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ハウスプロデューサー 高橋 和彦 復興住宅は今!被災地に適した家づくり

1 生きるための住まい模索 復興住宅は今

被災地の復興の度合いは各自治体によって違うものの、今年に入りようやく復興の構想が動きだしているようです。私が今住んでいる福島県相馬郡新地町が提供する集団移転計画は、全部で7か所の移転地に約150所の募集が終わり、今年の秋引渡しに向け急ピッチで造成工事が進められている。その他公営住宅(賃貸アパート)や高齢者共同住宅も同時進行で造成工事が進められている。環境や地形に合わせた集落の景観と震災前のライフスタイルの再現となる間取り、またはコミュニティの再生など、様々な試みがなされているようです。

被災地の中でも移転計画が比較的早く進んでいる背景には、行政と住民との意見交換が頻繁に実施されてきたこと。そして、移転用地の確保がその立地条件の上で容易であったことなどが言えます。

人口約8千人の町ですが、被災し仮設住宅等に入居した戸数は約500戸。その内訳は、集団移転の予定戸数は約150戸。自主的に建替えや移転をした戸数を含めると約200戸。仮設住宅入居戸数の中で約40%が新築(持ち家)を希望している戸数で、残りが公営住宅等の希望者となります。被災直後の住民アンケートでは、新築希望者は約7割だったのが、2年を経過して住民の様々な理由から徐々に減少してきています。この40%の新築需要に対し地元の工務店や新規参入のハウスメーカーが受注競争を展開していて、特に集団移転の新築受注は今後激しさを増してくると思われます。受注確保に向けた契約の先取り営業を積極的に進めているメーカーも出てきています。

一方では地元の職人不足が露呈し遠隔地からの職人の起用を促しているものの、既に工期の遅れが出始めて来ています。今後需要の高まりに施工体制が追従していけるかが注目されています。元々ハウスメーカーの参入がしづらい風土だったそうですが、一気に参入が加速しています。熱心な住宅希望者のなかには、地元に限らず仙台などの展示場まで足を延ばして情報収集をしている程です。需要の高まりで資材の供給不足が一部の価格の高騰を引き起こしているのです。また、家を選択するポイントも世代によって明らかに異なっています。綿密に計算された家賃収入とローン返済の計画があり、計画どおりに家賃収入を得ることができると、自宅を実質ゼロ円で建てることも夢ではありません。

自治体によって復興の進行度合や状況は異なるとしても、おおむね同じような傾向は表面化してくると思われます。

復興:福島県相馬郡の今 ハウスプロデューサー高橋 和彦
復興:福島県相馬郡の今 ハウスプロデューサー高橋 和彦

2 復興住宅の集団移転に関して

現時点で建築業者を決めた世帯は約3分の1、業者と接触中が3分の1、残りの3分の1が未定だそうです。地方に共通する点ですが、新地町でも住宅展示場やメーカーのショールームなどが近くにない為、名取市や仙台市まで足を延ばして情報収集に動いている住民も珍しくありません。都会に比べ圧倒的に情報量が不足していて、数少ない情報の中で業者を選択しているようです。

更に、いざ建築地を求めようとすると、震災以降宅地が極端に減少しています。実際に新たな都市計画で、町独自の危険区域に指定され建築不可となった面積は、平地全体の3分の1を占めるほどの膨大な面積なのです。隣接する宮城県山元町では、被害規模は更に大きく、復旧が遅れ危険区域に指定されているのは、町全体の面積の3分1に相当します。

これにより、被災者の自立再建が困難になっているのです。復興計画を町主導で進めてきた結果、住民主体の町づくりができないでいます。行政と住民の溝、または住民の中でも被災者とそうでない人との心の溝、そして再建の目途が立たない等、長引く復興の遅れもあって活力を失い希望を見出せない状態が続いているのです。震災以降人口の流出も続いています。

