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建築家 天野 彰 家のデザインはどうあるべきか?(3)~家には格式がある?

家のデザインはどうあるべきか?(3)~家には格式がある?


―家は「寝戸」とともに宀に象徴の豕を供える場?家は「国家」―

 もともと「いえ」の語源には諸説があり、そのなかでも、人が戸を閉めて安心して寝られるところ、の「寝戸」すなわち「イへ」それが転じて「イエ」と言われている。私はそれが安心の「家」の呼称としてすなおに納得しているのだが・・・。
 しかしその一方で、住む人や家族の都合や快適性だけを求めて来た私たちは、今本来の『家』の持つ意味を忘れかけていることにも危惧するのです。

「家」の文字の起源とは、古来、神仏や先祖を祀る屋根、すなわち「宀」のことで、その下に供えものの生け贄である豚すなわち「豕」などを供えていたこととされる。
 すなわち『家』はそこに住む家族、あるいは一族の先祖を祀るきわめて神聖な場所でもあったのです。前にお話した『裸足の家』の意味はこうした家の清潔感にも係わるのです。そしてこの『家』はわが家の象徴となって本家、分家、そしてさらに「お家」の存在が形成され、それが今日でもプライドとして各自にあるのです。家族が持つその「お家」の価値観とその象徴性を家族が心に抱きながら「わが家」を求めているのです。

 それは俗に言われる財産としての家ではなく、所有権やましてやマンションなどの不可解な「区分所有権」などのレベルではないのです。「家を持つ」こと、もっと大げさに言えば「城を持つ!」そんな気持ちでいることです。

イラスト1:家の顔は家族の顔、国の顔
<イラスト1:家の顔は家族の顔、国の顔>

 それこそがわが国の家の姿であり、持ち家志向がいまだに根強い原因なのです。その点、行政や家づくりにかかわる設計者や施工者はもっとその格式やしつらえを今に残す家のカタチとしてデザインすることが重要でもあるのです。
 家を持つ人たちもそのことを最優先に考え、「とりあえずの賃貸住宅」あるいは「仕方ないがマンション」と考えず。デベロッパ-などの住宅供給者の都合に引きずられることなく「わが家はどうあるべきか?」「わが家を持つことの意味とはなにか?」を自ら考えて方針を決めることです。

写真1:後の世に継承できる堂々とした家を求める(岐阜N邸)天野彰設計
<写真1:後の世に継承できる堂々とした家を求める(岐阜N邸)天野彰設計>

 そんなさ中、「国家」のプライドを損するような国立競技場やエンブレム、さらにはマイナンバーの巨大システムに絡む官僚汚職などの国家の管理責任となるぶざまな事件があい続いて起こり、なんと!しかも今度は多くの国民の命に係わる新たな耐震偽装事件が起こったのです。
 あの世界を震撼させ、多大な支援を受けた阪神と東日本大震災以来の耐震強化が叫ばれている中、大手住宅供給者や建材会社が、その根幹となる基礎杭や耐震ゴムの強度を偽装するなど、今や「技術大国の心」などの継承はおろか、その大手企業のコンプライアンスさえも管理できない国家となっているのです。

(左)写真2:狭い中でも小上がりの“座敷”(都内N邸〉天野彰設計 (右)イラスト2:たった「一枚の板の“床の間”」
<(左)写真2:狭い中でも小上がりの“座敷”(都内N邸〉天野彰設計 (右)イラスト2:たった「一枚の板の“床の間”」>

 今、わが国の家は国籍不明のデザインやカタチの家に溢れながらも、座敷や床の間風の小上がりや、イラストのような「たった一枚の板の床の間」ででも、守るべき「家」の伝統と格式を家の内外に保ち、先祖より受け継がれている「プライドのある家」をつくり、しつらえを守り、確たる文化を次世代に継承していく心が、安全な「家をつくり」「格式ある家を持つ」ことではないでしょうか?

 蛇足ながら、この2015年10月26日(月)発売予定の雑誌「プレジデント」誌上にてそんな“改めた家づくり”が、国を救うことを願ってお話しています。

イラスト3:モダン床の間
<イラスト3:モダン床の間>

★毎週土曜日 最新コラム公開中!   次回お楽しみに♪

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表