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建築家 天野 彰 予算“ゼロ”でも6畳を2人、3人の子ども部屋

1 予算“ゼロ”でも6畳を二人の子ども部屋

1つの部屋で彼らを一緒にしていると、私には年子の息子がいました。今は成長して出て行きましたが、私は彼らが5、6歳のころからそれぞれ部屋を与えたのです。落書きやいたずらなど、どちらの仕業か分からなくなり、どちらを叱ったらよいかも分からず、片付けや物の整理などの彼らの個性を知ることもできなかったからです。同時に部屋を与えることで彼らの空間の管理を教えたかったのです。そんな理由から私は子どもたちに小さいころからそれぞれの部屋を与えることに賛成です。問題は子ども部屋のあり方とその与え方が重要なのです。

その第1が子ども部屋は広く快適にしないことです。小さな子どももやがて自分の部屋を要求してきます。これは子どもたちが確実に成長している証拠です。そんな中「子どもが大きくなって困る」などと言う親御さんも変ですが、2LDKなどの狭い家に住む若い親たちには大きな悩みです。どの親にとっても子どもが大きくなることは嬉しいことです。しかし狭い家でこんなに早く部屋の要求をされることになるとは思わなかったと言うのです。確かに最近は子どもの成長が早く、男女の子どもは身体の変化も出てきます。また上の子が受験をするなどで、仲の良い兄弟でも分けてそれぞれに部屋を与えなければならない状況もさし詰まっているのです。これは大変と言って今の2LDKからもう一つ部屋がある3LDKに移ればさらに1,000万円以上もかかり、家賃も毎月5,6万円の追加出費が必要となります。

だからと言って慌てることはないのです。これは与えられた2LDKなどの間取りにそのまま何もせずに住んでいることが問題なのです。ここは私がお勧めする「狭楽し手法」をもってすれば予算ゼロでも二人の子ども部屋ができるのです。

2LDKの2つの部屋の1つ、すなわち6畳の一間を2つの子ども部屋(コーナー)にすればよいのです。それも今ある2段ベッドを部屋の真ん中に置いて、イラストのようにパネルなどで上下段を互い違いに立体的に仕切ればよいのです。実際に6畳の部屋のまんなか壁で仕切ってベッドや机を置く場合よりはベッドが床を占領しない分広く感じるのです。

2段ベッドで仕切る
2段ベッドで仕切る(画:天野彰)

2段ベッドをパネルをテレコに張って2つの部屋に
2段ベッドをパネルをテレコに張って2つの部屋に(画:天野彰)

2段ベッドで仕切る上が兄向こうが妹
2段ベッドで仕切る上が兄向こうが妹(天野彰)

これこそ私が勧める「狭楽し術!2人の子どもに6畳を立体的に仕切る」の極意で、これは賃貸のアパートでも床や壁を傷つけることなく日曜大工でも簡単にできる“予算ゼロのリフォーム”です。上段のベッドは男の子か上の子にし、下段のベッドの下の空間は双方から使える引き出しにするのです。音や気配こそしても、互いのプライバシーを守られ、落ち着いて勉強をすることもできるのです。子どもたちにとってのわが空間であり決して広さを要求しないのです。これこそ希望に満ちた豊かなお年玉となるに違いないのです。

2 子どもが3人でも6畳一間に3つの子ども部屋?!

この“ソフト壁”で2LDKの6畳一間に3人の子ども部屋(コーナー)をつくることもできます。狭い2LDKや3DKの家では子どもは1人がやっとと言うことで、それが少子化の原因の1つとなっていると思われます。それでも私の友人は3人の子どもを3段ベッドに押し込んでいましたが、1段が70センチほどの窮屈なものとなり最上段は高過ぎて子どもには危険でした。そこで、その2LDKのLDKはそのままで、2つの6畳間の1部屋をなんと“3人の子ども部屋”にするのです。各部屋は部屋と言うよりコーナーで、それもそれぞれにベッドや収納があり快適で、しかも簡単にできるのです。

まず6畳の押し入れを含めたスペースを、折りたたみベッドを背面に取り付けた収納家具2つで部屋を3つに仕切ります。これに端の部屋の壁に折りたたみベッドを仕込み、反対の端の部屋の壁には机とクロゼットを置きます。なんとこれで確かに三つの子ども部屋?ができました。今までの6畳とリビングとの仕切りの壁は取り外し床から天井までの奥行き15センチほどの薄い本棚とし、子どもたち共有の書棚にします。子どもの各コーナーは奥行きがほぼ1.9メートルで、幅は1.5メートルほどで、休むときや着替えのときはカーテンか、簡単な引き戸で閉じられます。そのコーナーに折りたたみベッドを倒すとぎりぎりのスペースとなり、勉強をし終えない限りベッドを倒すこともできず寝られないのです!それでもプライベートスペースを与えられた子どもたちは大喜びです。

6畳を3つの子どもコーナーに
6畳を3つの子どもコーナーに(画:天野彰)

システムによる子供コーナー
システムによる子供コーナー(天野彰)

これらの間仕切り収納家具は大工さんに寸法を合わせつくってもらってもいいのですが、やはり厚くてごつくなってスペースもさらに狭くなります。間仕切り壁や押入れの解壊までを頼み、造作は折りたたみベッドまで組み込めるパーチクルボードパネルなどによるセミオーダーのシステム家具もありモダンでスマートにできます。さあ、この最小空間案外落ち着いて勉強に集中出来ますが…長くいるとやはり息苦しくなるせいか子どもたちはすぐにLDKに出てきます。結果、ドアできっちり仕切った個室を与えるよりも家族と居る時間が長くなるのです。しかも子どものために広い家に引っ越すこともなく経済的で、親子関係が良くなると言う一石二鳥のお話です。

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

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