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住宅関連記事・ノウハウ

建築家 天野 彰 子ども部屋“0”のリフォーム・2LDKの間取り

1 親子関係を良くするソフト壁

子どもを「子ども部屋」に押し込んでいるのでは?

最近の家族の問題で、子ども部屋が原因で親子関係を疎遠にしていると多くの専門家は言うのです。確かにわが国の家庭には最近まで子ども部屋などはなく、ましてドアできっちりと締まる個室さえもなかったのです。そのドアの扱いに慣れてさえいない私たちは突如子どもに部屋を与えてドアを締め切ってしまったことから、親子の関係がぎくしゃくしたり、最悪は引きこもりなど子どもと家族間の隔絶さえ起ってしまうのかも知れません。

ではその子どもになぜ部屋すなわち個室を与えてしまったのかの真意を問うと、ほとんどの親たちは何のこだわりもなく部屋を与えれば子どもたちはそこで落ち着いて勉強するものだと思っているようなのです。しかし実際は、これが子どもたちの側から見ると彼らは家族の団らんの場から追いやられて部屋に押し込まれたのではないか、とさえ思っていると言うのです。子ども部屋を与えれば子どもたちは落ち着いて勉強しているものだと思うのは親たちのとんでもない錯覚だったのかも知れないのです。

2 2LDKの1部屋を子ども1人に与えるのは不公平!?

調べてみますと、子どもたちから部屋が要求されてもいないのに、狭い2LDKであってもその1部屋を子どもたちに与えている例は多いのです。しかしそのためにもう一部屋の親たちの寝室は狭くなって、ベッド二つとタンスでも置いたら身動きさえできないでいるのです。それに比べ、子ども部屋の方はゆったりと“悠々自適で”だらしなく使っているのです。

その2LDKのプランを見ますと、6畳の一間に大人2人と、その片方は子どもが1人と、なんとも不公平であることが分かります。

2LDKの親子不公平な割り当てを公平にする
2LDKの親子不公平な割り当てを公平にする(画:天野彰)

しかもその為にLDKには物があふれ住まい全体が狭苦しくなっています。第一、なによりもこのことが当たり前と子どもに思わせていることが私には気になるのです。さらに、まだベッドメーキングはおろか個室の使い方さえできない子どもがドアの向こうに締め切られていたら、躾どころかいったい何をしているのかさえも分からなくなってしまいます。

それこそ「子ども部屋=勉強部屋」と思う親の意に反して彼らの生活の場はまるで家の中の「下宿」のような“密室”となってしまう恐れもあるのです。結果として、子ども部屋は彼らの逃げ込む部屋か、隠れ家となり家族から、世間からも引きこもる場所となりかねないのです。

3 6畳の子ども部屋を3畳に縮める予算“0”のリフォーム?

そこで「子ども部屋=勉強部屋」の錯覚を捨て、狭苦しい2LDKの間取りの壁を“溶かし” て、しかも「透明な子ども部屋」に。そもそも壁を溶かす?とはいったいどういうことなのでしょう?

実は2LDKなどの狭い住まいのリフォームでは私がよくやる手法の1つなのですが、部屋の間仕切りを“壁であって壁でない?”ものに変えるのです。ますます謎めいてきましたが、その通りでこの手法を私は“ソフト間仕切り”そう、“ソフト壁”と称しているのです。これを2LDKなどの子ども部屋に応用するのです。

そこでまずは6畳の子ども部屋の真ん中にタンス2本置いて2つに区切ってベランダ側を3畳の子ども部屋(コーナー?)にし、残りの3畳を“納戸”のようにするのです。これで親子そろって3畳ずつと公平になり、しかも寝室にはタンスもなくなり広くなります。狭い2LDKも物が皆“納戸”に収まって広々とし、子どもはこの操縦席のような狭い部屋で落ち着き大喜びです。

このリフォーム、間仕切り壁は部屋を壊すことなく家具を置くだけでできるのです。まさに予算“0”の「ソフト壁」のリフォームです。しかもこの壁、引っ越しの際はタンスを片付けるだけでよいのです。

タンスで仕切ってコクピットのような子ども部屋
タンスで仕切ってコクピットのような子ども部屋(画:天野彰)

4 今の2LDKの間取りの壁を“溶かす” さらに透明に????

このソフト壁、LDKのベランダ側につくって3畳ほどの子ども部屋(コーナー)にすることも可能です。ちょっと費用はかかりますが、ベランダに面した今の子ども部屋の6畳の間仕切り壁を壊し、昼なお暗かったLDKと一体にしてベランダまでの広く明るいLDKにするのです。これで子ども部屋がなくなってしまいますが、ベランダ側の3畳ほどに敷居と天井までの鴨居を改めてつくりそこを天井までの大きなガラス(プラステック)戸で仕切ります。

ガラス戸が閉められた子ども部屋(カーテン未装着 S様邸)
ガラス戸が閉められた子ども部屋・カーテン未装着 S様邸(天野彰)

この3畳の中にベッドと机を置きます。リビングから見るとまるでサンルームのようなところが「子ども部屋(コーナーか?)」となります。もちろんこれでは中が丸見えで落ち着きません。そこでガラス戸の3畳側に遮光カーテンを取り付けます。

ガラス戸を閉め遮光カーテンを閉めると、音を通さず光も通しません。これこそ“壁”です。リビングは今までのように暗くなりますが、平日子どもは学校に出かけます。そこでガラス戸とカーテンを開け「子ども部屋」とリビングを一体にし、明るく風も通り広々と暮らします。

これこそまさしく壁であって壁ではない“ソフト壁”なのです。

ガラス戸が開けられ広いLDKに(S様邸)
ガラス戸が開けられ広いLDKに・S様邸(天野彰)

おもしろいことに・・・この“壁”子どもは最初ガラス戸もカーテンも閉めていますが、次第に慣れて来るとカーテンは閉めなくなり、さらにはガラス戸も開けっ放しで宿題をやるようになるのです。まさにこれこそ“ソフト壁”で、住まいの空間も親子の関係もソフトになるのです。

空間も家族も一体になる“ソフト壁”
空間も家族も一体になる“ソフト壁”(画:天野彰)

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
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