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住宅関連記事・ノウハウ

建築家 天野 彰 車椅子で自立の生活は可能だろうか?

車椅子で自立の生活は可能だろうか?

 今回はちょっとシリアスなお話ですが・・・、私は住宅設計において車椅子のためのバリアフリー化をあまり期待していません。ご存知、都市や施設でのバリフリーは当然として、住まいにおいてもバリアフリーとはなぜか車椅子で、そのために段差の解消だ、スロープだと言うことになり、行政もそうしたリフォームの補助金が一般的です。

 ところが、「車いすにどうやって乗ってどうやってトイレに移るのですか?」
住まいのリフォームの提案で、一人暮らしの足の不自由なお年寄りに一喝されてしまいました。「それよりも寝室から這ってでもトイレに行ける家にしてください!」

車いすよりも這ってでも動ける家の発想
 車いすイコール、バリアフリーのリフォームが一般的であった頃、多くの老人施設などを設計していた私はこの車いすにいささかの疑問を持っていました。果たしてお年寄りが急なスロープを車いすで自力で昇ったり下りたりできるのだろうか?果たして車椅子を器用に操ってお台所ができるのでしょうか?

 確かにパラリンピックに出場するような若い元気な障害者や、モーター付きの車椅子を操縦できる闊達(かったつ)な老人などは自由に行動できるかもしれませんが、実際には足腰が弱って腕や手も衰弱しますと、自力では車椅子をそうそう簡単には動かせません。第一その乗り降りが大変で、便器になどに一人で乗り移ることなどは不可能なのです。

 こうなると寝起きのベッドや小上がりの畳床など、あえて3,40センチの段差がある方が、身体を起こしたのち足を降ろし、腰掛けて起き上がり、さらに手すりを伝って歩けるよう、部屋のあちこちや廊下の両側などに手すりを付ける方が現実的です。

畳のベッドから扉の向こうのトイレに行けるKo邸
■写真:畳のベッドから扉の向こうのトイレに行けるKo邸(写真天野彰)

 歩ける内は頑張って手すりを伝って歩くことや、欧米の老人施設でよく見る歩行器などで暮らす方が足腰の運動にもなります。となると最初からまったく段差のない平らな住まいよりは、逆に多少の段差や緩い階段などはリハビリとなり、かえって手足や腰を鍛え元気になるのかもしれません。

 確かにおおぜいの老人を預かる介護施設などでは立ち上がろうとすると事故が多くなり、どうしてもいすに座らせて置くことが長くなり、その結果車いす漬けとなり、返って足腰が衰えてしまう老人が多いと指摘する整形外科の医師もいます。

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表