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建築家 天野 彰 天野彰~同居を改めて考える(2)親子が共同で住む「同居」

天野彰~同居を改めて考える(2)親子が共同で住む「同居」

―「同居」の「意味」と「責任」は?―

 「同居」はわざわざ他人と同居する賃貸「契約同居」とまでせずとも、ここで改めて「親子の同居」について考えてみましょう。
 親子が仲睦まじく住んでいる光景は本当に和やかで気持ちのいいものです。「サザエさん一家」にしても読売新聞連載漫画の「コボちゃんにしてもその日常がいかに日本的な風情と安心感をもたらすのか?その原因はわが国大家族の大きな文化なのかも知れません。

 が・・・、その「同居の文化」を壊してしまったのは、他ならぬハウスメーカーや工務店、さらには私ども建築家をはじめ、住宅金融公庫などの金融機関や行政、政府もただならぬ責任があると思うのです。
 それこそ今までの「同居」の住まいのメリット、さらには「三世代同居」から「二世帯住宅」なる合理的手法などを売り文句にして「大きな家」、「安心の家」を売る商魂に他ならないのかも知れません。事実、これで多大な利益を上げたハウスメーカーも多いのです。

 果たしてこの「二世帯住宅」の登場によって真の意味での「おじいちゃん」「おばあちゃん」文化は消滅し、「ジイジとバアバ」の名称のみとなったのです。つまり一緒に住む祖父母で無くなり孫でも無くなったのです。
 同じ屋根の下で、同じ敷地を使って一緒に建てる・・・。が、“勝手気ままに住む”親子二世帯住宅となったのです。言わば、不特定多数の人が住む「小規模集合住宅」すなわちマンションとなったのです。

イラスト:二世帯住宅の断面、(画:天野 彰)
<イラスト:二世帯住宅の断面、(画:天野 彰)>

 なるほど親子互いにも都合がいい。外階段で、玄関も別々。生活も邪魔にされず孫も時々会えるが、普段は子育ての責任もない・・・。しかし一世代離れた母親の文化も、二世代離れた祖父母の「生きた歴史」や「味」の日常も継承されない。勝手気ままが先行し、共同で住む思いやりも気づかいも心遣いも醸成されることもなく、万が一意見を言えば、近い割にうるさい“他人”となっていたのです。

写真: 二世帯住宅の事例A邸(写真:天野 彰)
<写真: 二世帯住宅の事例A邸(写真:天野 彰)>

 ならば無理をして「同居」などせず、離れた所に別々に住む方が経済的にも心理的にも頼らず、子の側も親の側も独立心と生きる覚悟ができる。しかし少子高齢化が進み、いよいよ「老いの暮らし」と「子育ての不自由」で少し状況が変わって来たのです。

 次回からは「同居は少子高齢化社会を救えるか?」について。

(お知らせ)
「コ・ベネフィット型 減築リフォームは超高齢化社会を救う」を6月1日~3日ビッグサイトにて開催の建築再生展にて展示します。初日1日午後1時半ごろから「『減築』リフォームは超高齢化社会を救う?」をセミナー会場にてお話しする予定です。入場無料ですのでどうぞ。
 >> 建築再生展2016 http://www.rrshow.jp/

★毎週土曜日 最新コラム公開中!   次回お楽しみに♪

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表