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住宅関連記事・ノウハウ

耐震補強研究所株式会社 代表取締役 大津 紀一 【耐震補強・匠の知恵】住宅の強度を支えているのは構造

1 耐震補強・匠の知恵 木を活かしてこその木造建築

木造建築の施工一筋35年の筋金入り経営者(大津紀一)があえて建築現場のタプーを破って書く。読者のみなさまは木造建築と聞いてどんな建物を思い浮かべるでしょうか?わが家を思い浮かべる人は、いったいどのくらいいらっしゃるでしょうか?マンションなど鉄筋コンクリート造りの住まいに暮らしている方は、生まれ育った田舎の家を思い出すかもしれません。 あるいは、古い民家やお寺、神社のような伝統的な日本家屋のたたずまいを思い浮かべる方もいるでしょう。木造建築の魅力はなんといっても素材である木の魅力にあります。その弾力性、そして固さ。木目の美しさ、なめらかな手ざわり。そうした性質は、なにより木が生きているということの証なのです。

たとえば木材に釘を一本打つにも、どこでもいいからやみくもに打てばいいというものではありません。木は生きていますから、釘を打つところ、のこぎりを入れるところ、かんなで削るところ、それぞれ場所で答えるのです。固い木、柔らかい木、それぞれの木によってそれは違います。

木が駄目といっているところに釘を打ち込んだら、拒否反応を起こし、釘は曲がり木は割れてしまいます。逆に釘が打ち込めないような固い木でも、その木の性質をよく理解したうえで打ってやると、きれてに釘が入っていくのです。

私は幸いにも、木を選ぶところから修行させてもらったから、木と話ができるのです。だまっていても木は話しかけてきます。それを聞き取るのが大工の腕だと思います。

また木には顔もあります。すごくいい顔をしている木もあれば、浮かない顔の木もあります。家を建てていると、そんなさまざまな木にどうしても無理を言って釘を打たなければならない場合もあります。そういうときは、木目を読んで、ここだという場所を探します。そして、やさしくだましだまし打ってやるのです。木の立場にたって話かけているから、釘はきちんと効いてくれる。木が自分で力を発揮するのです。木が生きている、という証拠です。

現在の新築では、木造建築の骨組みを金具で固定することが建築基準法によって義務づけられています。ただし、木造建築の基本とは、木が構造を支え、金具はあくまで補強のためのもの。金具をつける理由とは、木が持ち前の強度をいかんなく発揮するためなのです。あくまでも木が主役で、金具は主ではないのです。

柱や梁といった大事な部材を施工するときにも同じような問題があります。材木のときはまっすぐに見えても、木は生きているから、将来曲がったり、ねじれたりしてしまいます。木がわかる大工は、そういう変化を見越して家を建てるのです。それを見落としたり、無視して柱と梁を組むと、地震の揺れで接合部分が離脱して梁が落っこちてしまいかねないすき間ができてしまうからなのです。しかし、現在では、将来的に曲がったり、ねじれたりする木の経年変化を見落とした木造住宅が多数存在しています。こういった現場ができてしまうのは、私たち大工の世界の技術を継承していく力が弱ってきたからでしょう。

大工の世界だけではない建築業界全体の問題も影を落としています。値段が安いことを売りに大量に受注して、ありきたりの技術で住宅を施工する業者は決して少ないわけではありません。そういう業者の現場では、大工もなるべく工期を短く、コストも抑えないといけない。そして、結果として木の長所を消しているような家を建てる。だから、不都合が生じて、すぐに補修をしなければならなくなるのです。

きちんと建てられた木造建築というのは、しっかり維持していけば80年、100年持つのです。現にそういう家は日本にもたくさんあります。それは、その家を建てた大工さんが80年、100年先を見越して木を選び、しっかりした施工をしているからなのです。

私も一人前の大工になったばかりの頃に建てた家のなかには、もう築35年になる家があります。そこに住んでいる方とは今でも年賀状のやりとりをしているのですが、「大津さんに建ててもらった家は、30年以上経ったいまでもびくともしません」と書いてよこしてくれます。これほどの大工冥利はありません。こういうふうに住んでいる方がいつまでも喜んでくれる家を建てることが、大工にとって最高の喜びなのです。

2 耐震補強・匠の知恵 住宅の強度を支えているのは構造

木造建築は天然木材を組み合わせる伝統的な技術のなかで造られています。しかし、地震による強度対策は弱点が多く、未解決のまま見過ごされているのが現状です。住宅の強度を支えているのは構造です。耐震性を守るには各部材の一体化を図らなければなりません。しかし、既存の木造住宅は長い年月の間、木材が乾燥し、さらに台風や地震などの揺れで、継ぎ手や仕口の接合部がゆるみ、取り付けた筋交いや火打ちの強度は弱くなり、強い地震に耐えることが出来ないかもしれません。いつ起きるか分からない強い地震に備え、確かな工法、確かな業者を選び、耐震補強をお薦めします。

では、木造建築というものはそもそもどんな構造になっているのか。どんな補強剤が用いられているのか、そして、それはどんなふうに施工されているのか。なるべく具体的に述べていきましょう。一軒の家を建てるには、まずコンクリートを打ち込んで基礎を造ります。その基礎の上に土台が乗ります。土台となる木材と基礎はアンカーボルトで留めます。一般的な二階建ての場合を考えみましょう。土台ができれば、いよいよ柱を建てていきます。柱には、管柱と通し柱があります。

