住宅関連記事・ノウハウ
耐震住宅・制震住宅・免震住宅?メリットとデメリット
【1】耐震住宅・免震住宅って?
現在の住宅性能を語る上で、絶対に外してはならないのは耐震・免震です。
【2】耐震とは
普通の地震では大きな損傷がなく、大震災では建物内部でエネルギーを吸収し、揺れを軽減すること
- ・地震の揺れは直接建物に伝わるが、2階から上階の揺れが軽減される。
- ・強風(台風)では、ほとんど揺れない。
- ・建物損傷については、制震装置が建物の揺れ(振動エネルギー)を吸収するので、建物全体ではほとんど損傷しない。
- ・家具転倒は2階から上階が軽減される。
- ・設置コストは30万~100万円。
- ・軟弱地盤の制約はほとんどない。 (地盤改良が必要になる場合があります)
- ・地下室などの設置制約はない。
読んだ字のごとく普通の地震では大きな損傷がなく、大震災では倒壊しない程度の損傷が発生するレベルに耐えること。一般的な木造の耐震住宅は、強固に固められた基礎の上に土台がのり、その上に柱が立ちます。 現在はすべての住宅が耐震住宅仕様です。制震住宅(追加工事費は50万円~100万円)制震装置は、大地震にずば抜けて効果を発揮するのではなく、振動エネルギーを吸収して損傷を大幅に軽減できるようにする装置です。家具の転倒に対しては、転倒防止金具などを用いることで、ほとんど免震住宅と同じ程度の被害まで押さえ込めます。
地震と津波の発生メカニズム、東日本大震災のスペクトル解析、不同沈下にかかる住宅修繕にかかるコスト、地震保険はなぜ半額なのか、東日本大震災で転倒した家具、転倒しなかった家具の固定方法の違い、なぜソーシャルメディアは震災直後でもつながったのか、非常食の手配と調理方法、津波が襲ったエリアで明暗を分けた避難所について。東日本大震災以降、ずっと続く余震を前に、首都圏にお住まいの方々も現在のお住まいや震災発生後の被災地のナマの声について、報道だけではわからない現実を少しでも知ろうとしている様子でした。
現在の建築基準法に沿った新築住宅であれば、事実上の標準装備。2000年以降の木造住宅であれば、地盤調査・地耐力に応じた基礎構造・耐震壁の配置バランス・筋交い金物使用の規定などが定められており、等級別に3つのグレードがあります。
【3】耐震の3つのグレード
- 耐震等級1
- 建築基準法で定められた、建物に備わっているべき最低限の耐震性能を満たしていることを示すもので、震度6強から7に相当する大地震に耐えうる強度を持つように構造計算されています。2016年4月に発生した熊本地震は震度7でしたので、このレベルの震災に耐えられる建物と考えればわかりやすいと思います。
- 耐震等級2
- 耐震等級1の1.25倍の倍率の耐震強度があることを示しています。「長期優良住宅」として認定されるには、耐震等級2以上の強度を持たなければなりません。災害時の避難場所として指定される学校や病院・警察などの公共施設は必ず耐震等級2以上の強度を持つことが定められています。耐震等級2の住宅は、今後値上がりが予想されている地震保険の保険料が耐震等級1よりも30%割引になります。
- 耐震等級3
- 耐震等級3は、耐震等級1の1.5倍の耐震強度があることを示しています。住宅性能表示制度で定められた耐震性の中でも最も高いレベルで、災害時の救護活動・災害復興の拠点となる消防署・警察署については、その多くの建物が耐震等級3で建設されています。また耐震等級3の住宅は、今後値上がりが予想されている地震保険の保険料が耐震等級1よりも50%割引になります。
【4】耐震性能のメリット
- ・事実上の標準仕様であることから、他の制震・免震に比べ、建築コストが最も割安
- 耐震性能のデメリット
- ・地震の揺れが直接建物に伝わる
- ・強風(台風)ではほとんど揺れない
- ・地震のたびに、建物の損傷が進む
- ・免震と比較して、格段に家具が転倒する
- ・現在の建築基準法では、ほぼすべての住宅が耐震住宅となる(追加費用がない)
- ・軟弱地盤の制約はほとんどない (地盤改良が必要になる場合があります)
- ・地下室などの設置制約はない
【5】対策ポイント
耐震住宅では、家具・家電をしっかり固定する対策のほか、地震による火災対策も忘れてはいけません。震災時は、電気機器などのショートにより火災が併発することが多く、建物が揺れに耐えられたとしても、周辺の火災により命が危険にさらされる可能性があるのです。それを防ぐためには、揺れだけでなく火にも強い家を建てることが重要です。たとえば、外壁材としてALCボードを採用すれば、隣家からの類焼を防ぐことができます。ALCボードとは、細かい気泡を発泡させて造る外壁材。断熱性・耐火性に優れており、火災対策としてはまさにうってつけの素材です。
