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建築家 天野 彰 核家族した今、同居は簡単にできるのだろうか?~同居は超高齢化に対処できるか?

1 核家族した今、同居は簡単にできるのだろうか?同居は超高齢化に対処できるか?

医療の発達に伴い長寿命に加え生涯設計や社会の基盤が整う前にあまりにも多くの高齢者が一気に要介護対象者になると言う特殊事情と、その為による経済の悪化と財政危機を、今の好景気ムードのせいか、あまり感じていない政策が問題なのです。ここで政治的な話はしたくはありませんが・・・、「住まいづくりの現場」に居ますと、原発の対処と防災の早期対策こそが居住の火急の問題として感じられるのですが、オリンピック開催を契機に、TPPだ、集団的自衛権だなどと今まで話題にもならなかった新たな用件を次々持ち出され、まるで“忙しそうな”政治やメディアとなり、肝心のこの超高齢化と少子化の対策はきわめてムード的な扱いとなり、抜本的かつ大胆な議論はとても望めそうにもありません。今も被災地の復興とりわけ被災者のケア、原発依存から再生エネルギーさらには巨大地震対策がはぐらかされているようにも思えるのです。

こうした事態に物言わずの高齢者やその予備軍はじっと我慢でわが身の老後不安を募らせているのでしょうか?考えてみればこの今の状況をつくったのもこの高齢者たち本人でもあるのです。戦後の経済成長を契機に都市に人口が集中し、地方に取り残された親たちと常態化した核家族化が今、高齢世帯や独居老人の激増となっていることです。この問題は決して医療費や老人の問題ではなく、その子たちである若い世代の不安でもあるのです。

急性期の病院でありながら寝たきり状態の老人病院と化し、若い患者は入院もままならず、当然のことながら行政サイドはそんな医療費を負担することもままならず在宅介護へと誘導することになるのです。行政が短絡的に在宅介護を強いる背景に“親子の同居期待”があるのです。そこに農耕民族であること、そのDNEに「同居」や「二世帯住宅」など、まさしく日本独自の発想や思い込みがあるのです。が、核家族化がここまで進んだ今、果たしてその同居化の確率は?(「同居のイエス&ノーかるた」参照)果たして社会がそんな労働条件となるのだろうか…?

同居のかたち
同居のかたち(画:天野彰)

2 同居化の確率は?またその同居の形態とは?

そのためわたしはカルタのようなゲームをつくりました。(*イラスト「同居のイエス&ノーのカルタ」参照)親子がまったく別々にこのイエスorノーを解いて行きますとその答えは互いの到達点のどちらかの下の方となるのです。まず何よりも親子が一緒に住める距離の職場が大事ですが・・・、遠距離通勤や単身赴任などはとても無理となるのです。

そこで私の提案はあえて親夫婦の自立を促すものです。私もその覚悟を持って準備をして(いや、しようと思って)いるのです。その答えこそが契約同居なのです。

なんてことはありません。あの下宿屋さんです。現代では、賃貸併用住宅と言ったものです。これが老いの住宅資金やリフォームローンを借りる手立てもなるのです。果たしてその方法とは・・・?

ゲーム「同居のイエス&ノーかるた」(画:天野彰)
ゲーム「同居のイエス&ノーかるた」親の側、子の側から駒を進め到達点の下の方が双方の同居の形

3 親子がはっきり契約をしてこそ老いて安心の同居住宅となる?

できれば親も夫と妻、子側もまた夫婦で別々4人の結果が良いのです。そしてその行きついた同居のスタイルが4人の一番下の形態と考えるのです。ここはなあなあでなくクールに、「完全分離」となったら無理をせず完全分離の同居を選ぶのです。なんてことはありません。今の家を減築リフォームして縮め、余った部分を若い夫婦に貸すのです。下宿かアパート併用住宅とするのです。

資金は事業資金ローンで、何歳になっても土地や事業計画書があればできるのです。まさに究極の同居住宅で、家賃を相場より低めにして火急のときの通報や援助など多少の手助けを頼むのです。最近になってシェアハウスしかしここであきらめずに、取りあえず分離二世帯にして割り切って他人の夫婦と住むぐらいの感覚になればいいのです。これが同居がうまく行くコツなのです。実際に既に離れて家を持ち、同居の可能性もない人も、本当に子どもがいない夫婦にしてもこの分離二世帯または多世帯住宅にするのです。そうです!あの賃貸「契約同居」です。デタッチドハウスなど新しい形の共同住宅もあります。あくまで親の母屋に併設した賃貸住宅であり、他人の親子が1、2階で同居したり、一軒の家をシェアするなど新しい家の形なのです。ところがこの「契約同居」には不思議な現象があり、互いの同居が契約ではっきりするため、なんと実の息子や娘夫婦が帰ってきて住みつく例も多いのです。

ペンションのような同居住宅 O様邸
ペンションのような子側リビング O様邸(天野彰)

もともと日本人には本質的(本能的か?)に親子が別々に住むことは不本意なことで、職業形態が変化したためにしかたないことで核家族化が進み、地方出身者にはいまだに出稼ぎ感覚もあり、実家がある人は勤め上げるとUターンか、奥さんの実家へのJターンなどと、まるで家族の“帰すう本能”があるようで、底辺には親子双方に同居の願望もあるのです。

現代は少子化で長男長女同士の夫婦も多く、夫婦双方で4人の老親を抱えることにもなりかねないのです。実際に子どもたちも老いた双方の親が各地に居て、いつ病や異変に倒れるか?果たしてその時医療や老人施設が思ったように受け入れてくれるか?などと不安をつのらせてもいるのです。超高齢化社会とは老いた親の問題だけではなく、その子たちの問題でもあるのです。まずは親が近くにいれば安心で、さらに子どもを預けられそうなことと、親の側も身内の“見守り”は現代社会においてはかけがえのない大きなセキュリティーが本音なのです。そこで、わが子夫婦と同居するだけではなく、まったくの赤の他人と住む感覚創ることなのです。現代の若者たちが憧れる炉辺のペンションのような楽しい住まいを考えるのです。するとそのロビーに“客”である子どもたちは自然に寄って来て、しかも老いの生活資金の足しにもなるのです。そこに“オーナー”である親も一緒に暮らすのです。

ここに子夫婦が住まなくても本当に他人の若い夫婦でもいいのです。まさに自分が経営するペンション、あるいはグループホームをつくって若い人たちと一緒に住むのです。このバリアを外した住まいこそがこれからを生き抜く“終の住み処”ともなるのです。

暖炉のあるLDK K様邸 炉辺の居間 N様邸
現代暖炉ののリビングK様邸  現代炉辺のN様邸(天野彰)

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

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