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建築家 天野 彰 息子とは「べったり同居」娘とは「二世帯住宅」?!~上手な二世帯同居プランづくり

息子とは「べったり同居」娘とは「二世帯住宅」?!~上手な二世帯同居プランづくり

 今まで核家族で悠々自適に住んできた親子が、親の高齢化に伴い、東日本大震災などの経験から、お互いが離れて住んでいる不安と、子夫婦が子育てで手狭になるなど同居希望はますます増えています。加えて親の年金の目減りや医療費の負担増、さらには施設の快適性が疑問視もされて在宅介護、すなわち老々介護などと、「本音」では親たちに肉親の同居の希望や願望があるのです。

 しかし同時に今まで勝手気ままに核家族で暮らしてきた親夫婦の方が同居に不安を抱いている「真意」があるのです。
 その「真意」からは親子一体の“べったり同居”は昔と違って親夫婦が子夫婦に気を遣って、結局一、二階に分けて勝手気ままに住める「二世帯住宅」が良いとなることが多いのですが・・・。
 しかし「二世帯住宅」はあくまで二世帯が住む家で「同居住宅」ではないのです。運悪く母と嫁の反りが悪かったり、いったん何か諍いでもあると嫁は親の家に行きにくくなってわが家に籠ってしまいます。両者が同じ屋根の下で近過ぎるためにかえって暮らしにくく、皮肉にも疎遠になってしまうこともあるのです。

そこで私は、息子夫婦同居は極力「べったりの同居」が良く、娘夫婦とは逆にきっちりと分けた「二世帯住宅」にすることをお勧めしているのです。
 いったいなぜ?と思われるかも知れませんが、同居はどんなプランにせよ親子が一つ敷地の一つの屋根の下で鼻を突き合わせて住むことになります。たとえ玄関を別々にしても、音も声も聞こえ、孫も行き交い、親子が目を合わす機会も多くなって他人のように“勝手”には住めないからです。
 これは「スープの冷めない距離」でも同じことが言えます。近くに住みながら“スープ”どころか顔も見せないなど、かえって心配したり気を遣うことになるのです。そこでもし父親が病に倒れたり、亡くなりでもしたら母親の疎外感はさらにいっそう増すことになりかねません。

プライバシーのあるべったり同居の間取り図
■イラスト:プライバシ―のあるべったり同居プラン(画:天野彰)

 これに対し、互いのプライバシーの確保に努め、リビングを互いの緩衝ゾーンとしつつ嫁姑がべったり同居すると多少の諍いがあっても一緒に暮らしているだけに解決が早く、そればかりか義母からいろいろ学ぶことも多く、孫たちにも半世紀におよぶ生きた情報やマナーが伝えられるのです。特に共働きの若い夫婦は子ども預けて安心して働けます。
 これこそが親子の役割が発揮できて、生産性も高い「同居」となるのです。
 反対に娘同居は放っておいても、気ままな“べったり” 同居となり、互いが楽のように思えますが、その反面、母娘互いが依存し過ぎて、娘の夫である婿の存在とプライバシーがぞんざいにされがちになりかねません。そこで意外にも、娘同居はあえてドアが別々の「二世帯」に分けた方がそれぞれの生活に“歯どめ”が効いて夫婦互いの自立となり、しかも母と娘だけに別々に住んでいてもまったく疎遠にならないのです。

 そこで次回(2013年11月30日公開)は、「四世同堂 親子さらにその親が住む家」ついてお話しします。

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表