3 土地取得も難解

土地を購入して建てる世帯も出始めてはきていますが、ほんの一部に過ぎません。資金力のある世帯に限られるのが現状です。

また、実際に計画を進めて障害になるのが農地法です。調べていくと意外にこの農地、中でも「農業振興地域」が多いことには驚かされます。新地町でも平地の約半分近くがこの地域にあたります。家を建てる為には、まず「除外申請」を役所に申請して許可が降りないと先には進みません。しかし、これが結構難関なのです。土地取得には大幅な宅地の減少に加え、農地法が大きな壁となっています。役所の担当者も住民からの要望や圧力と法律の狭間で悩んでいるのも現実です。復興特例の法改正を求める声も出ているほどで、復興を妨げている一因なのです。弊社も被災者の目線で、活力と希望を持って自立再建できることをサポートしていきたいと考えています。

土地を購入して建てる世帯も出始めてはきていますが、ほんの一部に過ぎません。資金力のある世帯に限られるのが現状です。

復興住宅の現状 ハウスプロデューサー高橋 和彦
復興住宅の現状 ハウスプロデューサー高橋 和彦

4 いよいよ動き出した被災地の自立再建住宅

今、東日本大震災の被災地では、復興住宅の造成工事があちこちで目につくようになりました。中でも、集団移転住宅地は諸事情により遅れながらも、概ね今年末から住民への土地の引き渡しが一斉に行われる見込みで、今後新築ラッシュが予想されます。

希望者にヒアリングをした購入希望の条件

  • 1 価格重視
  • 2 住みやすさ
  • 業者の信頼性が高い

更に、年代でも違いが見られる。若年世代は住宅メーカー志向が強く、工法や最新鋭設備機器等に強い関心を示している。一方、中高年世代では縁故関係を重視する傾向が強い。終の住まいとして最小限の“自分の家”を希望し、低価格が決めてとなる。従って、求められる住まいを大別すると、趣向性の高い住宅と低価格住宅に大きく分かれようです。

また、被災地の特徴として、寒冷地に在ることから、冷暖房設備やその省エネ性能に関心が高い傾向。例えば、暖房設備の熱源を何にするかなど重要な検討材料となる。最近の灯油価格の高騰も背景にあり、オール電化や太陽光発電を導入する家庭も急増している。床暖房の需要もジワジワと伸びてきている。このように新築需要が急増する中で、家族構成や生活スタイルを含め、心機一転住まいを一から考え直そうという動きが出てきているようです。更に追い風になっているのが、住宅ローン減税措置と罹災者に対する住宅の移転再建事業の補助金施策で、住宅ローンの利子分を補助する仕組み。仮設住宅での窮屈で神経を擦り減らす生活環境から解放される日は近いのではないでしょうか。真近に迫ってきた自宅の新築に期待感で心も高揚してきているようすです。

少しずつ増える復興住宅工事。土地柄もありオール電化や太陽光発電に関心が  ハウスプロデューサー高橋 和彦
少しずつ増える復興住宅工事。土地柄もありオール電化や太陽光発電に関心が ハウスプロデューサー高橋 和彦

5 被災地に適した家づくり

ポイント

  • 1 デザイン性
  • 2 耐震性
  • 3 気密・断熱性
  • 4 健康的居住性
  • 5 省エネ性能
  • 6 アフターメンテナンス

という点に注目し、それらに適した工法や設備等を取り入れました。ぜひ、ご参考にしてください。

1.デザイン性

今、被災地で住宅再建で最大の関心事は、どの建築会社に決めるかということです。自立再建を考える上で、その生活環境と住まい方に適した家が求められますが、これからの日本の家づくりのひとつの指標になるのではないかと思います。圧倒的な新築需要に対して住宅各社が提案する最新の仕様やその特徴を同時に比較検討できる機会だからです。

そこで、私どもは生活体験モデルハウス「素敵な家」(平屋26坪)を建て、1000万円台で建てられる高品質の家を提案させて頂いています。

デザイン性も高い復興住宅:安心して長く住まえる家 ハウスプロデューサー高橋 和彦
デザイン性も高い復興住宅:安心して長く住まえる家 ハウスプロデューサー高橋 和彦

