住宅関連記事・ノウハウ
将来まで見据えたマイホーム計画が大切
1 将来まで見据えた間取り・マイホーム計画が大切さ
住まいの間取りを考えることは楽しいものですね。現実は予算と敷地の兼ね合いから、実現できないことも多いのですが、間取り計画とはマイホーム取得にあたって最も重視すべき点です。おうちは一度完成してしまうと、かんたんに修正はできません。増改築という手段もありますが、相当な出費がかさんでしまいます。これから得るマイホームで長く安心して暮らすためには、20年後、30年後の我が家はどうなっているのか?家族構成や建物の状態を予測し、将来の変化にも柔軟に対応できる間取りの家を考えてみましょう。
間取りを決める要素
住むひと
家族構成が間取りを決定づける最大の要素です。誰と誰がこの家に住むのか明確にしておきます。住む予定の家族全員の意志確認は間取り検討前に済ませておきましょう。将来的に同居を見越して二世帯住宅を建てたものの、親は同居するつもりがなかったという話はよくある話です。
住む年数
家族の平均余命を予測し、これから建てる家に住みたい年数を検討しましょう。耐久性のある建物は長く住めますが、あわせて『飽きのこないデザイン』も重要な要素になります。家族の高齢化に備えてバリアフリー化も検討しておきましょう。平均余命を予測するには以下のサイトを参考にしてみてください。
参考(外部リンク):厚生労働省 平成24年簡易生命表の概況
家族数の変化
30年先まで見据えた、将来の家族数変化を予測しましょう。子どもは何人か?子どもはいつ独立しそうか、親や子世帯との同郷の可能性など、子ども部屋のように比較的短期間に変化する部分をどのように使うか、子どもたちが独立後は、趣味の部屋や来客用寝室に変えるなど、ライフスタイルの変化を予測して、リフォームするかなどを設計前に検討しておくと、住み始めてから困ることが少なくなります。
2 間取りの参考
たっぷりした収納スペース
収納スペースは居住空間の10%~15%程度が最適。設計のときには、毎日使うモノとたまにしか使わないモノに分類して、毎日使うモノは使う場所の近くに出し入りしやすいように収納することがポイントです。
ウォークインクローゼット(毎日使うものを収納)
寝室などに併設して、普段着や小物、寝具などを収納します。ウォークスルーにすると、廊下代わりにも使えます。納戸(たまにしか使わないものを収納)タンスや季節ものをまとめて収納できます。4.5畳程度の窓のない個室を納戸にする例が多いようです。
パントリー(食品庫)
キッチン横に配置して、保存食品や乾物、常温保存の野菜など保管します。勝手口横にパントリーをつくると、買い物の収納に便利です。
壁面収納(見せる収納)
壁面に大きくつくったクローゼットや棚のこと。その部屋で使うものを収納できる。
ニッチ棚(見せる収納)
ニッチ棚とは、壁面をへこませてつくる収納。壁裏に空間がある場合につくることができます。
玄関横収納(野外で使うものを収納)
玄関収納のある家 事例一覧より
玄関の土間横に配置します。ベビーカーやサーフボード、スノーボードなど、野外で使う背の高いものかさばるものなども収納できます。
天井裏収納(たまにしか使わないものを収納)
戸建住宅の屋根裏を活かします。折りたたみのはしごや固定階段で出入りしますが、条件が許せば固定階段にしたほうが、格段に使い勝手がよくなります。
3 開放感あふれる空間編
たくさんの光を取り込んだ開放感あふれる空間
リビングは家族が集まるだんらんの場。家のなかでもっとも長い時間を過ごすことから広いスペースを確保して、採光や通風にも配慮します。
2階リビングは容易に採光と通風を確保できる
住宅密集地では、2階にリビングを配置すると採光や通風が確保できます。周囲の視線が気になりにくいこともメリットのひとつです。
縦横に空間を広げる吹き抜け
吹き抜けの上に窓を設けることで、直射日光があたらない1階にも光が差し込むほかひとつの空間にも複数の風の通り道をつくることができます。
戸外と連続した空間を作り出す中庭(ライトコート)
建物の中心に中庭を設けると、取り囲むすべての部屋に光が入ります。近隣の視線も気にならないこともメリットのひとつです。
4 上手におもてなしできる空間
来客動線と生活動線は交わらせない
住み心地に大きく左右するのが、家族が生活するために動く生活動線と来客が動くための来客動線を交わらないようにすることです。生活動線は、家族の行動や動きを想定しながら計画を立てます。動線が交わると人と人がぶつかりやすく、暮らしにくい家となります。
来客が上がり込むことは少ない
家のなかに来客の視線が向かないように、玄関を広くしたり、格子の間仕切りなどで通風と採光を確保しながら視線を遮ると効果的。
来客が上がり込むことが多い
広々したLDKを確保しながら、室内を仕切る大きな引き戸で視線を遮る工夫や2階にトイレを設けることで生活動線と来客動線を交わらせない工夫が大切です。来客をも交えた複数人で料理したり会話したりする機会が多い家庭には、アイランドキッチン(オープンキッチン)がおすすめです。食事後に片づけするときや調理器具などを隠すには不向きな構造なので、逆にキッチンとダイニングを壁で仕切りキッチンだけひとつの空間でまとめる独立キッチン(クローズドキッチン)にすることで、調理後や食事後の雑然としたキッチンを来客から隠すことができます。コミュニケーションは少なくなりますが料理の熱などがもれにくくなるメリットもあります。
5 家族とのコミュニケーション編
