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住宅関連記事・ノウハウ

建築家 天野 彰 増築から減築の時代

1 減築は都会人の生き方

「狭苦しい」の反対は「狭楽しい」減築は都会人の住まい方?

これからの住まいは減築でこそ快適で、夫婦仲が良く家族関係も良い家となる!などと断言しました。「なんで今さら狭くする?」「壊すのにもお金がかかるのでは?」などのご意見も出ましたが、多くの賛同も得たのです。もともと狭い都市に住む私たちは必然的に地価が高額となり、狭い住まいに住むのだから不要なものを捨てて狭苦しさから「苦」を取り去って「楽」にし、もっと積極的に楽しく住むことが一番。狭さは変わらずとも狭楽しく住むことが都会人!と提唱して来たのです。

写真1:はじめて出版した『狭楽しく住む法』(故真鍋博氏カバー画)(左)、その25年後出版の『減築のすすめ』(講談社)(右)
写真 はじめて出版した『狭楽しく住む法』(故真鍋博氏カバー画)左 その25年後出版の『減築のすすめ』(講談社)右

部屋があっても物置同然となっていたり、子どもたちが出て行った後の残骸のなかに住むのではなく思い切ってその不要となった部屋を、お馴染みのイラストのように一部だけ解体「減築」するだけで風や光が通り、快適な部屋が多くなる。思い切って人に貸たり、売却処分して今後の生活の糧にするなど。これこそがこれからのスマートな都会人の生き方住まい方だと言うものです。

イラスト 減築の図とその断面図
イラスト 減築の図とその断面図

そもそも減築は家を小さくすることが目的ではなく、利便性の高い都市での住まい方、今の家や生活を見直して未来を想像することなのです。減築は都会人の生活思想であり、哲学でもあるのです。これから数回にわたりその「減築」の考え方や、その効果、そして具対的な手法や狭楽しく住む極意などをお話ししたいと思います。

涼しげなたった一坪の中庭W氏邸(筆者撮影)
涼しげなたった一坪の中庭W氏邸(筆者撮影)

2 減築は安全で健康住宅

減築は住む人の安全と健康にもよい!

減築のメリットは今の家を増やすことなくより効果的に空間を利用する。狭楽しくすることで、施工費も安価でしかも省エネとなって経済的であることと、老いの住まいとしてもコンパクトで住まいやすくなり、都会人のスマートな住まい方、生き方でもあるのです。

今の家にも減築で小さな中庭を(筆者設計撮影)
今の家にも減築で小さな中庭を(筆者設計撮影)

しかしもっとも効果的なことは、何よりも安全な住まいとなることです。子どもが出て行って不要となった2階などをまるごと取り去る減築によって家自体が軽くなって、地震に強くなりさらに耐震強化をすることで安心安全な家となるのです。だいいち2階が無くなることによって転落などのリスクもうんと減るのです。

減築して2階を取りさらに柱梁を内側から補強する
減築して2階を取りさらに柱梁を内側から補強する

今の家に減築して中庭をつくることによって八方から風が入り、夏は涼しく通気も良くなり建物に対しても、住む人自体も健康的となり。さらには風通しと陽だまりを駆使しさらに断熱を強化することによって、お馴染み京都の植栽の中庭の自然の空調となり、体に優しくなるのです。木材や漆喰さらには珪藻土や紙などの自然素材を多用することによって健康住宅となるのです。

おなじみ京都町家の中庭の自然空調を減築で(筆者撮影)"
おなじみ京都町家の中庭の自然空調を減築で(筆者撮影)

大きな空間をつくり不要なモノをあちこちに抱え風通しを塞ぎ、しかも掃除や片づけに疲れさらに何とかしようとあれこれ考え悩み心も塞いでいることは狭苦しいどころか不健康で広“苦”しいのです。

減築で四方を開放してさらに自然素材を多用して健康住宅に
減築で四方を開放して自然素材を多用して健康住宅に

3 減築は家族関係にも良い

減築は夫婦そして家族関係にも良いのです?

