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住宅関連記事・ノウハウ

建築家 天野 彰 住まいの知恵 続く緊急事態宣言下の住まいの工夫

1 続く緊急事態で住まいの工夫

新型コロナ蔓延!新しい形の“災害”

長年にわたり住まいの設計をして来て、地震や台風など多くの災害を含め、ある程度の対策や対処法が分かるのですが、今回のようなウイルスによる災害などその対応が予測できないものです。

玄関のルーティーン?

まずは家庭内感染を防ぐ家の“防疫”チェックですが、ウイルスを玄関から家の中に入れないことです。玄関の土間には使い古し玄関マットを敷き、それに消毒アルコールを染み込ませるように撒き、そこで靴底をよく拭き取ります。さらに土間と玄関ホールの間に引き戸のような扉か、簡単には天井からビニールシートをカーテンのように吊るのです。あの玄関シューズ・クロゼットがあれば良いのですが、簡易に衝立などを置いてそこで着て来たものを脱ぎ、室内着に着かえるのです。

そこに手洗いかトイレがあれば理想ですが、その近くでも構いません。そこまでのルートを注意するのです。帰宅時のルーティーンのようなもので、これが家族を守り、安心感を生むのです。

そして換気は風通しと見通しが大切

現在リモートワークで働く人が多いようですが、家族を気遣って寝室や子ども部屋は個室で密室です。特に狭い書斎などはそこに長時間居ること自体酸欠となり危険です。ましてウイルスの排出にも不利です。やはり対角線にある開口部から風を通し換気をすることがなによりですが、マンションやアパートなど一か所しか窓がない場合でも引き違い窓の場合は左右それぞれを少し開け、片方を吹き出し(排気)し他方を吸い込み(給気)とするのです。また窓が一か所しかない場合はその高さを利用して写真の様に扇風機に角度を付け、上から排気し、下を給気にするのです。

写真:高さのある窓の上を扇風機の角度で排気、下から給気(アトリエ4A事務所)
<写真:高さのある窓の上を扇風機の角度で排気、下から給気(アトリエ4A事務所)>

部屋全体では物を整理し“対角に位置する”位置の窓やドアから空気を排出するように少し開けて、防犯の為に市販の窓ドアストッパー(写真)などでロックするのです。

写真:扉開放用市販防犯グッズ
<写真:扉開放用市販防犯グッズ>

集合住宅など都合よく窓も無く、両方を開けることが無理な場合、台所や浴室トイレなどの強力な換気扇で常時排気にして反対の遠い方の換気扇を止めて給気にするのです。部屋の空気を換気しながら冷暖房するエアコンに替えたり、冬は部屋の温度を保ちながら換気するロスナイなどの換気装置も考えるのです。室内の風の通りを見えるようにして“見えない敵”を心の中で可視化し、見通すことです。

今こそアクティブに住む!光と風そして時の流れ

非接触時代の家とは、改めて家族のこと、住まいのことを考えようとするチャンスなのかも知れません。ソーシャルディスタンス 、リモートワークとまさに“密”が避けられ、冷たい人間関係の時代となっているのです。

意外にも今まで気にもしなかったわが家を見直すと自然の光と風の動きを感じられ、窓一つでもそこから入る光を生かし、風の流れを感じるのです。部屋のなかで光と風を駆使するのです。家具の移動や鏡の効果で空間を映り込ませ部屋に変化を与えます。風もそれに沿って流れます。壁や扉を取っ払えば空間も大きく変化します。そして大切なのは“時の流れ”です。無垢の杉の板など生きた素材を使って壁の一面に貼るだけで芳香や経年変化、まさに時を味わえ、花の一凛や観葉植物にもこだわるのです。まさに生きた金魚や熱帯魚などいつまでも飽きずに観ていられるものです。マンションなどベランダやバルコニーがあれば、小さな家庭菜園をつくり野菜の成長を愛でるのがもっとも効果的です。集合住宅ではベランダは避難通路や避難はしごなどに支障のないように注意が必要ですが、以前にもお話した可愛い“鏡の石庭”をつくるなども視界と心が広がります。

写真:高麗恵子氏デザイン幕「デイケア松濤いのち」(設計:アトリエA)
<写真:高麗恵子氏デザイン幕「デイケア松濤いのち」(設計:アトリエA)>

壁や天井を傷めないように風で揺らぐカーテンや防炎加工した布などを吊るすだけでも空間に優しさが生まれ、光と影や風の動きで今の家が時を愉しめる贅沢な空間となるのです。

写真:団らん換気フード囲炉裏キッチン 臼杵I様邸:(設計:アトリエA)
<写真:団らん換気フード囲炉裏キッチン 臼杵I様邸:(設計:アトリエA)>

あのわが家の“囲炉裏キッチン”で、真ん中の排気ダクトをガンガン付けて毎日家族と焼き肉やお好み焼きを愉しんでいる家もあるのです。こうして、逆にこの時を家族とたっぷり時間を愉しむ時と捉え、この災禍の収束を待ちあえて時を味わうのです。

2 憂鬱な時代のアクティブな家とは?

