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住宅関連記事・ノウハウ

建築家 天野 彰 「新同居」とは?~子どもと住む

「新同居」とは?~子どもと住む

 格好よくてすっきりとセンスの良い二世帯住宅を、デザイナーズマンション同様「デザイナーズ二世帯住宅」と呼ぶかどうか知りませんが・・・ 最近の二世帯住宅はその外観のデザインはもとより、キッチンや浴室などの設備やインテリアまで豪華にデザインされています。それを売り出すときは、まるで互いが勝手気ままに住めそうな天国のような楽しい同居生活が待っているようですが、果たしてどうでしょう。
 確かに、二世帯住宅で肝心なことは各家族の安心で自由な生活です。夫婦のプライバシーを確保し、それを充実し、さらに子ども(孫)たちを含めた配置と繋がりも大切にする。
 モデルルームは暗いイメージは取り払われ、キッチンを中心とした魅力的なリビングやダイニングに目を奪われます。しかも雄大な空間も可能で、巨大な吹き抜けもあるのです。

 しかし、二世帯で住んで居れば果たしてそれは“同居”なのか?
「二世帯住宅」とは同じ屋根の下に親子2組の家族が住んでいることですが、そこには夫婦、さらに子ども(孫)たちも住み、当たり前のことですが、この家族は親子孫の同居と言ってもマンションと同様、まったく別の家に親子家族が別々に暮らしているのです。 確かに夫婦、親子の家族だからと言って、初めて一緒に住む嫁や婿にとってはまったく“別の家族との同居”であり、その生い立ちも家族の雰囲気も根本的に違います。時にとんでもない違和感もあったり、我慢のできない癖もあるのです。当然、双方2組の家族が別々に住みたいと思うのも不思議はないのです。

 そこで私が唱える“新同居”とは、こうしたありうる影の部分を認めながらも2組の夫婦が一緒に暮らしてこそ初めて可能な「活動的かつ積極的な同居」のことなのです。
 バリバリの共働きの子夫婦と、それをサポートする親夫婦の“共働生活”をさらに如実にした親子2世代共働き一家なる同居のことです。共働きのためなどと言うと、どことなく殺伐としてさもしい感もするのですが、同居の一人ひとりに役割分担があると思うと、各自がはつらつとしてなかなかどうして、楽しく温かい同居生活となるのです。

 実はこのことを今さら“新同居”などと言うのもおかしな話で、これこそあの白川郷にある養蚕のための合掌造りの大家族の住まいで、まさしく「父ちゃん、母ちゃんそして兄ちゃん」の“3ちゃん農業”であり、漁業、商家だったのです。こうして一家に住む家族全員が一緒に働いて稼ぐ「生産的な家」のことなのです。
 しかもこうした家の中にはちゃんと“家長”が居て、封建的ではあったにせよ、営々と何代にも渡って家は続いて来たのです。かつて嫁が邪険にされたようでもあったのですが、実はそれも家長の補佐役となるべく修練の場でもありその嫁がまた営々と家を継いで来たのです。

 このような生産的かつ積極的な同居が、今、少子高齢化の現代こそ家族総出の「親子“共働”住宅」であり、イラストのプランのように、互いの夫婦のプライバシーを守りながらのチームワークは、まさしく“新同居”と呼ぶにふさわしい新しい同居スタイルなのです。
例え同居のきっかけが、新築や建て替えのための土地代や建築費のためや、子育てや介護のサポートだったとしても、この親子が「共働」の姿勢で前向きで、生産的かつ修練の場にしたいものです。

二世帯同居住宅プランです
■イラスト左:K様邸 同居共働住宅1階は親2階は子夫婦  ■佐賀 O様邸 二世帯『同居』住宅例(画:天野彰)

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表