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住生活コンサルタント 早坂淳一 ネクスト・アイズ株式会社【LED照明】設計段階から注意したい!加齢に伴う照明のポイント

1 LED照明の導入について

LED照明の導入について

目の前で指を左右に動かすと、こま送りのように見えた住宅時事

LED照明の導入をお考えの方々にとって、また気になる問題がありました。LED照明そのものについては、私はその省エネ性能の高さを考えると、まったく否定するつもりはないのですが、先日札幌市役所でLED照明に対する法整備が追いついていないことを象徴するトラブルがあったそうです。

そのトラブルは、今年の春から始まりました。昨今のエコ対応を受け、札幌市が2010年3月に市役所の執務室や廊下にある約9000本の蛍光灯を直管型LED照明に取り換えました。その直後、一部の職員から「目が疲れる」「気分が悪い」といった体調不良を訴えたとのことです。この職員からの相談を受け、市がアンケート調査したところ「業務に支障がある」と答えた職員が7.4%にも及んだそうです。

この原因は、蛍光灯やLED照明、ブラウン管がもつ「フリッカー」と呼ばれる現象からきています。「フリッカー(flicker、フリッカ)」とは、蛍光灯やブラウン管を用いたディスプレイに生じる細かいちらつき現象で、人間の目でその点滅を認識できるようになる現象です。たとえば、フリッカーの生じているディスプレイを長時間使っていると、疲労・めまい・吐き気などにつながります。蛍光灯でも、フリッカー現象を起こします。通常、蛍光灯は50Hzの電源を使うなら100Hz、60Hzの電源を使うならば120Hzで点滅を繰り返しているのです。この頻度は、人間の目で感知できないほど大きなものですが、蛍光灯の寿命が近づいてきて一度の点滅の残光時間が短くなってくると、点滅の感覚が目立つようになってフリッカーとして認識されるようになってきます。

LED照明の場合でも、蛍光灯と同じような点滅を繰り返しています。LED照明でも50Hzの電源を使うなら100Hz、60Hzの電源を使うならば120Hzで点滅を繰り返しているのですが、LED照明の場合は蛍光灯と違って『残光』がありません。札幌市の周波数は50Hz。つまり1秒間に100回の頻度でオンとオフを繰り返します。となると、見え方はどうなるのでしょうか?照明が1秒間に100回の点滅を繰り返すわけですから、見え方によっては目の前で指を左右に動かすと、こま送りのように見えた状態に陥ります。

このようなトラブルが起きる原因とは

こうしたトラブルの根本的な原因は、LED照明の規格や基準の法整備が進んでいないことにあります。実は、現時点では大半のLED照明は電気用品安全(PSE)法の規制対象外なのです。LED照明の安全性は法的に担保されておりません。

そこで、経済産業省は電気用品安全(PSE)法の政令改正方針をようやく掲げました。2011年3月までに電球形のほか、光源と灯具が一体のLED照明を規制対象に加えるとのこと。ちらつき防止の規定については安定的に点灯動作するための装置を設けるといった記述程度になる見込みです。

その理由は、「明るさや電圧の変動幅がいくらまでなら健康被害が生じないのか、客観的な数字で規制するのは難しい」(同省製品安全課)からです。

先日の記事でも書いていますが、LED照明については、明確な規制がないばかりに品質に問題ある製品が市場に出回り、トラブルに巻き込まれた消費者が不信感を募らせるという状況が生まれています。その際、気になることが設備機器を選択する責務をもつ設計者が、これらの情報をどこまで把握しているのか。また、発注者である『家を建てる・リフォームする方(施主)』に対して、どこまでLED照明のメリット・デメリットを説明しているのか。照明をはじめとする電化製品は経済産業省の管轄であり、国土交通省の管轄ではないことが、設計者に対する的確なネガティブ情報を伝えていくことを難しくしています。あたりまえの話ですが、施主にとって安全で高品質な製品を選ぶのが設計者の仕事である以上、このような事例も事前にきちんと把握しておくべきだと考えられるのです。

2 設計段階から注意したい!加齢に伴う照明のポイント8選

設計段階から注意したい!加齢に伴う照明のポイント8選

加齢に伴う目の機能の衰えについて、自分の体験を交えて必要なポイントをまとめてみましょう。目の機能の衰えにも配慮した照明計画は、こんなはずじゃなかったのに…と、あとで思わないようにするためにも、とても重要なポイントです。現在家づくりや大規模なリフォームを計画されている読者のみなさまであれば、設計段階から以下の点をしっかり伝えておくと、つくり手も住まい手もお互いに納得できる住まいになることでしょう。

1.加齢とともに、同じ明るさでも暗く感じるようになるため2倍以上の明るさが必要に

じょぶ施工事例より
じょぶ施工事例より">

わかりやすい事例を挙げると、たとえば自宅リビングの照明選びについても8畳なら10畳用の照明器具といった、いっそう明るい照明器具が必要になります。ただし、やみくもにシーリングライトなどの照明器具を大型化すると、高齢者にとって辛い照明器具自体の眩しさが増す可能性があります。天井に付ける全般照明のみで明るさを取るのではなく、後から設置できるスタンドなどの局部照明で、手元の明るさを確保したほうが眩しさによる負担感が減ります。

2.加齢とともに目が疲れやすくまぶしさも感じやすくなる!

