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老後に強い家はどうつくり、どうリフォームするか?
1 老後に強い家はどうつくり、どうリフォームするか?
いざとなったら人に貸せるアパート付きの家(画:天野彰)
今年は、今まで溜まった膿のような鬱積がすべて表面化されて赤裸々となりました。そんな中、戦前戦中を行き抜いた多くの老人たちが累積され、超高齢の生活をされているのです。さらにそれを追うように、戦後の「団塊」とも呼ばれるベビーブーマーの巨大な人口の塊が老後の生活に突入しようとしているのです。その人たちこそが、今日までの高度成長の日本の経済や社会のあらゆるブームを作り盛り上げてきた世代なのです。
今まさにその塊が悠々自適の自立の老後を、と思いきや、リストラだ、年金支給の先送りだと言われ、加えて夫婦双方の高齢の親たちも元気で、その介護に直面していると言うのです。ちょっと大げさですが、私とほぼ同世代の夫妻はまさしく一人っ子同士の結婚も多く、今夫婦双方の80歳以上の老親が4人!健在と言うのです。まことにめでたいことなのですが、高齢だけにいつ何事が起きるか?といつもハラハラドキドキしているというのです。自分たち自身は海外旅行はおろか、おちおち風邪も引けない毎日だと言うのです。
こうした中、今の家を一体どう準備するか?先日行ったリフォームではなんとちょっとしたペンションのような、あるいはいずれグループホームにでもなるかのようなものになるのです。まさに大きめのリビングと浴室はデイサービスの介護施設のようであり、そこに親たちを預かる個室も可能なのです。2階はまさしく本人たちのスペースなのですが、これもいずれ子どもたちに譲って、老いてからは、自分たちは生活の楽な一階に移ると言うのです。しかもこうした事態になるまで、あるいはならなかった場合は賃貸アパートとして貸し出して生活の糧にするのです。
まるでグループホームのようなLDKの家【I邸】(写真:天野彰)
2 超高齢の家・生き抜く家・予測と覚悟で自立
下に親たちが住まいに来るかな?【O邸】(写真:天野彰)
これからの家づくりはまさに生き抜くためのものであり、さらに安全に生きるために何が必要か?を考えるのです。すると体に優しい自然素材や無塗装の床や壁の上げとなり、そして開け閉めしやすい窓や、いざとなったとき外せる引き戸を多用し、極力間仕切りを少なくするのです。収納と照明は手の届く範囲だけの限られたゴールデン収納とし、手を伸ばす範囲のものとするのです。さらに大きな引き手とスイッチとし。何よりも大切な警報ボタンはあちこちに目立たないよう付けるのです。
ゴールデン収納?(画:天野彰)
今そんな予測と覚悟で自立生活の家を建て替えたり、リフォームされる人は意外に多くありません。相変わらずのインテリアやシステムキッチンなどの設備に憧れるのです。ここらでちょっとわが身、わが親、さらには残されるであろう奥さまの老後生活をちょっと考えてみるのです。あるいは子夫婦との同居の可能性も考えるのです。老後に優しいいい家はこうした究極の問題を解決して始めて現実化するのです。
自立して暮らすには食事だけでなく。運動、動いて筋肉を失わないことが大切です。そのことを考えると、今のバリアフリーは家が快適になりすぎて外出する機会も少なくなると心配されているのです。さらにそのため運動が減り、筋肉が落ちて老化し、動きが遅く足腰が弱くなり、動かなくなる。そしてお腹が減らなくなり、食事が減り、必要な栄養が取れなくなり、家から出なくなると、「太陽(UV-light)に当たらず」骨粗そう症などの予防に必要なカルシウムの生成に必要なビタミンDが作られず、骨折しやすいと、まるで「風が吹けば桶屋が儲かる」的な軽快なメールでした。
確かに家が至れり尽くせりのバリアフリーで快適すぎれば、筋力が弱まり外出も減って運動不足となり、足腰を弱らせ、転倒骨折の原因になると指摘する医師もいます。実際に寝たきりや重度要介護老人のほとんどはこの骨折が原因とも言われているのです。
ちょとした段差は足腰に有効(写真:天野彰)
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