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住宅関連記事・ノウハウ

建築家 天野 彰 「間取り」から「場取り」のプランニング

1 「間取り」から「場取り」のプランニング

私の住まいの設計手法は住む家族それぞれの「時」と「場」を最優先して考えることです。古典落語の寿限無(じゅげむ)の長い名前の冒頭ほどに「喰う寝るところ住むところ」とあります。なるほど家は昔から「食う」「寝る」そして「住む」ところだったようです。その順位は落語ですから言い回しの調子によるのでしょうが、たまたま住まいの本質を言い当てていると思うのです。

しかし現代の住まいは食べて寝て暮らすだけのものではないのです。子育てはもとより人を迎え、夫婦で対話し、葛藤し、喧嘩し、そして恋し、学習し、遊び、愉しみ、創造し、妄想し、歴史を刻み、先祖を祀り、さらに老いて余生を活き、いずれ病に伏し、生を全うするところなのです。

その「時」と「場」が重要だと思うのです。そんな家こそ住まいやすくまた長持ちする家になるのです。

イラスト1:人生と時の「家時計」
人生と時の「家時計」(天野彰)

2 個室に閉じ込められて失われる家族と夫婦

家を建てる時、ハウスメーカーやマンションなどの誰かがつくった「間取り集」という既成のマトリックスによって、わが国の住まいを合理的に定型化してきたことで、人々の生活もまた定型化してしまったのではないかと思えてなりません。さらにこれに加えて高気密高断熱だとか、あるいはツーバイフォー工法だ、ユニットハウスだなどと、いきなり家の性能や工法へと話題が行ってますます家族のありようが失われてしまうのです。

この弊害は子どもたちの個室化となり、引きこもりや、ネット漬けとなったり、そこで育った子どもたちが成長して出て行った後は、その空いた子ども部屋に今度は夫が移り住んで“夫婦の個室化”ともなるのです。

結果、夫婦が老いて体に何か異変が起こり、お互いを助けられないなどの不幸ともなるのです。

3 夫婦の「場」を子どもには“貸す”体育館のような家

こうしてつくった間取りの家で、あっと言う間に子育てが終わると、住まいはまた夫婦が「愉しむ場」に変わるのです。もともと夫婦は子育てのためではなく最初から二人の「人」として生きて行く「場」のはずです。その「場」を子どもたちが成長するまで“貸せ”ばいいのです。間取りは家族それぞれのいろいろな生活の「場」と考えて、その「場」を配置することです。そこに家族の空間が生まれるのです。

家族は勝手な「時」に、勝手な行動をする「場」で、時に一緒に行動もするのです。これは決して「部屋」ではなく、むしろ「時空」なのです。すなわちこの設計手法は「時取り」と「場取り」で、住む人のすべてに生活に対応するのです。これによって住まいが家族と一体となり。変化もして行くのです。

かつて私たちが洞穴の中に住んでいた創始のときから、わが国に営々と続いた、あの間仕切りのない掘っ立ての「普通の家」だったのです。

人類創始からの洞穴の住まい
人類創始からの洞穴の住まい(天野彰)

わが生活にフレキシブルに順応するシンプルな家、そうです。あの間仕切りのない体育館のようなワンルームの家をイメージすればよいのです。そこから家族の時間に合わせ住まいを変化させればいいのです。

後で間仕切り自由な「体育館住宅」
後で間仕切り自由な「体育館住宅」(天野彰)

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
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