管柱とは、土台から1階横架材(胴差しとも呼ぶ)まで、そして1階横架材から2階横架材・桁まで建てる柱をいいます。通し柱は、土台から2階横架材・桁まで建てる柱で、家全体を支える大事な柱です。土台の上に建てられた柱の上に掛けわたすのが横架材であり、梁です。横架材と梁が掛けわたされ、1階の骨組みが出来ると、その上に2階の柱を建てて同じように横架材・桁(小屋とも呼ぶ)を架けわたします。

あとはさらにその上に屋根を乗せる部材を組み上げていきます。桁から屋根の傾きにあわせて長短の束を立て、その上に母屋という部材を架けわたして屋根を支えます。何本かの母屋のなかで、屋根のいちばん上に掛けわたされるものを棟と呼びます。棟上げというのは、この棟となる木材を上げるという意味です。最後に棟を上げることで一軒の家の骨組みができるわけです。

以上、土台、柱、横架材、梁、柱、桁、束、母屋、棟など家の骨組みを造る部材を総称して構造材といいます。そして、これら構造材を組み上げてできる木造建築の家を強い地震の揺れによる倒壊から守る代表的に補強材が筋交いと火打ちです。

筋交いは壁の耐力を強化する重要な部材

筋交いについては、耐震への意識が高まり、また、東日本大震災を契機にマスコミにも再三取り上げられたことで、一気に知名度が高まりました。筋交いは木造建築の壁のなかに取りつけることで壁の耐力を強化して、地震の揺れから家屋の倒壊を防ぐたいへん重要な部材です。筋交いという部材は、二本の柱のあいだで、土台から横架材に届くようにななめに取り付けます。素材の木には丈夫なヒノキかツガがよく使われます。一本の部材を斜めに取り付ける方法と、二本の部材をたすき掛けに取り付ける方法が一般的です。

筋交いを取り付けた壁の地震などによる揺れに対する耐力は、取り付ける部材の厚さ×幅(断面積)によっても違います。それは、建築基準法に定められた計算法に基づいて数値化され、その数値を壁倍率と呼びます。たとえば、何も補強しない壁の壁倍率をゼロとして、筋交いとして取り付ける部材の厚さ×幅、その本数によって、壁倍率が高くなっていきます。

筋交いと別によく使われる補強材が構造用合板です。これは壁のサイズにあわせて構造用合板を釘で打ち付ける方法です。厚さ7.5mm以上の構造用合板を壁に打ち付けると、壁倍率は2.5倍になります。

  • 筋交い
  • 厚さ3.0cm×幅9.0cm=壁倍率1.5倍
  • 厚さ4.5cm×幅9.0cm=壁倍率2.0倍
  • 厚さ4.5cm×幅9.0cm×2(たすき掛け)=壁倍率4.0倍
  • 厚さ9.0cm×幅9.0cm=壁倍率3.0倍
  • 厚さ9.0cm×幅9.0cm×2(たすき掛け)=壁倍率5.0倍

  • JAS構造用合板
  • 厚さ7.5mm以上(釘No.50 @15cm以下)
  • 外周部・中間部とも150mm間隔で軸組み(柱・梁・土台)及び間柱に直接打ち付け=壁倍率2.5倍

筋交いを取り付けるときに大事なのは、それを取り付ける場所、土台や柱や梁にわずかに切り込みを入れることです。私が教えられてやっていたのは、筋交いそのものの厚みを考慮して、土台や柱や梁に深さ五分(約1.5cm)の切り込みを入れ、筋交いの両端を性格にすき間のないように接合し、三寸釘を3本打ち込んで留める方法です。

この取り付け方法を「大入れ」といいます。「大入れ」することにより接合部が強固になり、土台、柱、梁はより強く一体化されます。この「大入れ」とは、耐震のための伝統的な木造建築施工の知恵だといえるでしょう。ところが、同じ筋交いを取り付けるにしても、「大入れ」をせず、ただ釘だけで打ち付けてしまう場合もあります。これを「イモつぎ」あるいは「現造」といい、大工仲間ではかなり軽蔑されるやり方です。当然、こちらのほうが作業がラクで早い。しかし、肝心の土台、柱、梁を一体化する力は弱まってしまいます。地震の強い揺れに襲われたとき、筋交いが土台からはずれたり、柱のホゾを突き破ったりする恐れが高くなるのです。これでは、せっかくの壁倍率も中身の伴わない数値になってしまいます。

少しでも工期を短縮しないといけない、そんな必要に迫られてこういう施工がまかり通ってしまったら、工務店経営者として実に情けない話です。ただ、こんなふうに「イモつぎ」された筋交いの両端に取り付ける筋交いプレート金物という補強剤もあります。これを取り付けることで、より強く筋交いを土台や横架材に接合できるようになっています。行政の指導もあり、木造建築施工の現場では多く使われています。

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耐震補強研究所株式会社 代表取締役 大津 紀一耐震補強研究所株式会社 代表取締役 大津 紀一

耐震補強研究所株式会社 代表取締役 
大津 紀一

耐震補強研究所株式会社

 大工上がりの工務店経営者、耐震補強研究所株式会社の大津と申します。
 木造建築の世界は封建的で進歩も変化もないまま、親方の指導の元で修行しています。木造建築の施工一筋35年の筋金入り工務店経営者である私が、35年にわたる経験のなかから感じた疑問を解決するため、地震による倒壊を防ぐ金物《耐震補強三角火打金物》と、国土交通大臣認定、(財)日本建築防災協会・住宅等防災技術評価を取得、特許取得(特許第3569893号、特許第3673868号)を経て、木造住宅の耐震性を高める工法《耐震セイフティ工法》を完成させました。
 《耐震セイフティ工法》が、木造建築物にお住まいの方々の安全と財産を守ります。