広い家が欲しい!子ども部屋を広く!などと言う建て主も少なくなりました。何も今の家が小さいのでも予算がないのでもありません。狭くとも家族がいつも一緒にいられるリビングダイニングが理想です!と言うのです。夫が忙しく、妻も共働きのこともあって、せっかく家族が居る時間だけは皆一緒に居たいと言うことです。こうして今の家を見てみますと、確かに間仕切りが多く細々と部屋があります。これでは風が通らないばかりか、家族も風通しが悪く個室に籠ってばらばらとなってしまいます。そこで今の家を、間取りを見てみましょう。すると、住まいの中で物置然としたあまり活用されていない場所や部屋が多いことに気が付きます。そんな部屋を思い切って取り去ってイラストのようにそこを庭にしてしまうのです。

減築の平面図どこを取る
減築の平面図どこを取る

するとその庭に面したいくつもの部屋に光と風が入って生き返り、そこを今のリビングに足すのです。すると家族の大きなリビングダイニングが生まれるのです。これこそが減築の真髄です。

減築で光と風が通る快適なリビングが生まれる作画筆者
減築で光と風が通る快適なリビングが生まれる作画筆者

2LDKや3LDKのマンションや戸建てでも、子ども部屋との仕切りの壁を取り去れば同じことが可能です。その部分を可動のふすま壁、すなわち引き戸にすれば「閉じれば子どもの勉強コーナーなどの個室、開ければ一体!と夫婦や家族の生活に新たなドラマが生まれるのです。このことは賃貸のアパートでも仕切りが建具であればふすまを外して同様の生活が可能なのです。

子ども部屋の間仕切りを引き戸にしてリビングと一体に
子ども部屋の間仕切りを引き戸にしてリビングと一体に

減築は空間を減らすことばかりではなく、間仕切りを外すことで家族の生活を間取りに押し込んで固定することから開放して、今の家を家族の生活に合わせることなのです。

DK開閉の間仕切り引き戸例I邸(筆者撮影)
DK開閉の間仕切り引き戸例I邸(筆者撮影)

4 減築は高齢化社会の終の棲家

減築は高齢化社会での暮らしの糧となる

FM仙台のエル・パーク仙台スタジオホールにて宅建協会主催の家族が幸せになる家えらびにて渡辺正行さん方とシンポジュ-ムをしてきました。その中で私が常々提唱する減築のお話をしました。が、なぜ家を狭くしなければ…?などの質問が多く出ました。私は減築とは家を単に小さくすることではなく、今の家を、今の生活を改めて見直すことで、その結果、無駄に使っていた部分や使われていない部屋などを見つけ撤去して切り詰め、さらに不要な間仕切りを取ることによって、生かされる部屋や空間が多く生まれ、意外にも今の家がかえって広くなることをお話しました。二階など現在使われていない部分を取り除き減らして家を軽くすることで耐震強化ができ、住まいがコンパクトになれば、その分耐震強化工事がしやすいことなどをお話しました。

減築して2LDKが二戸のイメージ断面図
減築して2LDKが二戸のイメージ断面図

しかし何よりもこの先の高齢化の時代を考え、生活部分がすっきりコンパクトになれば動きやすく、老いの生活に有利となり、そのスペースをしっかり断熱して省エネルギーを考え、「減築」して余った部屋を下宿のようにして学生など減築して2LDKが二戸のイメージ断面図若い人に貸し、もっと大々的にイラストのように2LDKほどのアパートにして、若い家族に貸して老いの生活の糧にすることも可能となるのです。

イラスト2:下を若い世代に貸し自分たちは風通しの良い2階で悠々自適
下を若い世代に貸し自分たちは風通しの良い2階で悠々自適

何よりも老いて若い世代が同じ屋根の下に一緒に住んで居れば心強く、もしどちらかの容体が急変したり、災害時などいざとなったときも助かるのです。

右が母屋、左が2LDK上下2戸のM邸(筆者設計本木氏撮影)
右が母屋、左が2LDK上下2戸のM邸(筆者設計本木氏撮影)

