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住宅関連記事・ノウハウ

建築家 天野 彰 「エンプティネスト」は災害に弱い

「エンプティネスト」は災害に弱い

イラスト1:住まいの人生時計
■イラスト1:住まいの人生時計(画:天野彰)

すでに16年が過ぎた阪神淡路地震で多くの高齢の犠牲者を出したのは、子育てが終わって手入れの行き届かなかった家に住み続けていた老人世帯の家の倒壊による圧死と、家の中で多くの家具などの転倒や開かないドアなどで、行く手を阻まれての焼死と言われています。今回の東日本での津波などの災害とも共通する被害を総合しますと、老人世帯の家の補強や環境整備が改めて最重要だと言えるのです。

写真1:阪神大震災の2階が重く倒れた家
■写真1:阪神大震災の2階が重く倒れた家(写真天野彰)

子育てのために建てた家も、長い人生から見ますとあっという間のことで、子どもたちは成長し出て行ってしまいます。その家のことを なんと“エンプティネスト”と呼ぶと言うのです。いわば空の巣、すなわち“空き巣”です。とんでもないことです。家は夫婦が住んで生きて行くところです。

写真2:東日本大震災の津波の惨状仙台市
■写真2:東日本大震災の津波の惨状仙台市(写真天野彰)

しかし残念ながら現実の家づくりはどうもそのような家が多いのです。あの阪神・淡路地震のときは比較的大きな家が二階に子どもたちの重い“残骸”を残したままの空の家が多く、しかも雨漏りなどろくに手入れもしないまま老夫婦が住み続け、こうした家が倒壊の被害に遭って多くの犠牲者を出したのです。

今、世の中は核家族化が進みしかも少子高齢化の時代に、そうした“老いた家”が急激に増えているのです。

家づくりでの夫婦の共通の課題は子どものためです。子供部屋が優先され、妻は「システムキッチン」夫は「書斎」と、小さな夢を馳せらせたのです。その結果、今、誰もいないダイニングリビングと、物置化した「子ども部屋」が残る無駄な大きな家となっているのです。思い起こせば高度経済成長期の真っただ中で会社人間の夫は忙しく、妻や子どもたちの日常生活を無視した経済的かつ合理的な家づくりを進め、反対に妻だけで子育て中心の家づくりでもあって、まさかその先の夫婦の家までが見えてこなかったのです。

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表