ホームラボ施工事例より
ホームラボ施工事例より

インバーター照明器具など、ちらつきやまぶしさを軽減するタイプの照明を選ぶほうが目の負担が少なくなります。さらに、セードつきの器具を使用して光源が直接目に入らないようにも配慮。そういった点では流行のLED照明はいわゆる堅い光の照明器具が多いので、LED照明器具を設置する場所や使い方は、いままでの照明器具とは違う配慮=LED照明器具ならではの配慮が必要です。

3.リビングの場合は一室に多くの照明を組み合わせを

三井ホーム施工事例より
三井ホーム施工事例より

天井や壁面などが明るく見えて空間としての明るさ感があり、かつテーブル面など必要な場所に十分な明るさを確保すると、世代を問わず快適に感じるようです。また、リビングは食事、読書、テレビ鑑賞など、普段の生活でさまざまな生活行為が考えられる場所。その生活行為に応じて照明を変えられると、より快適に過ごせます。

4.おすすめのリモコン付照明器具

光設計施工事例より
光設計施工事例より

リモコン付照明器具は、立ち上がったり手を伸ばしたりせずに操作ができるので便利でおすすめです。いちど使うと手放せませんが、リビングなどでは真っ暗な状態のまま照明のリモコンを探すという間の抜けたデメリットもありましたが、足腰が弱ってきたら、体力を使わずに電気がつけられるのでとても便利です。

5.センサー式電気

いちいちスイッチを押さなくても、センサーが人の動きなどを感知して自動的に点灯する人感センサーつきの照明は便利だし、無駄な点灯が少なくなるので省エネ対策にも効果的。

6.老化現象のひとつでもある「白内障」対策

アイ工務店施工事例より
アイ工務店施工事例より

加齢とともに青系の感度が低下していきます。青色が見にくくなっていくわけですから、大切なポイントとして青色を使う場合、隣り合う色を明るめにしたほうが心地よい印象になります。また、床と壁の境目や段差など危険を伴うところは、濃淡をハッキリさせて、すぐに違いが認知できるような配慮が必要。私自身、同系色の1cm程度の段差が見えなくて室内でつまづいたことは一度ならずあるので、目立たせたいところには赤系を上手に使うと良いでしょう。

7.加齢とともに視覚の順応機能が低下の対策

リビング事例一覧より
リビング事例一覧より

震災後の高速道路で強く感じたことですが、運転中に極端に暗いところに入ったとき、しばらく周りが良く見えない経験が何度かありました。そのため、室内でも明るさが大きく変化しすぎないような配慮が必要です。転倒などの家庭内事故の多い廊下と階段は、リビングや寝室との明るさ対比が極端にならないよう、同じ照度で設定するとそのようなことも防げそうです。

8.センサー機能付フットライトなどの活用

リビング事例一覧より
リビング事例一覧より

夜中にトイレに立つときに自動点灯。寝室や廊下など、暗い足元を安全に照らしてくれるので安心。特に加齢とともに眠りが浅くなり、一度明るい光を浴びてしまうとなかなか寝付けないという経験もあります。そんなときこそフットライトなど足もとを優しく照らしてくれる照明は重宝します。

住まいは一生のお買い物です。建てるときは高齢でなくてもだれでも年はとるわけですので、将来にわたって快適に生活できることが大切です。また、やみくもに節電するのではなく、からだにやさしい照明で節電の工夫をしないと、節電したけど室内で転倒してケガをしたり、目に余計な負担をかけることでかえって疲れてしまっては、元も子もありません。

夏が過ぎたからもう節電を考えなくても良い、ということは、全くありえません。太陽光発電システムなどで節電する以外にも、快適なんだけど節電できる照明をしっかり計画・選択して、あたらしい住まいでの生活を過ごしたほうが、ずっと利にかなった暮らしができるのです。

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住生活コンサルタント 早坂淳一住生活コンサルタント 早坂淳一

住生活コンサルタント 
早坂淳一
ネクスト・アイズ株式会社

大手百貨店にてクレジットカード事業の立ち上げやポイントカードシステムの運用、全店販促支援システムの運用、売場リニューアルブロジェクトなど、新規事業を中心とした業務に従事。 その後、携帯キャリア店舗改善プロジェクトや不登校児童・生徒活動支援プロジェクト、工務店支援プロジェクトに従事したのち、工務店にて営業を経験し、現在は第三者機関ネクスト・アイズにて、住宅コンサルタントとして活躍中。