住宅様式が多様化する中で、私どもが提案するデザインは、過去の経験を下に欧米の住宅デザインを用いました。英国やドイツにある重厚な趣のある「煉瓦造りの家」、そしてカラフルなサイディングを使ったカジュアルな「北欧風の家」の2つのタイプです。前者は、高品質を求めるユーザーに最適で、後者はエコノミーで若者に人気です。被災地は概ね寒冷地であり太平洋沿岸にあることから、寒さや塩害に強い外壁素材を選びました。例えば煉瓦を選ぶ場合でも、耐震工法を基準に煉瓦の吸水性などを考慮しました。また、サイディングも同様に塩害・凍害・酸性雨に強いとされるポリマパネルを採用しました。

それらを選んだ背景には、経年劣化に伴う修繕費を極力抑え、一時の流行のみに囚われず飽きさせないデザインで、安心して長く住み継がれる住まいを目的としました。

6 煉瓦の家の魅力

瓦はその重厚な雰囲気はサイディング等とは比較になりません。もう一つの長所は、メンテナンス不要ということです。製造年代的にはっきりしていませんが、壁に英国製のアンティーク煉瓦の湿式工法を採用しました。英国の建築物が解体された際に市場に出てきたもので、「ヴィクトリアンレッド」と名前がついているところによると、恐らくは100年以上前のもでることは確かです。

伝統的な魅力あるオーストラリア乾式工法の煉瓦
伝統的な魅力あるオーストラリア乾式工法の煉瓦

粘土を練り上げ窯の中で焼成された、自然素材ですから、年月が経つほどに重厚感を増し落ち着いた家の雰囲気になります。一般に使用されているサイディングは、工業製品ですから表面劣化と共に耐水性が落ち見た目もみすぼらしくなってきます。コーキングと共に約10年に一度塗り替えや補修が必要となります。家が解体されるまで定期的な修繕費が掛かるわけです。それに比べランニングコストを考えると煉瓦はむしろリーズナブルな外壁材といえます。弊社は煉瓦を海外より直輸入価格で供給しています。更に、近年の為替の円高により価格が抑えれ、お客様に喜ばれています。アンティーク煉瓦以外にも豪製の乾式煉瓦も標準仕様でご提案しています。耐震性、遮音性、省エネ性等を備えているので、特に被災地にはお薦めです。

修繕は機能的な劣化だけではなく、見た目や愛着を失っていくことも原因です。煉瓦は、理想的な住み心地を有し、人間が古(いにしえ)より使用してきた、伝統的な魅力があります。

得に被災地におすすめ煉瓦乾式工法
得に被災地におすすめ煉瓦乾式工法

7 もう1つのおすすめ北欧風ポリマパネルの家

おすすめ北欧風ポリマパネルの家
おすすめ北欧風ポリマパネルの家

重厚感よりもライトでカジュアルな雰囲気が好きな方にお勧めです。しかも価格はエコノミー。北欧風外観の中にどこかしら伝統が伝わるシンプルモダンなデザインです。ポリマパネルは自然条件の厳しいアメリカやカナダで普及している樹脂サイディングで優れた耐久性や経済性を有しています。塩害・凍害・酸性雨に強く、軽量で施工性にも優れています。紫外線の変色・色褪せもなくメンテナンスが殆ど必要ありません。

特に被災地では短工期で小規模住宅(約16坪~25坪程度)が多く求められます。災害公営住宅程度の仕様ではお金を掛けて家を建てる意味がない、とお考えの方もいらっしゃると思います。自由設計で、希望に合わせた居住空間を演出することができます。

左:ポリマパネルの色見本 右:バリアフリーの玄関(床タイルと壁クレイペイント)
左:ポリマパネルの色見本 右:バリアフリーの玄関(床タイルと壁クレイペイント)

