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建築家 天野 彰 行事や伝統行事を家族で大切に!メリハリのある生活を

1 わが家を“イベント”でメリハリのある生活に

「家」の語源は、家の屋根である「宀」かんむりの下に、神にささげる生け贄の「豚」、あるいはその象徴の「象」、すなわち「豕」が屋根の下に祭られている姿を表すとも言われているのです。つまりは「家」は人のためばかりではなく、わが家の先祖や信ずるものの「証し」をお供えして、お祭りするための屋根でもあると言うのです。その一方で「いえ」の由来は「いへ」、つまり「寝戸」で「戸を建てて寝るところ」とも言うのです。まさしく家は家族の象徴であるとともに、家族の証拠であると言うのです。

さて、今の家にその証しとなるものがあり、それをお供えする象徴的な場や空間はあるのでしょうか?そしてなによりも家族が安心して寝られる家なのでしょうか?

そのもっとも象徴的空間が床の間であり仏間や神棚のある店(土間に面した入口の和室)と言えるのですが…、床の間どころか和室の座敷も玄関わきの店もありません。そもそも現代のわが家のイベントとはいったいなんでしょう?まずは家族の誕生日ですが、これは子どものいる家庭では必ず行われます。桃の節句にひなを飾るなど家庭内の季節の行事はあのクリスマスツリーを筆頭に最近はイースターやハロインもあります。床の間に正月の飾りや桃の節句にはひな壇、さらには五月の節句の兜(かぶと)やベランダに鯉のぼりなどがあります。

最近の家庭では、季節を飾る大切な行事の七夕の竹や十五夜の団子やススキの穂もなく、わが国の伝統的なイベントの「歳暮」や「中元」も贈答品のようで、暦による大切な行事であることが忘れられているのです。中元とは古代の暦の「三元」で、正月15日を上元、7月15日を中元、10月15日を下元とし、日本ではこの中元の7月15日と盂蘭盆会(うらぼんえ)が重なって祖先の霊を供養して食べ物を飾る風習となり、それが目上の人やお世話になった人に感謝の気持ちを届けご機嫌を伺う習慣となったものです。

この中元であるわが国の”大イベント”の「お盆」は本来7月15日ですが、日本のほとんどの農家はちょうど農繁期となり仕事も盛りで、その1カ月遅れの8月15日前後としているようです。その間に墓参りや盆踊りや花火大会などいろいろな行事が行われ、16日が盆の送り火となるのです。

京都の町家の店・祇園祭の宵山には店を開けて公開する
京都の町家の店・祇園祭の宵山には店を開けて公開する(天野彰)

出窓のひな壇、A邸
出窓のひな壇、A邸(天野彰)

2 行事や伝統行事を大切にする家庭が増える

送り火は8月13日に迎えた精霊を浄土に送る行事で、焚(た)いた煙に乗せてお帰しすると言うもので、お供えしたものをろうそくの灯りとともに船に乗せ川や海に流す灯籠(とうろう)流しや、京都五山に代表される大文字焼きなどの風習が生まれたのです。

今の家庭では、こうした先祖を祭り敬うための仏壇や祭壇がありません。ましてや床の間もなく、マンションでは和室がない家も多くなっています。「床の間を背に座ってはいけない」とか、上司や先輩を敬う「上座下座の礼儀作法」などを子どもに教えることもできません。こうした“敬いの精神”を表現する躾(しつけ)の不足が子どもたちの情操に不利となり、人生を淡泊なものにし、果ては命をも粗末にすることにもなりかねません。これは大変です。

極論を言えば、現代のわが家には先祖と今を結ぶ床の間や仏壇、すなわち“へそ”がないのです。しかも生活のスピードが速くなったせいか、家にスペースがないためか、クリスマスツリーでさえ卓上のセットとなっているのです。これでは子どもたちに季節感を与え、またその行事や祭りの意味を教えることもできません。

早速リビングやダイニングのコーナーにイラストのような分厚い板を一枚置いて「置き床」にしたり、出窓を床の間や仏壇として設え、“わが家のへそ”をつくるのです。

部屋のコーナーに板一枚の置き床
部屋のコーナーに板一枚の置き床(画:天野彰)

写真のように壁に穴(アルコーブ)をつくってそこを祭壇や床の間のようして、お供えやわが家の象徴を飾るのも洒落ています。

玄関に和のアルコーブ
玄関に和のアルコーブ(天野彰)

床の間がない家では出窓やベイウインドウのカウンターにひな壇など季節の飾りをするのです。キャビネットの飾り棚などの天板にこうした飾りをすることもできます。勉強一筋の教育家庭からこうした行事や伝統行事を大切にする家庭が増えていると言うのです。

出窓に飾りつけた季節の飾り(町田S邸)
出窓に飾りつけた季節の飾り 町田S邸(天野彰)

行事や伝統行事を大切に

送り火は8月13日に迎えた精霊を浄土に送る行事で、焚(た)いた煙に乗せてお帰しすると言うもので、お供えしたものをろうそくの灯りとともに船に乗せ川や海に流す灯籠(とうろう)流しや、京都五山に代表される大文字焼きなどの風習が生まれたのです。

今の家庭では、こうした先祖を祭り敬うための仏壇や祭壇がありません。ましてや床の間もなく、マンションでは和室がない家も多くなっています。「床の間を背に座ってはいけない」とか、上司や先輩を敬う「上座下座の礼儀作法」などを子どもに教えることもできません。こうした“敬いの精神”を表現する躾(しつけ)の不足が子どもたちの情操に不利となり、人生を淡泊なものにし、果ては命をも粗末にすることにもなりかねません。これは大変です。

極論を言えば、現代のわが家には先祖と今を結ぶ床の間や仏壇、すなわち“へそ”がないのです。しかも生活のスピードが速くなったせいか、家にスペースがないためか、クリスマスツリーでさえ卓上のセットとなっているのです。これでは子どもたちに季節感を与え、またその行事や祭りの意味を教えることもできません。

早速リビングやダイニングのコーナーにイラストのような分厚い板を一枚置いて「置き床」にしたり、出窓を床の間や仏壇として設え、“わが家のへそ”をつくるのです。

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
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