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住宅関連記事・ノウハウ

建築家 天野 彰 生かすか壊すか?(4)セルフディフェンスとサポートの家

生かすか壊すか?(4)セルフディフェンスとサポートの家

 これからの私たちの家は「セルフディフェンス」と「セルフサポート」ができる家がなによりもいいのです。特に年老いて夫婦二人だけで住むには大きな家より身のほどのサイズのこじんまりした家が住まいやすいのです。
 その家は何も新築する必要もないのです。それこそ今の家を思い切って整理し、最小限に減築して、余ったスペースをアパートや貸駐車場にし、趣味の仕事場などにするなどしてそれを糧(かて)に長い老後を生きていくこともできます。

イラスト1:室内からも方杖(ほうづえ)や柱梁(はしらはり)の補強など少しずつでも耐震強化に努める
<イラスト1:室内からも方杖(ほうづえ)や柱梁(はしらはり)の補強など少しずつでも耐震強化に努める>

 今まで、はなやかに暮らしてきた人々や、わが家だけで悠々自適に過ごしてきた人には今さら面倒で惨めったらしい感じもするかもしれませんが・・・、こうも寿命がのびて、医療費はもとより年金不安、さらには介護施設での不祥事などが起こるとますます老後不安を掻き立てられるのです。今時代が大きく変わっていることを認め、改めて老いて生きていくための方策を考える必要があるのです。

 このことはなにも高齢者に限らず、若い世代もかつての世の中の経済至上主義社会から持続社会へとバランスが大きく変わり、しかもかなりの高い確率で大地震の可能性もあるのです。
 記憶に生々しい都市直下型の阪神大震災や、その僅か16年後の3月11日東日本大震災の大津波とまさかの原発の破壊も起こりうるのです。

イラスト2:家具が倒れて下敷きにならないように天井までの家具。簡単なつっかいで助かる。
<イラスト2:家具が倒れて下敷きにならないように天井までの家具。簡単なつっかいで助かる。>

 ひところ「危機管理」や「コンプライアンス」なる言葉が流行ったこともありますが、それらはまさしく絵空事で、実際に立て続けに起こった大震災のまだ5年もたたないうちにあいも変わらず、その根幹である耐震や杭の偽装、さらには免振ゴムの偽装など!信じがたい企業のあり方や行政監査も含め、あらゆることが信用出来ない世のなかとなってしまっているのです。
 その都市や国家の危機管理にしても、次々に建つ高層ビルの反面、肝心の道路や鉄道さらには上下水道など、あらゆる都市のインフラが老朽化し限界超え、オリンピックの新施設づくりにうつつを抜かしている事態ではないのです。

イラスト3:弱い柱を”二本の通し柱”を添えて”三本の矢”に補強する
<イラスト3:弱い柱を”二本の通し柱”を添えて”三本の矢”に補強する>

 住まいも、持ち家願望が80%とも言われるわが国の特殊実情からか湾岸の高層住宅に対し、市街地の老朽家屋の空き家がかつての予想をはるかに上回り800万戸以上とも言われ、バブル期の分譲マンションも補修や建て替えなど、とてつもなく大きな試練を迎えようとしているのです。しかも高齢世帯や独居老人などが多く、改めて低家賃の優良公共住宅の供給がなされなかった国情に思い知らされるのです。
 こうした現実を誰もが止めることもなく実行されて来て、わが国の本来の堅実と誠意がついには食や医療などあらゆる分野に企業ぐるみの偽装や詐欺が横行するような結果となっているのです。

 しかしながら私たちはこれからも生きて住んでいかなければなりません。何も突然の危機に悲観することなく、徐々にやってくる老いや老朽化など、わが内なる危機を想像し、頼るばかりではなく、都市に住む一人一人が「セルフディフェンス」と「セルフサポート」の自助自立の意志と思考を持つことこそが大切な時代と思うのです。

写真:天井までの造りつけの家具で倒れないばかりか天井まで支える
<写真:天井までの造りつけの家具で倒れないばかりか天井まで支える>

★毎週土曜日 最新コラム公開中!   次回お楽しみに♪

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表