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住宅関連記事・ノウハウ

住宅アドバイザー 辰巳 渚 賞味期限切れが起きるわけ(1)~長もちする家を作るヒント

「しあわせな空間の記憶」を生きる家づくり 住宅アドバイザー 辰巳 渚
 ~ 賞味期限切れが起きるわけ(1) ~

  私たちを支えるのは、しあわせな空間の記憶。
  次の一歩を踏み出す勇気は、しあわせな関係の記憶から生まれる。
  忘れられない、身体に残り続ける記憶。
  それは、「思い出」と呼ぶにはあまりにも深く刻み込まれた、
  私の「いま」そのものなのかもしれません。

 希望どおりなのに不満の出る家
  ■ 賞味期限切れは、「希望どおりなのに不満の出る家」だから(写真:野寺治孝氏)

 ◆住みはじめてすぐに「賞味期限切れ」が起きることもある

 前回まででお話した、「賞味期限切れが起きる家」。
 じつは、家事や暮らしに関する講座をたくさんしている中で、多くの人の口から聞いた嘆きから気づいたことでした。
 私が実際に聞いたケースを取り上げてみましょう。

 ケース1:希望どおりになっているのに
 家をつくるにあたって、いろいろ情報収集をして、何軒も展示場を見てまわって、具体的な希望を固めました。 それで「家族のコミュニケーションを大切にしたいから、アイランドキッチンにしたい」
 「すっきり暮せるように、収納は各部屋にたくさんほしい」
 などと希望を出して、そのとおりにしてもらったのに、住んでみたら使い勝手が悪かったり、動きにくかったり。 でも、希望どおりなので、誰にも不満は言えなくて・・・。

 希望どおりの家になっているのに、なぜか満足できない。そんな不満とも疑問ともいうべき嘆きは、ほんとうによく耳にします。 誰のせいでもないし、自分の希望が変わったわけでもない。
 なぜ?どうして?というわけです。

 なぜこんなことになるのか。
 多くの人にとって、家づくりは初めての経験です。だから、かなえたい「ほんとうの願い」と、業者に出す「これがいいという要望」との区別がつきにくくなってしまいます。
 たとえば洋服なら何度も買って失敗したり成功したりという経験を積んでいます。だから、ショップで店員さんに「白いワンピースはない?」と聞くとき、必要なのは「白いワンピース」ではなく「清楚に見える洋服」であることは、店員さんも客である自分もわかっている場合が多いものです。
 でも、家は違います。
 初めての経験だからと情報を集めれば集めるほど、要望ばかり増えてしまう。
新しい家で暮らすなかで、自分がかなえたい「ほんとうの願い」がわからなくなってしまう。
それなのに、家をつくる業者がこの「お客さまの言う要望」をそのまま信じてしてしまうと、「希望どおりなのに不満の出る家」になりかねません。

 ケース2:完璧!と思えるまで考えたのに
 設計段階で何度もプラン変更して、100%と思えるまで考え抜いて建てた「理想の家」でした。
それなのに、いざ住みはじめたとたん、
 「ウォークインクローゼットは寝室ではなくリビングに必要だった」
 「2階の洗面は必要なかった」 などという後悔がはじまったんです。

 おもしろいもので、私たちには、新しい物を手に入れるときがゴールと考える癖があります。「夢は庭つき一戸建て」と言われた時代もあったように、家は手に入れることがゴールだ、と。それは、業者にとっても同じことです。家は売れたときや建て終わって引き渡すときがゴール。住み手も作り手も、そのゴールをめざしてがんばります。
 けれど、ほんとうは、家は手に入れたときがスタートです。
その日から、その家での家族の暮らしが始まる。頭で思い描いていた理想の暮らしを、現実の家で少しずつ実現していく幸せな日々が始まるのです。

 だから、住みはじめてから、日々家族と過ごしながら家事をしながら、少しずつ「詰め」をしていけばいい。
 住んでみないとわからないことは、ほんとうにたくさんあります。住んでみないとわからないことを、住み手が日々暮らしながらちゃんと実現していけるように、つくり手は家をつくるべきなのです。
 住み手にとって、住みはじめは70%の完成度が「理想」です。
家を100%に近づけられるのは、暮らしの主人公である自分だけだと考えてみてください。
 このことをわかっていない業者との家づくりでは、引き渡しのときは100%に見えても、住みはじめてから住み手が関わる余地のない家、時間とともに価値がマイナスされていくだけの家ができてしまうこともあります。

 次回は、もうひとつ、女性ならきっと誰でも思い当たるケースを取り上げたあと、「賞味期限切れが起きるわけ」をお話していきましょう。

 隔週木曜日連載中!次回もお楽しみに!

 株式会社家事塾 代表 辰巳 渚

 お茶の水女子大学卒業後、出版社勤務を経て、1993年よりフリーのマーケティングプランナー、ライターとして独立。2000年に刊行した『「捨てる!」技術』で、消費社会の象徴である「物」に対する新しい哲学を提唱し、同書は130万部のベストセラーになる。現在、家事塾での講座やセミナー、講演を通じて、ほんとうに豊かな暮らし方の発信や、生活関連会社・住宅会社へのコンサルティングなど、暮らし研究の第一人者として活躍中。クロワッサン、STORY、ESSE、いきいきなど雑誌及びテレビ等、メディア出演や著書多数。近著に「物の捨て方 のこし方・PHP」 「人生十二相・イーストプレス」がある。

 野寺治孝(Harutaka Nodera)

 1958年、千葉県浦安市生まれ。本郷高校デザイン科、日活TV映画芸術学院卒業。'76年頃から本格的に写真を始める。'79年地元のアマチュア写真クラブ「集団剣」に参加する。広告デザイナーを経て、'84年にニューヨークを撮った作品を自費でポストカードとして製作販売、これを機にプロの写真家となる。 '91年「スローハンド・野寺治孝写真事務所」を設立。国内外を問わず様々な場所をフィールドに独自の視点で捉えた作品を多数発表している。代表作に「TOKYO BAY」「帰郷」「boat」など。 書籍「結婚のずっと前」がベストセラーになっている。
 なかでも「チルチンびと」の表紙などをはじめとして、「コンフォルト」「ニューハウス」「ミセス(妻、娘から見た建築家の実験住宅)3年間連載」住まいに関する作品の評価が高い。

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住宅アドバイザー 辰巳 渚住宅アドバイザー 辰巳 渚

住宅アドバイザー 
辰巳 渚

 家事塾代表 辰巳渚
  「しあわせな空間の記憶」をテーマにあなたの理想の住まいを見つけるお手伝いをさせていただきます。
 要望の整理など、ご自身の暮らしについて真剣に向き合うと、あなたの「しあわせの空間」が見つかるはずです。
 ぜひ、お気軽にご連絡ください♪