『自粛巣ごもり生活の工夫を 将来の住まいづくりに生かす』などのアイデアを募集しましたが、返って来たのは愚痴のようなものばかりでした。東京五輪も無観客で終わり、その他のイベントも自粛、施設や店舗への休業要請、テレワークの推奨などと何も施策もないままただ市民に頼むばかりで、人の流れはいっこうに減らない。なかには「セルフ・ロックダウンを」などと訳の分からぬことまで言い出す知事まで現れているようです。しかし感染者は全国で増え続け、危惧すべきはこの長すぎる「巣ごもり」で自宅で閉じこもって過ごす人の多くが鬱状態になっていると言われます。「コロナ疲れ」「コロナストレス」「コロナうつ」などの言葉の通りになりました。

写真:2階が抜けて透明に?プラスチックミラーの家(R様邸:設計アトリエ4A)
<写真:2階が抜けて透明に?プラスチックミラーの家(R様邸:設計アトリエ4A)>

今の家の間取りを溶かす?

すべての間仕切りを思い切って取り払ってワンルームにする。すると狭いと思ったわが家が案外広いのです。空間も広がり、生活パターンも自由になります。しかし寝室や子ども部屋などの休むところも必要です。分厚いカーテンなどを引くか衝立などのパーティションで仕切るのです。背の低いタンスなどでコーナーにするのも落ち着きます。いずれも自在に間取りを変えられて広さ感もあるのです。

壁の上部を抜く?

では賃貸のアパートなど狭い部屋などで空間を広くする方法はないのでしょうか?さらに空間を拡大もする?手法をお話しましょう。ま、あの茶室の心理的いや、精神的広がりは、日常の寸法感覚をあえて縮めて細工された壁や天井によって遠近感を狂わせ、その中に居ると次第にとてつもなく広く感じさせる哲学的手法?なのです。

イラスト:欄間をガラスやカガミで透かすと天井が連続し空間が広く(画:天野彰)
<イラスト:欄間をガラスやカガミで透かすと天井が連続し空間が広く(画:天野彰)>

そこで実際に視覚的に心理的に広く感じさせる手法があります。それが空間の抜けと写り込みです。壁やドアの上部の欄間の高さから上を、ガラスで透明にして視線が抜けて行くようにするのです。が、賃貸のアパートや隣との壁は無理ですのでその部分をプラスチックのカガミ張りにするのです。カガミに空間が移り込んで行くようにするのです。天井の照明を均等に配置しそれが写るようにすると鏡の虚像と分っていても、本物の空間が連続するように見えるから不思議です!

壁の隅を抜く?

同じように壁の隅も抜くのです。空間がさらに平面的にも連続して行くように見えるから不思議です。壁の隅をカガミ張りにすると、今の部屋の壁が写り込んで、まるで部屋が平面的に繋がっているように感じるのです。いわゆる壁の抜け、空間の抜けと言うことですが、なんて言うことはありません。壁が部屋の隅のカガミに写って行くことで錯覚し、隣に抜けていくように感じるだけなのですが、狭い部屋もその圧迫感が無くなり、むしろ広々とするから不思議です。

イラスト:壁の隅のカガミで壁が抜けて吸い込まれるような錯覚を覚える(画:天野彰)
<イラスト:壁の隅のカガミで壁が抜けて吸い込まれるような錯覚を覚える(画:天野彰)>


壁の隅が抜けていくことは息抜きともなるのですが、このコツは決して自分が写ってはいけない!のです。この壁のコーナーの隙間から間取りが連続する手法は実際の建築でも使われる高度なプランニングテクニックで、エキシビションの展示やレイアウトの際にもよく使う手法です。これにより空間が連続して人が自然に導かれて行く、不思議にアクティブな空間となるのです。これが今の住まいで壁際に鏡台を一つ置くだけでも可能となるのです。

3 空間の狭さから解放する

わが視覚をだます?ことで息抜き!

壁や天井がスリットやコーナーに隙間をつくって、連続するさまは高度な建築のデザインテクニックとして、古くはルイス・カーン、ミース・ファンデルローエ、リチャード・ノイトラそしてフィリップ・ジョンソンなどが住宅の間仕切りや、エキシビションの展示やレイアウトの際にもよく行った手法で、部屋が連続して自然に次の間に導き入れられアクティブになれるから不思議です。

ダイアゴナル・プランニング手法?

