住宅関連記事・ノウハウ
相続税対策に?!【賃貸併用住宅】~一般募集のメリット・デメリット
1 賃貸併用住宅のメリットについて
最大のメリットは家賃収入
賃貸併用住宅のメリットは家賃収入を得られることにつきます。一昔前のように、土地を所有することで価値が上がっていくということを期待することばできず、土地を活用して収益を生み出さなければ課税や維持管理費用がかさむばかりになってしまいます。大きな収益を期待できる人気の場所に大きな土地を所有していない場合、大きな収益は期待できないかわり安定した収益を期待できる賃貸併用住宅にして月々安定した収入を得ることが、資産を増やし生活を安定させる方法のひとつです。
住宅ローンの負担を軽減
生涯支出の約4分の1を占める住居費です。自宅を建てた場合は住宅ローンの支出がその大半を占めます。賃貸併用住宅によって家賃収入を得ることで、住宅ローンの負担を減らすことができます。家賃収入で住宅ローンのほとんどをまかなうことができれば家計収支はだいぶ楽になるでしょう。
将来のライフスタイル変化にも対応
二世帯住宅を建てるとき、将来賃貸住宅として活用できるようにしておくことで、将来にわたって土地を効率よく使うことができます。建てた後しばらくは賃貸住宅として使って、遠くない将来に二世帯住宅として活用することもできるのです。このように、将来のライフスタイルの変化にあわせやすいのも賃貸併用住宅のメリットです。
敷地・ライフスタイルにあった最適なプランが検討できる
大家族で暮らしていた住まいが古くなった、広すぎるなどの理由で建て替えを検討する場合、現在の家族構成に添った広さに小さくする場合が多いようです。このような場合でも、自宅を小さくする分を賃貸住宅にすることもできるのです。
賃貸併用住宅のメリットは以上のようなことがあげられます。メリットを上手に活用して賃貸併用住宅を建てられることをおすすめします。
左:82歳 賃貸併用住宅建てました!(施工:パナホーム)右:ペットと暮らす都市型3階建て賃貸併用住宅(施工:大和ハウス)
2 はじめての賃貸オーナーになるためのステップ 基本編・実施編・経営編
賃貸オーナーになるためのステップ 基本編
賃貸オーナーになるにあたっては、一般的な住宅とは異なる知識・ノウハウが必要になります。
要望や目的の明確化
賃貸併用住宅を建てる目的として、主に老後の安定収入先の確保をはじめ、相続税の小規模宅地の評価減の特例を活用するなど、いろいろな目的があります。家族で話し合い目的が明確になっていると具体的な計画段階に進むにあたり個々の判断に悩むことがあっても、当初の目的に添った対応ができるようになります。月々どのくらいの家賃収入が必要なのか、まずここから検討をはじめます。
周辺賃貸の市場調査
完成後は早めに賃借人の方にご入居いただくことが、賃貸経営の基本。賃借を検討している方々は、周辺の賃貸住宅の相場をみながら気に入った物件の家賃が妥当かどうか比較します。そもそも現在の場所では賃貸住宅の需要がない、という可能性があることも含め、客観的に判断できる材料を集め総合的な企画作成に活かします。
計画敷地の特性を確認
主に狙うべき客層がファミリー向け賃貸住宅か単身者向け賃貸住宅か、店舗などの事業用賃貸かによって、賃貸部分の面積・間取りは大きくかわります。お客さまとして狙うべき“自分の賃貸住宅に賃借をする方々のプロフィール”を間違えると、いつまでたっても自分の賃貸住宅に入居しない、ということになりかねません。そのためにも、周辺の賃貸住宅の市場調査とあわせ、計画敷地の特性確認が大切になるのです。
総合的な企画作成
賃貸経営は、会社経営と同じように経営としての重みがあります。会社経営ではあたりまえのコンセプト立案・他さの差別化・リスク低減策の計画は、賃貸経営でも同じように必要になります。
税務についての確認・対策
相続税の“小規模宅地の評価減の特例”適用が賃貸経営目的のひとつであれば、税務についての確認・対策を怠ってはいけません。なお、お客さま個々の税務対策はすべて、税理士の担当職務になります。
賃貸オーナーになるためのステップ 実施編
賃貸経営の収支シミュレーションがもっとも大切
賃貸オーナーになるにあたっては、賃貸経営の収支シミュレーションがもっとも大切です。この収支計画をもとに、資金調達(金融機関とのローン打ち合わせ)、ならびに適切なプランを設計、建築工事の発注と工事建物の確認という流れになります。資金調達の段階にあたって借入金利や返済期間で大きな差になりかねないのが利用できるローンの種類。自宅と賃貸部分が半々程度なら、アパートローンと比較して金利が低い住宅ローンでの資金調達ができる可能性があります。住宅ローンのメリットは、アパートローンやプロパー融資に比べると金利が低く、担保掛目が大きいため担保評価額も多く出るのでアパートローンと比較して借入額を増やせる可能性があるところです。建物構造に関係なく最長35年までローンを組むことができるのも魅力です。
