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住宅関連記事・ノウハウ

建築家 天野 彰 地震に勝つ家負ける家(3)-敷地を見る-

地震に勝つ家負ける家(3)-敷地を見る-


地盤によって揺れ方が違う

 この国に住む以上地震はもとより台風そして津波は防ぎようがありません。近年は火山の噴火や爆発までが災害の脅威となっているのです。

 長年家づくりに関わって来て、特に耐震耐火など防災に心がけて来たものの、便利で人が集まりやすい都市の平野部の活断層やあの巨大津波には愕き途方に暮れたものです。どんなに快適で住みやすい家も大地震であえなく倒れ隣家から延焼してしまっては家はおろか命を失うことにもなりかねません。また今回の東日本大震災のように大津波や液状化も心配です。

地盤によって揺れ方が違う(画:筆者)
<イラスト:地盤によって揺れ方が違う(画:筆者)>

 なによりもかつての宮城地震にしても、20年前の阪神・淡路地震にしてもあの恐怖の揺れの体験と、長く続く余震による避難生活の不安や不自由さ、そしてその建て替えや修復予算の多額の出費を迫られ、ついにはその街と家を捨てた人も多いのです。
 そんな惨状をテレビの実況で目の当たりにしながらも相変わらずあれは“対岸の火事”か?あるいはもしあのような地震が来たら、“あきらめるしかない”などと開き直っている人も多いのです。とんでもありません。防災はそこに住む人の心がけ次第で、しかもちょっとした工夫とわずかな費用で今の住まいは耐震補強でき家族の命を守ることができるのです。

 そして今その都市直下型の阪神大地震から20年が経ち、後の東日本大震災から4年が経ちました。主な被災は巨大津波でした。

 そこでわが家が建っている街やその位置、そしてその地盤がどの部分に相当するかを知ることが大切なのです。その方法は、各市町村にあるハザードマップ、さらには海抜を示した地形図を入手し、新興宅地であれば申請に使った造成図を見せてもらうか、担当した施工者に問い合わせることが手っ取り早いのです。
 さらに造成が古い宅地の場合ではその団地や敷地周辺を散歩しながら、やや離れた対面の高台などから眺めて見ますと、もとの山(地山)や原野の成りがおぼろげながら見えてわが家が削られたところか土盛りされたところかなどが分かります。

 そして周辺の道路のひび割れを見て敷地のその方向と広がりによって道路や隣地に対しわが敷地が地山か盛り土か埋め土かが想定できるのです。古くから住んでいる人の話などを聞いて地盤の形成の歴史を探ることができます。
 その結果埋め土や盛土で沈下がひどい場合は家の周りに杭を打ち、その上に家の外周に現基礎の補強の布基礎をめぐらし支えるという大胆な方法や、さらに地盤そのものが地震に対して不安な場合は、まずよう壁を見て、ひび割れていればやり直し、地盤にモルタルや石灰などを注入し固め、地盤改良する方法もあります。

 さらに地盤そのものが隣地や道路から下がっていて水はけもできないなど家が腐りやすく危険です。湿気やカビで健康にも良くありません。簡単な応急処置もありますが(イラスト)、これを根本から今のまま改良することは不可能です。思い切って今の家を壊して新たな土を加えて顛圧(てんあつ)し地盤を造成しなおした上で建て替えるか、敷地に余裕があれば曳家やジャッキアップによって、新たな高基礎を造り元に戻すのです。

イラスト:低い敷地の応急対策
<イラスト:低い敷地の応急対策>

ジャッキアップと曳家で新たな高基礎をつくる(筆者撮影)
<写真:ジャッキアップと曳家で新たな高基礎をつくる(筆者撮影)>

★毎週土曜日 最新コラム公開中!   次回お楽しみに♪

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表