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建築家 天野 彰 他人との「同居」が暮らしやすい?「契約同居」?!

他人との「同居」が暮らしやすい?「契約同居」?!

 マンション暮らしでお隣りさんや上下階のつき合いや騒音などで苦しむことがあります。しかし互いの迷惑のため、よほど変な隣人でない限り話し合ったり、管理人さんを通して問題を解決することができます。わが国もこうした共同住宅で住むマナーが定着してきたからです。
 ところが二世帯住宅のように同じ屋根の下で親子が上下別々に住むと、マンションではできたこのマナーはおろかつき合いさえぎこちなくなって、それがせいで苦悩となることが多いのです。実の親子でありながらいったいなぜなのでしょう?

 それこそ実の親子だからこそなのです。他人と住むのとは違って遠慮もなく、しかも身内だからとついつい甘えてしまうからです。ところが子夫婦は実のわが子とは言え嫁や婿とで成り立っているのです。親子と親しいだけについそこのところを見落としがちなのです。
 長年同居の設計のお手伝いをしてきた私も仲良し親子を見るとついこのことを忘れそうになるのですが、設計図に顕われないちょっとした些細なことが原因で大きな悩みや不自由を感じることになるのです。それが「鬼の住むところ」となってしまうのです。しかもマンションのようにルールもなく管理人に相談することもできないのです。

 前回まで息子夫婦、すなわち嫁と同居する場合はあえて毎日目を合わすことができる一体同居が良いと言いました。その一体同居ができないのなら「二世帯住宅」はおろか「近居」などと言われる「スープの冷めない距離」などにも住まない方が良いとまで言っているのです。ま、せいぜい電車で一駅以上離れてわざわざ行き来するほどの距離感が良いのです。

隣に上下二所帯の契約同居プランと実例
■イラスト:隣に上下二所帯の契約同居プラン ■M様邸:隣に上下二所帯の契約同居の家(天野彰)

 なぜなら同じ屋根の下で上下Ⅰ、2階ほど近くに住みながら互いの顔も見せないことの方が不自然だからです。その反対に娘同居は母娘は甘えることができ頼りすぎるため敢えて二世帯に分けて住む方が互いの自立ができるのです。
 しかし子夫婦を無理に誘って同居するよりは賃貸住宅のように家の半分を別のよその若い夫婦に貸して他人と二世帯住宅にする方が良いかも知れません。子どもがいない夫婦や、すでに外で所帯を持っているなど同居をしない場合なども老いても寂しくなく気楽でさらに経済的です。

 私はこれを「契約同居」?などと言って多くの夫婦に勧めているのです。
賃料を少し安めに設定して本当に家族のように同居? している夫婦も多いのです。

多世帯と住むS様邸
■S様邸:二所帯とは言わず多世帯と住む(天野彰)

 ★毎週土曜日 最新コラム公開中!   次回お楽しみに♪

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表