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住宅関連記事・ノウハウ

住宅アドバイザー 辰巳 渚 賞味期限切れが起きるわけ(2)~長もちする家を作るヒント

「しあわせな空間の記憶」を生きる家づくり 住宅アドバイザー 辰巳 渚
 ~ 賞味期限切れが起きるわけ(2) ~

  私たちを支えるのは、しあわせな空間の記憶。
  次の一歩を踏み出す勇気は、しあわせな関係の記憶から生まれる。
  忘れられない、身体に残り続ける記憶。
  それは、「思い出」と呼ぶにはあまりにも深く刻み込まれた、
  私の「いま」そのものなのかもしれません。

 「賞味期限切れ」が起きるわけはつくり手と住み手でそれぞれに知識や経験が足りていないことが原因
■つくり手には暮らしを語れる経験が不足、住み手には家で生活を築いていく知識が不足(写真:野寺治孝氏)

 ◆住みはじめてからもあきらめられない「あきらめ」がある

 女性からは、こんな話をよく聞きます。じつは、私自身にも経験のあることです。

  ケース3:「できません」って言われるのは私がワガママだから?
 業者さんに「ここの壁は珪藻土にしたいんです」って言ったら、「それはできませんよ」とあっさり言われてしまいました。「でも、友だちの家で同じような場所が珪藻土になっているのを見たんです、なんとかできませんか」と聞いても、「この家の場合は、むずかしいと思いますよ。珪藻土に見えるいい壁紙がありますよ」といった、的外れな返事しか返ってきませんでした。そのうえ、いっしょにいた夫は「壁紙でもいいじゃないか。すみませんね、妻がうるさい注文をして」と、まるで業者の味方です。私、施主としてそんなにワガママだったんでしょうか。いまでも、壁紙を見るたびに、「どうして塗り壁にできなかったんだろう」と諦めきれません。

 これは、キッチンなどの水まわりや収納でもよく起きることです。生活にこだわりがあるからこそ細かく出した希望が、しっかり検討してもらえないまま「できません」で終わってしまう。質問しても、わかるように説明してもらえない。納得できない! 業者の側も、もちろん施主の希望を無視しようとしているわけではありません。それなのに、どうしてそんな気持ちのすれ違いが起きてしまうのでしょう。
 答えは簡単で、お互いにお互いのことを知らなさすぎるわけです。施主は暮らしの言葉で語り、生活の範囲の常識に基づいて希望を出す。業者は設計・施工の言葉で語り、設計・施工の常識に基づいて答えを出す。そして、お互いに違う言葉と常識に立っていることが、ほんとうのところ、わかっていないからです。

 業者にとっての常識を、生活の言葉で――たとえば「珪藻土は塗るのに左官職人を入れなければいけないから、いまの予算内ではむずかしいんですよ」「この場所は人の出入りが多い場所だから、はがれる塗り壁はお勧めできないんですよ。壁紙なら張り替えが楽だから、いいと思いますよ」などと説明すればいいのだけれど、そんなことは「常識」だから、説明する必要がないと感じてしまうわけです。「できません」とシンプルに答えることで、「珪藻土にしたい」という希望のおおもとになっている生活への願い、たとえば「自然素材が安心」という思いまでを封じてしまうことに、なかなか気づけないのです。
 施主が建築・施工の知識をもっていないのは、ある意味、あたりまえです。けれど、料理をしたこともないデザイナーがキッチンを設計し、まだ家庭をもっていない若い人が家族用の家を設計することもあたりまえなのが、残念ながら、家づくりの現状です。
 女性である私としては、住宅建築で働く人が、設計であれ施工であれ、男性が中心だったこと、そしていままでの住宅建築が「建物」というハードの視点でできていて、「暮らし」というソフトの視点がそれほど大きくなかったことも、原因だと考えています。

 ◆「賞味期限切れ」が起きるわけ

 こうして現実に起きているケースをたどっていくと、「賞味期限切れ」が起きる家ができるわけがわかってくるはずです。
 誰が悪いわけでもない。つくり手には、建築知識と経験があっても、施主と同じ視点にたって暮らしを語れる生活経験や人生経験が足りない。あるいは、施主と同じレベルで発言してはプロではない、といった思いこみがある。
 住み手には、住宅情報はあっても、家に住みながら生活を築いていく知識=住生活知識が足りない。人生経験も、自分のいままでの経験しかもっていない。願いはあっても、それを言葉にして伝える機会が少なかったので、「常識」が違う相手に伝え切れない。
 それでも、どちらも「いい家をつくりたい」とは思っているから、「この業者なら」「このお施主さんのために」という気持ちだけで、希望的に共感して話が進んでいってしまう。その結果、「希望どおりの家なのに、なぜか不満ばかり」といった結果がもたらされかねない。

 大切なのは、お互いに納得するように話をしながら家づくりのプロセスをていねいにたどることではないでしょうか。

次回は、「賞味期限切れが起きる家」と「気持ちが長もちする家」との違いを、わかりやすく図を使って説明してみましょう。

 隔週木曜日連載中!次回もお楽しみに!

 株式会社家事塾 代表 辰巳 渚

 お茶の水女子大学卒業後、出版社勤務を経て、1993年よりフリーのマーケティングプランナー、ライターとして独立。2000年に刊行した『「捨てる!」技術』で、消費社会の象徴である「物」に対する新しい哲学を提唱し、同書は130万部のベストセラーになる。現在、家事塾での講座やセミナー、講演を通じて、ほんとうに豊かな暮らし方の発信や、生活関連会社・住宅会社へのコンサルティングなど、暮らし研究の第一人者として活躍中。クロワッサン、STORY、ESSE、いきいきなど雑誌及びテレビ等、メディア出演や著書多数。近著に「物の捨て方 のこし方・PHP」 「人生十二相・イーストプレス」がある.

 野寺治孝(Harutaka Nodera)

 1958年、千葉県浦安市生まれ。本郷高校デザイン科、日活TV映画芸術学院卒業。'76年頃から本格的に写真を始める。'79年地元のアマチュア写真クラブ「集団剣」に参加する。広告デザイナーを経て、'84年にニューヨークを撮った作品を自費でポストカードとして製作販売、これを機にプロの写真家となる。 '91年「スローハンド・野寺治孝写真事務所」を設立。国内外を問わず様々な場所をフィールドに独自の視点で捉えた作品を多数発表している。代表作に「TOKYO BAY」「帰郷」「boat」など。 書籍「結婚のずっと前」がベストセラーになっている。
 なかでも「チルチンびと」の表紙などをはじめとして、「コンフォルト」「ニューハウス」「ミセス(妻、娘から見た建築家の実験住宅)3年間連載」住まいに関する作品の評価が高い。

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住宅アドバイザー 
辰巳 渚

 家事塾代表 辰巳渚
  「しあわせな空間の記憶」をテーマにあなたの理想の住まいを見つけるお手伝いをさせていただきます。
 要望の整理など、ご自身の暮らしについて真剣に向き合うと、あなたの「しあわせの空間」が見つかるはずです。
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