5 減築は都市をコンパクトにする

契約同居減築で都市全体を縮め省エネルギーの街とする

せっかく利便性のある都市に住むのなら、都市の利便性を最大限に生かし。大きな冷蔵庫など置かず下階のコンビニを巨大で新鮮な冷蔵庫とするなど都市ならではのコンパクトな生活で住み、それ以上に街の人たちと積極的に接し交流の場をつくって都市に新たなコミュニティの空間をつくることです。そうです。あの白川郷の結(ゆい)を現代の都市のそれぞれの街区や団地に生みだすのです。

白川郷の合掌造りの“結い”を都市の住区に(天野彰撮影)
白川郷の合掌造りの“結い”を都市の住区に(天野彰撮影)

私は「賃貸併用住宅」やアパートなどとは言わず、あるいは親子で住む「二世帯住宅」でもなく、敢えて『契約同居』と称しているのです。今、都市の旧住宅地や市街に住む多くの高齢者たちは子どもたちが出て言ったのちもそのまま住み続けて、しかも比較的広い敷地に大きな家に住んでいるケースが多いのです。言わば子どもたちの居ない大きな“無駄な空間と残骸”の中で、狭い・狭いと言いながら住み続けているのです。そしていよいよ連れ合いを失って一人暮らしとなってさらに家は大きくなるのです。そして、老人ホームなどの施設入所の費用や財産や相続のために結局はいずれ家を手放すこととなり処分。結果その土地はさらに細かく区切られ建て売り住宅が建ち並び、小規模なマンションが建ち、都市はますます細々として住みにくくなるのです。

今までの家を減築し残りの1,2階に2LDKを2戸
今までの家を減築し残りの1,2階に2LDKを2戸

これらの家が今思い切って減築され、今の家屋敷の外観と庭のまま、この「契約同居」住宅になれば、都心に割安の庭付きの賃貸住宅が無数に出来、街に若者たちが戻って来て、若い世代や子どもたちが住み着いて旧市街地が活性化し、統廃合を余儀なくされた小中学校も元のまま利用でき、子どもたちの声が聞こえる街に戻るのです。これによって都市が効率よく縮小するのです。今までの住宅地に無理な高層住宅を建てることなく、今の低層で環境の良いままの住宅地に倍か3倍ほど!の家族が住め、しかもまさしく老若子の3世代が都市中央に住むことになるのです。これによって老人世帯の一人暮らしの不安はおろか、家賃収入があるばかりか、自宅にて託児や保育、教育などの労働も生まれるのです。若い人たちは低家賃の庭付きの家の一部に住み、犬や猫を飼い、庭で菜園もできるのです。その子どもたちは、お年寄りの生きた昔話や料理や礼儀作法にも接し、真の情操教育ができるのです。

外観は一戸の3階建てだが貸室もできる2世帯(天野彰撮影)
外観は一戸の3階建てだが貸室もできる2世帯(天野彰撮影)

なんだこれは同居のメリットではないか?と思いきや、さ、にあらずで親でもない子でもない他の二つ、三つの世帯が一緒に住むことによって、互いの役割が「契約」で明文化され、独立性が生まれることです。もちろんこの「契約同居」に賛同して本当の子ども世帯が同居を志望して来れば、家賃をきちんと払うなど、まさしく親子が頼りすぎない真の二世帯住宅となるのです。

最上階をわが家に下階に5戸の貸室と貸駐車場(天野彰撮影)
最上階をわが家に下階に5戸の貸室と貸駐車場(天野彰撮影)

いずれにせよこれによって都市は今の半分ほどに確実に縮小し、郊外地への無駄で混雑する通勤時間はなくなり、都市そのものがコンパクトに“減築”されるのです。孤独死ともなりかねない高齢世帯だけの家も耐震リフォームされ、それぞれに若い世帯が住み、危険な空き家もなくなって災害強化もしやすくなるのです。これこそ老若子相互扶助のまさしく現代の結いとなるのです。

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
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