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建築家 天野 彰 核家族では生き残れない!裏長屋の井戸端に学ぶ~江戸の文化に学ぶ現代の住まいと街?

核家族では生き残れない!裏長屋の井戸端に学ぶ~江戸の文化に学ぶ現代の住まいと街?

 ここまで超高齢化の“元気がなくなるお話し”をしたついでに、さらに言えば、閉鎖的な壁の箱の家をつくって、高層のマンションに住んで隣との接触もまったくないままに暮らす核家族世代の老後の姿は寂しいものです。
夫と建てた郊外の古ぼけた家の手入れと庭の剪定や草取り、さらには近所との付き合いにうんざりし、ドア一枚で気ままに住めるマンションの暮らしにあこがれるお年寄りは多いのです。
まさに子育て優先で建て、暮らしてきた抜け殻のような今の家は広くその割に荷物も多く掃除も大変でエネルギー費もかさみます。だからと言ってリフォームするにも費用が掛かり過ぎて、結局今の家を処分するかそのままにして既成のマンションに買い替えることになるのです。

客家の土楼の円陣集落
■写真:客家の土楼の円陣集落(左)円形の土壁(右)、求心的なコミュニティが生まれる(天野彰)

 最近あちこちで解体されて建て替えられている同潤会アパートの良さはコンクリートの家とは言え、昔の長屋の井戸端的な共同炊事場があり、そこに住む人たちが三々五々集まって家族的なコミュニケーションが保たれていたのです。
現代の分譲マンションでも下階にコミュニティーのサロンや談話室などの共有施設を設けて極力住民や家族との交流を図ろうと試みが始められているようです。しかしよほどのイベントや企画がない限り恒久的なコミュニティーの形成は難しいものです。
各戸もマンションでありながら、かつての“縁側的空間”を求めたり、玄関に広い土間をつくって近隣とも積極的に交流を図ろうと言う試みも始められているのです。が、共存共栄のメリットまでは感じられない。

現代長屋の立体的なフレームコロニー
■イラスト:現代長屋の立体的なフレームコロニーの模型(画:天野彰)

 そこで共同で年寄りのケアをしたり、託児所を開設するなど、同じ集合住宅の場で老若“共働”で助け合う工夫などが必要とされるのです。縦に伸びる共同住宅ではなく下階にコミュニティーゾーンを設け丘のような強靭なフレームに自由に家を建てる現代縁側のような発想もあります。
また中国は福建省永定にある客家の土楼の円陣の中の集落のように災害にも安全なコロニーをつくることも時代の家の形かもしれません。実際に津波の危険な東北の沿岸部にこのコロニーの提案もしているのです。
 さらにおひとりさまが住む家々が増えてそれらを地域ごとに共同で連絡し合うなど、生きる喜び、すなわち生きがいを持てることが重視されて来ているのです。あえて老若混合のマンションや託児所付きサービス付き高齢者マンションなどができているのです。

 戸建ての家でもわが家を改造して賃貸の貸間を併設し小さなグループホームにするなども一考です。そこまでせずとも、まずはうっとうしがらず、向こう三軒両隣の道(廊下)の向かい側3軒とさらに両隣と親しくし、互いに見合っていればどんなに心強く、安全なことはありません!
 そして自分自身もその5軒を常に意識して注意を注ぐのです。普段からプライバシーを守りつつ、何気ない交流が大切なのです。これがいざ大地震などの災害の時に功を奏するのです。不思議なことにこうした交流がありそうな街並みや地域には犯罪も起こりにくく、これこそが現代の生き残りのための “井戸端コミュニケーション”と言えるのです。

江戸の町の下宿屋を現代に、減築し安心なアパートに、新集落HAKKASECTION&PLAN
■左:脇に二つの「同居アパート」を持つ家、右:向こう三軒両隣の家族が見える家々の街(画:天野彰)

 ★毎週土曜日 最新コラム公開中!   次回「これからは同居が安心?」お楽しみに♪

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表