また、戸建住宅では主流の木造住宅において、「木は燃えるから、木造住宅は火に弱い」と勘違いしている方も多いかもしれませんが、一概にそうとはいえません。きちんと乾燥された木材は、火に対しても十分な強度を発揮し、燃えてしまっても急に強度が低下することがないため、逃げ出すまでの時間を十分に稼いでくれます。
このように、耐震性能の高い家づくりでは、地震と火災に備えた対策を行うことで、災害から家族の命を守る家を実現できます。家を建てようと検討するとき、各住宅会社ごとに定められた耐震等級の基準に関わらず、家づくりを依頼する施主側が耐震等級を決めるのが本来の流れ。素人だから口出しすべきではない、といった遠慮は必要ありません。また、耐震等級に関する知識を持っていれば、住宅を新築・購入する際、その安全性や住みやすさをしっかり検討したうえで、耐震等級を決めることができます。ある程度予算をかけて耐震等級を上げるか、住みやすさを重視して耐震等級に目をつぶるのか、地盤の強さなどから耐震等級を決定するのか……さまざまな選択を検討できるのも、しっかり知識を持っているからです。
【6】免震とは
免震住宅(坪あたり10万円以上の追加金)免震装置は、大地震が発生したときに家具の転倒や建物の損傷を防ぐという点では、抜群の効果を発揮します。しかし、大きな地震でないと作動しないとか、台風のときには揺れる心配があったり、装置の価格が高いとか、液状化するような地盤には向かないなど、価格以外にもいろいろな制約条件があります。
- 免震メリット
- ・地面だけが揺れ建物に伝わらない地震対策に理想的!
- ・住宅は宙に浮いた状態で地面だけが動くという、地震対策として理想的な工法
- ・地面の揺れが建物に伝わらない
- ・建物の損傷・家具の転倒などを最小限に抑えることができること
- ・建物がほとんど変形しない
- ・本来の耐震性を維持できる
- ・地震保険料は、耐震等級3と同様、50%
【7】免震デメリット
- ・設置費用が制震装置と比較して非常に高い
- ・建物が地面に固定されていない
- ・地震に対して有利な技術の副作用として、小さな地震や台風などで家が動く可能性がある
- ・建物が動いてしまう分、建物の周囲を空けておく必要があったりと建物に設置するにあたって、さまざまな制約条件がある
最近は、空き家特措法の施行や相続対策をきっかけに、家実家の建て替え検討を始められる方も増えておりますが、建て替えのご検討にあたっては、以下のチェックシートを使って、まず、耐震性の観点から建て替える必要があるかどうか、自分で検討することをおすすめします。
あなたの住まいの耐震度をチェックしましょう
まず、熊本地震で被害を受けた方々に際し、心からお悔やみとお見舞いを申しあげます。被災地では地震がいまだに続くなか、まず自宅の状況がどの程度の修繕が必要なのか、度重なる地震に耐えられるのかなど、まだまだ不安でいっぱいかと思います。震源から遠く離れていたもののお住まいの家が大丈夫かどうか、不安に駆られている方も多いのではないでしょうか。ご自宅が半壊あるいは一部損壊といった状況であれば、適切な修繕を行うことによって、家の機能は復活します。こうした場合、一刻も早く直したいと願うのは、だれしも同じです。ライフラインが寸断された状況のまま避難所で過ごしていると、より急いで直したい気持ちになることは間違いありません。
また、このようなご時世でも、いわゆる悪質な施工会社は、「急いで直したい」心理につけこみますので少しだけ冷静になることも必要です。すぐに耐震リフォームに取りかかる前に、落ち着いて考えてみましょう。お住まいの方々も一刻も早く直したいと願う意識から、施工会社の身元確認すらおろそかになりがちです。言葉の上では同情や悔やみをいいますが、多くは適当な工事を行って高額な料金を請求してきます。
東日本大震災でも同様な事例が発生してしまいましたが、災害後の復興支援金も悪質な施工会社に狙われてしまいます。不安をあおるようで心苦しいですが、耐震改修工事の内容と、その修繕金額が適切かどうかは、必ず確認をしましょう。家の修繕、リフォームについては絶対に、一社だけの見積もりで即断するのは危険です。同じ耐震改修工事でも、必ず複数の施工会社から見積もりや図面を取り寄せて比較されることをおすすめします。3社程度が比較しやすいでしょう。複数の業者との見積比較をすることで、より適切な判断ができるようになります。今後も大きな地震が発生した場合のことも考え、この機会に耐震リフォームをご検討の方、ぜひお気軽にご相談ください。
関連記事
おすすめ特集
人気のある家をテーマ別にご紹介する特集記事です。建てる際のポイントや、知っておきたい注意点など、情報満載!