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建築家 天野 彰 住まいは福祉!それに消費税とは?~ 本気で「住まい」の消費税を上げる?!

住まいは福祉!それに消費税とは?~ 本気で「住まい」の消費税を上げる?!

 先週政府は消費税増税の是非について各界の有識者60人に意見を聞く会合を開いた。まずはどのような観点でその有識者を選んだのかが定かではないが・・・、少なくともこのハウスネットギャラリーに関わる全国の中小工務店や、リフォームや家を建てようとする建て主方の代表となるような意見の持ち主は見受けられない。

 実はかく言う私自身は消費税増税を真っ向から反対している訳ではありません。結果はどうあれ欧州各地を旅していて消費税的な課税に慣れていたことと贅沢的な消費に税をかけることは所得税同様合理的なことだと思うからです。
 しかし問題となるのは居住に関わる課税の思想とその仕組みです。そもそもわが国において「住まいの価値」とはいったい何なのか? いまだに生活の場もなく、安住の地を持てずその兆しさえない中、やりきれない思いで不自由な仮設住宅に住む多くの被災者のことを思うとますます考えさせられる問題なのです。

安心して暮らせる住まいの普及が第1
■左:喜びと期待の中での上棟式、右:近所の人も一緒にもち投げ(天野彰)

 住まいは“生活の場”です。
 その生活とは働くことで学ぶ場です。まさしく生きて行く場で、そこで家族が身を寄せて寝泊まりができることです。もともとその住まいは、かつて病院や福祉施設もない時代には老いて不自由な身になっても伏せて療養することができる福祉施設でもあったのです。このことは被災地のみならず、「住まい」こそが今第一義に考えなければならない“生活の場”で“真の福祉”であり、その安定こそが火急政策であるべきなのです。そのための経済の活性化は最優先としても、むやみな一律消費税増税の急場しのぎは余りにも短絡的に過ぎるのです。

 かつてわが国の文化レベルと福祉思想の程度の低さを露呈した最たることが、バブル景気に乗じて、躊躇することなく住宅をはじめ医療施設そして老人の福祉施設などに5%の消費税をかけてしまった事です。その消費税を今またさらに8%から10%に引き上げようとしているのです。

「住まいは不動産か?消費財なのか?」

 確かに耐久消費財のような家も多い昨今ですが・・・、驚くべきはどの政治家も知識人も、このことに疑問を持つことはおろか指摘する気配さえないことです。
 迫りくる超高齢社会の“老いの国”を何十年も前から分かっていながら、具体的な準備も無く、年金や健康保険などの資金繰りや投融資の無策の“ツケ”のつじつま合わせがこの消費税増税であることに国民の誰もが失望しているのです。

 なによりも残念なことは、ただでさえ老いて先行き不安を払拭することもできない世情の中、“虎の子”の現金をただ握りしめて老いの生活に備えようとしている人たちが、この消費税アップで、地震や災害に強い家づくりやリフォームを断念する人がさらに増えることです。

 こうした今起きている社会や経済の不条理を、現実の住まいづくりのお手伝いをしながらひしひしと身に染みているのは私だけでしょうか。
 次回は、【消費税と復興の現場で露呈した「福祉の価値」】です。

 ★毎週土曜日 最新コラム公開中!   次回お楽しみに♪

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表