家族とのコミュニケーションは、開放的なリビングはもちろんのこと、開放的なキッチンや可変性をもたせた子ども部屋、共有のワークスペースのほか、予算がゆるせば家族がいっしょに過ごせる庭や屋上バルコニーがおすすめです。
対面キッチン
キッチンからダイニングに目が行き届くことから、自然に会話が弾みます。キッチンを壁で囲いつつカウンター部分だけ開放すると、料理によるコミュニケーションがとれます。
大型のダイニングテーブル
ダイニングテーブルは、家族の食事だけではなく、来客用や子どもの勉強机としても活用できる。
可動式収納で間仕切りした子ども部屋
大きな個室を間仕切りして、2人分の子ども部屋にします。完全な個室にするには、あらかじめドアを2つ設けておくといいでしょう。
リビング階段
リビングやダイニングに階段を設けると、家族が顔をあわせる機会が増えます。
階段上の共有ワークスペース・書斎コーナー
階段を上がりきったスペースに家族共有のワークスペースや書斎コーナーを設けるプランは、子どもたちの遊び場や持ち帰った仕事、ちょっとした作業をする場所になります。
テラス、ウッドデッキ、屋上庭園
リビングからつながるテラスやウッドデッキは、ベランダ代わりにも使えます。住宅密集地では、屋上に庭を設けることで外部からの視線や採光も気にならなくなります。
6 高齢者と過ごす編
高齢者が暮らしやすい住まいにするには、いくつか配慮すべき点があります。
段差をつくらない
高齢になると、ほんのわずかの段差が最も危険です。廊下と居室、居室と居室の間の段差はできる限りなくしましょう。
手すりの設置
どうしても段差をつくる必要な玄関や階段には、必ず手すりを設置しましょう。手すりの高さは使うひとの足の付け根のあたりが基本になります。
すべりにくい床材(浴室洗い場にも配慮)
床材にはすべりにくい工夫がされたものを選びます。特に浴室の洗い場や洗面脱衣所は、滑りやすいのでより慎重に選びましょう。
高齢者には引き戸をお勧め
足腰が弱ったり車椅子の場合、開き戸では開閉の負担が大きくなります。引き戸であれば、そのような心配はありません。
高齢者の居室は1階に
高齢者の居室は1つのフロアで事足りるようにしましょう。洋室でベットにすると、本人や介護の負担も少なくなります。
水廻りスペースにはゆとりをもって
介護をうけるようになると、トイレや入浴などに介護者がつくようになります。1人分のスペースしか設けていないと、介護者に大きな負担がかかります。
住宅内の温度差をなくす
住宅内の温度差をなくすことは、最も重要なことです。たとえば、暖かい居室から寒いトイレや浴室に移動すると、温度差でダメージをうける『ヒートショック』を起こしやすくなります。住宅の断熱・気密性能を向上させることで、室内の温度差が少なくなります。温度差が大きなときは、場所ごとの暖房方法を考えましょう。
7 趣味を楽しみたい!おすすめ間取りをご紹介
リビングシアター
リビングにスクリーンやプロジェクターを設置すれば、ホームシアターとして楽しめます。あわせて、遮光カーテンや防音・遮音対策を講じたり、室内反響音を調整(チューニング)することで、オーディオ、楽器演奏、声楽の練習などにも活用できます。室内反響音の調整は独特のノウハウが必要になりますので、住宅会社の営業担当より、音響解析と施工ノウハウに長けた専門家に相談した方が満足度の高い室内空間になります。映画好きの方には是非おすすめです。
書斎
書斎コーナーは、寝室の一角や階段の踊り場などにデスクや書棚を設けるだけでも、読書や持ち帰った仕事を片づけることができます。家族の睡眠や家事に支障が出ないよう、仕切りを工夫すると良いでしょう。
家事コーナー
家計簿をつけたり、ちょっとした作業をする家事コーナーは、キッチン奥などの奥まった場所に机を設置すれば大丈夫。机の近くに専用コンセントを設けておいたり、LAN環境を用意しておくことで、アイロン掛けなどの家事はもちろん、PCやスマホを持ち込んでの作業もできるようになります。
テラス
リビングの外に広いテラスを設け、掃き出し窓を全開にすればテラスもリビングの一部となりますので、開放的な空間になります。リビングからつながるテラスには、できれば屋根をつけましょう。外観や庭の雰囲気にあわせてガーデンファニーチャーを設置しても良いですね。
ウッドデッキ
ウッドデッキとはウッドデッキ木製の床にしたテラスのことです。庭はもちろんベランダにも使えるので、マンションでも楽しむことができます。
サンルーム
テラスをガラスで仕切るとサンルームになります。ガラスの開閉は自在で、外部からの視線を遮るパネルも商品化されています。
屋上庭園・屋上菜園
狭小地でも緑を楽しめる注目を集める屋上緑化。しかし安易につくってしまうと、植物が枯れたり漏水などのトラブルを引きおこします。忘れてならないのは、土の重さと排水についてです。植物の根から建物の防水層を守る対策や倒木を防ぐ風対策など、屋上庭園では、一般的な庭とは異なる、専門的なノウハウが要求されます。自然の土壌は1m3当り1,600kgほどの重さになることから、屋上に10cm敷き込むだけで1m2当り160kgの重さがかかります。現在では、自然土壌の約半分の重さとなる人工土壌や1m2当り60kg程度の超軽量緑化システムも開発されています。排水がうまくいかないと、雨水が溢れて居室側に浸入したり、屋上から土壌や雨水が流れ出してしまうこともありえます。
せっかくのお家づくり!デザイン住宅ならではのこだわりのお部屋を考えてみてはいかがでしょうか。
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