<住宅ローンを売り手の立場から見ると>
住宅ローンを大別すると、固定金利の住宅ローンと変動金利の住宅ローンに
分かれることは皆さんご存知でしょう。
そして、住宅ローンを選ぶ時にまず考えることは、固定ローンと変動ローン、
どちらが有利か、ということになります。
しかし金利の先を読むのはプロでも難しいので、正直なところ、正解は無い
といったほうが正しいのかもしれません。
そこで、借りる側の立場からでなく、貸す側の立場からちょっと考えてみましょう。
もともと住宅ローンの返済は額が高額であることから、一般の人にとっては
長い期間をかけて少しづつ返済していくのが普通です。そしてお金を借りれば
利子がつくのが当たりまえですから、住宅ローンにも当然利子がつきます。
それが住宅ローン金利です。
それでは住宅ローンの金利はどうやって決まるのでしょう。
日本では長期の金利は新発10年物の国債の金利、短期の金利は政府の政策金利
(無担保コール翌日物金利)を基準に金融機関それぞれが独自に決定します。
たとえば、直近の新発10年もの国債の金利は1.45%前後です。
金融機関ではこれに自社の手数料などを上乗せして(通常2%前後)、
自社の住宅ローン金利を決定します。
ちなみに固定20年では、大手金融機関の場合、優遇金利適用で3.4~3.6%といったところです。
ところで、金利は短期のほうが長期の金利より低いのが普通です。
〔逆転現象も、数年前の米国のように、時として見られますが〕
そして、将来、物価が上がってインフレになるという見通しが強まれば長期金利は上がります。
つまり、有る意味で、長短金利の差は、将来金利が上がる可能性のリスクの度合いを
表しているとも見ることができます。言葉を変えれば、金融機関にとって、将来、
金利が上がるかもしれないリスクをとって長期にわたる資金を貸し付けるわけですから、
長期の固定金利ローンの場合、将来の金利の上昇リスクをカバーできると
思われる程度の金利で貸し出す必要があることになります。
そのリスクが大きいために、長い間日本では、長期固定の住宅ローンは、
国の金融機関である住宅金融公庫(現在の住宅支援機構)のみが扱ってきました。
最近では大手金融機関でも長期の固定ローンを扱っていますが、これはローンの
証券化などの新しい金融手法によって、将来の金利上昇リスクを他に移転させて
しまうことが出来るようになってきたためです。
それでは、次に変動金利ローンについて考えてみましょう。
変動金利ローンとは、金利が市中金利に連動して変わるローンです。
金利が上がればローンの金利も上がりますので、金融機関が金利上昇のリスクを
抱える必要はありません。金利上昇のリスクは、変動金利ローンでは金融機関に
変わってローンを借りる側が取ることになります。
これが、実は変動金利ローンのある意味での本質です。
短期で見れば、超低金利の現在は、金利の低さを当面のあいだ享受できる
変動金利ローンは、借り手にとってメリットがありますが、
住宅ローンが基本的に長期にわたる返済である以上、金利上昇のリスクは、
最後は借り手が取ることにかわりはありません。
つまり変動金利ローンは、金利上昇のリスクを貸す側から借りる側に転嫁した
商品であるということになります。そして金融機関が、かわって抱え込むリスクは、
金利上昇によって増える貸し倒れリスク、ということになります。