四角い部屋の対角線の位置から見るとその対するコーナーまでの距離は一辺の√2すなわち1.4倍以上長く、その分広さ感があるのです。

龍安寺方丈南石庭の対角目線と遠近法(写真:天野彰)
<龍安寺方丈南石庭の対角目線と遠近法(写真:天野彰)>

同上石庭塀の高さがコーナー向けて低くなっている(写真:天野彰)
<同上石庭塀の高さがコーナー向けて低くなっている(写真:天野彰)>

その例にあの世界遺産の龍安寺の石庭があります。方丈に客を迎い入れた玄関の上り端から庭を見ると、なんとはるか彼方まで広く奥行を感じさせるのです。これは広さを誇示するためのものではなく永遠の空間を感じさせる哲学的な意味と思うのです。僅か70坪ほどの庭に巧妙に配置された15の石も視る人に様々な想いを感じさせるのです。
遠近法と言われる視覚の妙と、なんとよく見ると長辺の塀と短辺の塀がコーナーに向けて微妙に高さを変え低くなっているのです。

私はこの手法を狭い住まいの間取りづくりによく使い、対角線に従ってプランを進めて行くダイアゴナル手法などと名付けて実際より広く感じるように努めるのです。

ダイアゴナル手法?(画:天野彰)
<ダイアゴナル手法?(画:天野彰)>

これは平面だけでなく立体的にも応用し空間の縦方向、すなわち二階にも視線を向けて広々と感じるのです。

足腰や視覚の不自由な老人施設などのトイレなど邪魔なドアが無くてもこうした壁の連続でその視界を遮るなどもその例で、住まいの廊下でもあえて玄関からの動線に変化を持たせる演出にもなり、角度によって突然外の緑が映りこんできたり、色調を変えるなど、物理的に心理的にも哲学的な空間づくりとも言えるのです。まさにあの桂離宮の数奇屋造りの手法でもあるのです。

4 壁を溶かし?空間ロボット?

狭苦しい今の2LDKが広い1LDKになったり、逆に3、4LDKになる!など、“壁を溶かして”家族の都合に合わせて自由に間取りが変えられたらどれほど広く愉しいことでしょう。

2LDKの間取りをすべて取り去りワンルームに!

骨だけにするスケルトン・リフォームで、今の2LDKの間仕切りをすべて取り払い、大きなワンルームにしてしまいます。するとなんとこれが今までのわが家か?と思えるほど広々とした空間が現れるのです。改めて京都などの狭い茶室に行ってみましょう!京都でなくとも本格的茶室ならどこでも!スケールの縮まった空間に入ってみるのです。ここに暫く居るとなぜか広さも感じるようになるのです。そして改めてスケルトン・リフォームでワンルームとなった2LDKのわが家を見てみるのです。

広い!これはもう豪邸ダンスもできる贅沢の極みですこれが空間を読み取る狭い広いスケール感覚の逸脱で拡大縮小の不思議な錯覚なのです。 いっそ、このままワンルームで家族一体となって住もうか!とさえ思えて来るのですが、やはり収納が欲しい。それぞれの個室も欲しい。

間取りが変わる?「間仕切り収納ロボット」誕生

そこで先ず片方の壁側にトイレなどの水回り、その反対にすべて壁面収納にするのです。しかしまだまだ広いワンルームですが、やはり個室がとなります。

その空間の真ん中にL字形か十字形の収納壁を造ります。と言っても、これは天井すれすれの高さの収納家具で、なんとキャスターも付いているのです。これをゴロゴロと動かすとそれに連れて4つの空間が現れます。しかもそれぞれの空間やコーナーが伸縮して変化します。

イラスト:自在屏風「間仕切り収納ロボット」生活維持装置(画:天野彰)
<イラスト:自在屏風「間仕切り収納ロボット」生活維持装置(画:天野彰)>

写真:壁面収納間仕切り動かないが白板、開ければ本棚(アトリエ4A)
<写真:壁面収納間仕切り動かないが白板、開ければ本棚(アトリエ4A)>

 なんと!ワンルームの間取りが自在に変わるのです。この位置や角度によって家族の暮らし方まで変わってくるのです。

これこそ動く屏風「間仕切りロボット」で生活維持装置でもあるのです。昼間使わない寝室は最小にしてリビングダイニングを広く使う。子どもが居ない時は子ども部屋を最小にしてさらに広くして。そして夜、休む時はスイートルームのようにゆったりした広い寝室にしてこの災禍の終息を待ちつつ、あえてわが家で時を愉しむのです。

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
 一級建築士事務所アトリエ4A ホームページ

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