デメリットとしては、住宅ローンで賃貸併用住宅を検討する場合、多くの金融機関の住宅ローンでは自宅部分を建物全体の51%以上(賃貸部分を49%以下)にすることが要件なことです。また、融資審査で新たに入ってくる賃料収入を借入の返済財源として見ることができないということがあります。アパートローンやプロパー融資の場合は、審査の際に購入や建築により、これから入ってくるであろう家賃収入を借入返済の返済財源として見ています。家賃収入から経費を算出した残り(キャッシュフロー)で借入返済ができるかどうかを見ますが、住宅ローンは年収に対し年間元利返済額(住宅ローンのみならず車のローンや教育ローン、カードローン等他の借入も含め)が年収の何%になるのかで返済能力を判断しますので、どの金融機関のどのローン商品を選ぶかによって、返済計画は大きく変わります。その比較検討の根拠が賃貸経営の収支シミュレーションというものです。賃貸経営の収支シミュレーションの出来不出来で、収益が大きく変わります。
建築計画・工事発注・工事確認は、通常の住宅とそう大きく変わるものではない
賃貸経営の収支シミュレーションによって、賃貸部分の間取り・面積が決まります。その計画に沿って建築計画が決まり、建築工事の発注、工事建物の確認を経て、いよいよ賃貸経営のスタート。ここからが本番です。
規制などの問題をクリアしたオール電化賃貸併用住宅(施工:パナホーム)
※担保掛目:金融機関が貸し出しをする際、当該貸出の担保物件 (不動産や株式など) の価値を算定、この担保価値に一定の率 (預金は100%、優良上場企業の株式は80%・90%、不動産は80%まで等) を掛け、その額を上限に貸出することが多い。このパーセンテージを「担保掛目」といい、金融機関の融資の安全性確保の見地より古くから導入されている。
賃貸オーナーになるためのステップ 経営編
入居者募集
賃貸経営の収支シミュレーションがいかにしっかりしていても、スムーズな入居募集を依頼できないと、空室が決まらないことから見込んでいた利回りの達成が困難になってしまいます。入居募集のスタートにあたっては、入居募集図面を作成。不動産仲介会社へ入居募集依頼をします。この入居募集依頼方法には専任と一般の2つがあります。
専任とは
入居募集の窓口をある特定の1業者に限定。その不動産仲介会社と専任媒介契約に基づく入居募集委託契約を締結することです。特定の業者を通じて入居契約が進められるため、必ず手数料が当該の業者に入ることになります。そのため入居募集依頼のために不動仲介産会社を訪問すると、不動産仲介会社は、決まって専任をとりたがるのです。
一般募集とは
特に不動産仲介会社の窓口をきめることなく、複数の仲介会社に同時に入居募集依頼をするという形態です。この場合は、一番早く入居希望者を見つけてきた仲介業者に手数料が入ることになります。
左:東京電力とのコラボで創るオール電化のアパート(施工:トヨタホーム東京)右:1R賃貸3室を設けた賃貸併用2世帯住宅(施工:共立建設)
3 専任募集・一般募集のそれぞれメリット・デメリット
専任募集とは
入居募集の窓口をある特定の1業者に限定する募集依頼方法です。この特定の業者を通じて入居契約が進められるため、必ず手数料が当該業者に入ることになります。
メリット
- ・依頼した業者が、募集活動の窓口となり、責任を持って募集活動を
みなさまに連絡してくるのは窓口の業者のみとなり、時間と労力を節約できます。 - ・カギの管理を一元化窓口の業者がカギを管理してくれるので、自分自身が対応する必要はありません。
- ・業者が他の集客力のある客付業者に営業。
仲介業者への営業には時間がかかりますが、これを窓口の業者が代行してくれます。 - ・契約書や審査方法を統一することができる。
契約書・審査方法は窓口業者指定のものになり、入居審査方法とあわせて統一することができます。
デメリット
- ・業者が物件情報を抱え込んでしまう恐れがある
このようになると逆に空室がなかなか埋まらなくなります。 - ・信頼できる業者に依頼しないと、反対に被害を被ってしまう
審査方法や契約書式をあらかじめしっかりチェックしておかないと、入居が決まってからみなさまがクレームを受けることにつながります。
専任募集のメリットとデメリットをよく理解しましょう!
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