写真のモデルハウスの内装仕上げは、環境先進国・ドイツ製「クレイペイント」と珪藻土、そして英国製壁紙を部屋の趣味に合わせて使い分けました。クレイペイントは色も豊富で人体にもやさしい厳選素材。LDKや玄関ホールなどの共有部分に使用。また、壁紙は寝室の雰囲気に合わせて柄を選択しました。ウイリアムモリスの定番「デイジー」柄を選びました。それには理由があります。この作品の根底に流れる自然を敬愛する思想により、身障者の部屋を癒される空間に仕上げたいとの思いがあったからです。

左:クレイペイントの壁と無垢フローリング 右:ウイリアムモリス「デイジー」柄の壁紙に囲まれた障害者用の部屋
左:クレイペイントの壁と無垢フローリング 右:ウイリアムモリス「デイジー」柄の壁紙に囲まれた障害者用の部屋

自然素材の壁紙は体に優しく、絵柄は無機質的な印刷とは違い絵画のような温もりを伝えます。やはり、手作り感のあるインテリアには生活の愉しみがあります。

8 蓄熱式全館温水床暖房システムでストレス解消!

弊社のモデルハウスの特徴の1つに、基礎に温水管を這わせ床スラブと一体になった蓄熱式の床暖房を採用していることです。元々このシステムは、北欧などの寒冷地で昔から使用されてきた方式で、いくつかの特長があります。

1 全館床暖房なので家の中で温度差を生じない

特に、廊下、浴室・脱衣室、トイレなどは暖房が行き届かい場所も一定温度を保ちます。

2.輻射熱によって居心地の良い居住空間を実現

蓄熱層から遠赤外線の熱が直接放射されることで、体の芯から温まるのでエアコンのような不快感はありません。

3.蓄熱式なので短時間の断続運転でも快適温度が持続し省エネ

弊社では、朝2時間、夜2時間、毎日4時間の運転をしていますが、24時間殆ど家中の温度変化はありません。真冬のある日、24時間の温度変化を測定したところ、日中気温が7℃まで上がりましたが館内は18℃、また最も気温が低下した早朝—2℃まで下がりましたが、館内は16℃と一日に僅か2℃の温度変化にとどまったのです。

更に、温度コントローラーで時間と温度を設定できますので、ご家族の住まい方に合わせて設定変更も可能です。

ドリルサンプラー
温度を年中保つことが、ストレス解消のポイント
ドリルサンプラー
温度を年中保つことが、ストレス解消のポイント

住んでいて実感することは、一言で言うと「ストレスを感じない」ということです。例えて言えば、5月頃の温感を家の中で年中味わっていけるということです。人間は微妙な変化をも五感で感じとって生きています。「バリアフリー」ということをよく聞きますが、主に段差がないことを言います。しかし、段差だけではなく温度のバリアフリーをも無くすることが、住まいのストレスを解消し心身の健康に大きな影響を与えることになると思うようになりました。

いかがだったでしょうか。日本大国の日本だからこそお家づくりの際は耐震性なども考えていきたいですね。是非参考にしてみてください!

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ハウスプロデューサー 高橋 和彦ハウスプロデューサー 高橋 和彦

ハウスプロデューサー 
高橋 和彦

福島県生まれ。青山学院大学・経営学部卒。日本デザイナー学院でグラフィック・デザインを学ぶ。
 輸入商社で輸入建材商品の発掘及び国内販売に従事し、英国・フランス・イタリア・ギリシャなどの欧州諸国を歴訪。西洋の住文化に感銘を受け平成12年起業。特に英国を中心とした伝統的な住まいのトータルプロデュースを始める。その傍ら、輸入住宅産業協議会主催の英国研修旅行をはじめ、企業向けの研修旅行を実施。雑誌「英国、住まいと暮らし」(日本プレハブ研究所)出版のプロデューサーも務める。
 現在、福島県内にモデルハウス「素敵な家」を新築し、西洋デザイン住宅を提案。被災地暮らしの体験をもとに、被災地に適した1000万円台の規格型住宅「安心の家『KIZUNA』」を提案している。
 DSCN2575 町による集団移転地の造成工事現場写真
 DSCN2574 住民の自主的集団移転の建築現場写真
 DSCN2577 公営住宅(賃貸アパート)の建設現場写