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建築家 天野 彰 家相はどこまで従う(4) 家相はわが国伝統文化の継承?

―大先輩の清家清氏をして「家相は科学」と言わしめた通り、「良相の家」は科学的で合理的で、風の通りやすいシンプルな間取りとなり、清々しい外観の家となるようです。なるほどこれこそ「夏涼しく冬温かい家」となるのです。―

○今回のポイント 1 家相を通すことで家族は「家づくり」の本質を真剣に考えるようになる
○今回のポイント 2 「方位」の意味で考える家相が家づくりのプランニングには重要

家相が「家づくり」を真剣に考えるきっかけになる

しかし、私自身は多くの住まいづくりのお手伝いして、こうした家相などの不思議な疑問に何度も直面し、それをまたそれをクリアするために改めて家相を考え、プランニングする際に、もっと不思議な現象というか効果を感じることが多かったような気がするのです。

その一つが家族の皆が一丸となってプランを見つめるようになることです。それまで家づくりに関心を示さなかった夫や子どもまでもがそのプランづくりに真剣となり、「良相の家とは?」と考えるうちに夫婦とは?家族とはなにか? を考えるようになっているのです。
そして家相とはなにか、その起源とは、仕組みとは、そして縁起は、などなど、「日本の家」とはなにか?「伝統とは」?と考え、家の建つ位置その向きや形を考える中でわが国の家の在り方やその伝統に気づくのです。

「方位」の意味を知る

こうして「家相」を客観的に考えると、なるほど私たちの生活には「方位」が深く関わっていることが分かります。それも単に物理的な方位だけではなく、その持つ意味や意識があることが分かります。その方位には、時の流れと色があることが分かるのです。しかもそれは気分やパワーを持っているのです。

ずはその色ですが・・・、あの相撲の土俵の屋根の四隅から下がる房に色があることが分かります。それこそがあの赤房・白房・黒房・青房の4色なのです。(案外このことを知らない人も多いのですが・・・)、この色こそ方位の色で明日香村の高松塚古墳の彩色壁画の白虎や玄武の絵画で、赤は南方位で朱雀(すざく)、白は西方の白虎(びやっこ)、黒は北方の玄武(げんぶ)、そして青の東方の青龍(せいりょう)となっているのです。

まさしく1,300年以上も昔の飛鳥の時代からの伝統的でしかも正確な方位なのです。その方位の色は生活に深く関わり、住みやすい恵みの地形であり、その色と形は鳳凰や龍、亀や虎などの縁起の動物に例えられているのです。
その色こそ南は赤い鳳のように羽を広げた恵みの田園や湖、東にはくねくねと竜のように流れる命の青い川、北は敵や北風から守ってくれる大きな亀のような黒く固い山に囲まれ、西には虎のように走る白い道と、城や伽藍さらには屋敷づくりの土地選びを言い表したものだったのです。

さらにその方位は八方になり、さらに細分化され、12さらに24方位となるのです。すなわち360度の30度、さらに15度ごとに方位の意味があり、それがまた子・丑・寅・・・などの十二支に例えられ、さらに方位と連動し時を刻むのです。
その方位と時は真北が「子」で、時刻の子(ね)の刻、すなわち深夜0時前後で、その隣の丑と寅、丑三つ時などの3時4時で方位は北東で、丑寅(うしとら=艮)の方位は鬼が出入りする不吉な方角、すなわち鬼門(きもん)として古来忌み嫌われてきたのです。

家相盤の方位と時(画:天野彰)
<家相盤の方位と時(画:天野彰)>

「家相」とは日本の伝統文化

なるほど家の「間取り」すなわちプランニングも、またそこに住む人たちの生活もこれほど方位と時刻に深い係わりがあると「家相などナンセンス」などと言っていた建て主もさすがにこの「鬼門」の存在が気になり、家族や自分に何か不幸でもあると、家相の存在を認めざるを得なくなるのです。まさしく根強いわが国の伝統文化とも言えるのです。

家相重視の都市住宅、京都の町家の佇まい
<家相重視の都市住宅、京都の町家の佇まい(天野彰)>

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
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