取ることです。

「プランニング」とは

敷地の中におおよその家の「間」すなわち空間を取ってその中に生活をはめ込むことです。

家族が生きていくための「場」をつくることなのです。その意味では「間」は大きな空間であってもその中で自由に暮らせる「場」あればよいとも言えます。

言い換えればプランニングとは「場取り」とも言えるのです。家族の場とは家族の一人一人がそれぞれ暮らし、時には一緒になる。そんな自由な「場」すなわち空間をつくることが重要なのです。その意味では間仕切りすなわち壁は必要ないのです。これこそが創始以来の人の家だったはずです。

創始以来の家の原点
創始以来の家の原点(画:天野彰)

ちょっと難しくなりますが・・・、これも肩肘張らずに考えてみてください。

欧米では「空間」のことをspaceと言い、そのspaceの意味にも、placeすなわち「場」と、roomすなわち「部屋」の意味があり、いずれも壁などでしっかり囲われた壁の家の意味が強いのです。その反対にわが国にもともと在った「間」とは、屋敷などの「○○の間」のような部屋を意味する間もありましたが、家の間取りなどでは構造である柱と柱の間、構造的、美的なバランス取りの意味があり、それは同時に人と人との「間」や時と時の時間の「間」、さらには話しや音頭取りの「間」の意味もあって。壁に囲われた部屋の意味よりも「あいだ」が重要なのです。

この「間」を覆う屋根、「傘の家」。この空間こそ家の内外に広がる、わが国固有のユニバーサルスペースなのです。

壁の家と傘の家
壁の家と傘の家(画:天野彰)

2 「わが家の時計」で「人生3度」家を建てる?

そこでプランづくりで重要なポイントを二つお話しします。しかもこのポイントは同時に考えて実行するものなのです。その意味では家の建て主はこの“二つのポイント”だけを考え、家の構造や費用、さらには設備や材質のことなどとやかく考えないことです。もっと言えば敷地の形状や建築の法規や家相のことなどもくよくよ考えず、この“二つのポイント”によって生まれた「わが家のプラン」にそれらの条件を後ほど当て嵌めればいいのです。

「わが家の時計」と「間取りゲーム」?

一体何のことかとお思いでしょうが、「わが家の時計」とはすなわち“家族の時計”であり、わが“人生の時計”と言ってもいいでしょう。この時計とは文字盤の頂点の12時が80で、真下の6時が40、さらに3時のところが20。9時のところが60です。そうです。一回りが平均80歳の“人の一生一回りの時計”なのです。この一回りでこれから何が起こるかをそれぞれの世代で考えるのです。

「わが家の時計」
「わが家の時計」(画:天野彰)

この文字盤によって今40歳の主婦が、これからわが身わが家族に何が起こるかをまず考えるのです。すると結婚して子どもが生まれ子育てに専念していた自分が、今子育てが終わりこれから半分以上もある長い人生をどう送るかを考えるのです。すると今まで忘れていたわが趣味あるいはしたいことを想い出し、さらにこの先、夫が定年して長い老後の生活となり、さらには夫に先立たれ一人で暮らすことになるやも知れません。この時計から今40歳の建て主の奥さんは「もう40!」どころか、この先の長い人生から見ればまだまだ始まったばかりの“ひよっこ”なのです。

この時計は自身と家族が大きく3度変わっていることに気付くはずです。それこそ子育て優先の「保育期」、さらに子育て後の大人の自分自身の生活、すなわち家から外に向けた「社交期」、そして夫が定年して二人だけの、まさしく老いをいたわる「養老期」となるのです。なるほどこれでは「人生3度」家を建てなければなりません。

3 家づくりは楽しくなくてはいけないのです

そして間取りは肩ひじを張らず、家族全員で楽しく「間取りゲーム」を行うのです。

まずカラフルな千代紙を適当な大きさに円く切り取りそれを何セットか作るのです。これにリビング、ダイニングあるいはキッチンとそれぞれの大きさの円に書くのです。さあ、これを敷地に見たてた画用紙の上に家族でワイワイガヤガヤと並べて行くのです。「ここが玄関で、ここがリビングだとここがキッチンで和室」と、次第に“円のつながり”が出来ていくのです。

これこそがわが家の間取りなのです。家族の意見が分かれたら、さらに別の画用紙にこれを並べて糊で止めるのです。これをまた家族で眺めながら先々の「わが家の時計」を思い出すのです。すると今並んだ部屋の円を多少動かしたり、将来部屋の用途、すなわち「場」を変えることなども分かって最良の“画用紙プラン”を選べるのです。

家族で楽しい間取りゲーム
家族で楽しい間取りゲーム(画:天野彰 )

これでいいのです。この大雑把な“円のつながり”こそが、家族全員の意見を入れたプランニングなのです。この“画用紙”を設計の専門家に渡すだけで予算や敷地に合わせた、わが家の立体的な間取りが出来上がるのです。その上で設備や材質、さらには照明やインテリアを楽しむのです。

このように家づくりは楽しくなくてはいけないのです。

家族で楽しい間取りゲーム
出来てきた“円のつながり”(画:天野彰)

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
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