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地盤情報コンダクター 大串 豊 地盤ってなあに?地盤沈下・不同沈下について

1 地盤ってなに?

住宅建築の計画を進めていくと、地盤という言葉をよく耳にしませんか。建設会社から建設地の地盤が弱いと補強工事が必要になるので、地盤調査を行いましょう。とか、この建設地は地盤が固いようなのでよかったですね!など、様々な場面で地盤という言葉を聞くことが多いと思います。そもそも地盤とはなんでしょうか。土地とは違うのでしょうか。地盤とは建築の世界では一般的に構造物が建築された、もしくは建築される予定の土地のことを言います。構造物と常に一緒に扱われる建築・土木工学的な専門用語が地盤であり、何も建てていない更地のままであればそこは土地という表現になります。土地に建物を建てる場合に初めて地盤という言葉が使われ、軟弱地盤という表現が出てくるのです。

地盤は建物とセットで考えられるものであると言えますので、建築計画を進めていくと地盤という言葉をよく聞くことになるのですね。なお、建物は基礎という部材を介して地盤と接するように建築されます。その際、基礎の接地面では建物と地盤が力くらべをしています。この力くらべが上手くいくように建物荷重に負けない丈夫な地盤なのか、丈夫な地盤でなければ何か対策が必要なのか、ということを見分けるのが非常に重要となるのです。

建物と地盤は力くらべで分かる
イラスト:建物と地盤は力くらべで分かる地盤の強さは家づくりに重要

2 地盤沈下・不同沈下の発生する原因

なぜ地盤沈下・不同沈下が発生するのでしょうか。そのメカニズムを理解するには、まず構成している要素を知る必要があります。

地盤は土粒子(固体)と水分(液体)と空気(気体)の三要素からできており、固体でも液体でもない半固体の物質です。固体分である土粒子だけがぎゅっと詰まっていれば岩石となり、水分が多ければ決まった形をなさないヘドロとなります。ヘドロの状態=水分が多く含まれる場合は、建物が載ることで地中の水分が絞りだされ、周辺に少しずつ追い出される現象が生じます。それまで水分が多かった地盤から水分が抜けると、排水された水分量に相当する体積の収縮が起こりますが、このことを圧密といいます。また圧密が発生すると地盤は下方にむかって沈降しますが、このように圧密によって地盤が沈下することを圧密沈下といいます。圧密によって地盤が沈下することが地盤沈下・不同沈下のメカニズムです。

地盤沈下、不同沈下メカニズム
地盤・不同沈下の基礎知識:体積の収縮

地盤沈下・不同沈下のメカニズムは白菜の漬物を作る過程とよく似ています。白菜の漬物を作るときには、白菜の上に漬物石を置いて白菜の余分な水分を強制的に出しますよね。白菜に含まれている水分の体積が減ることによって、上に置いている漬物石が当初より下がってきます。この現象において白菜を地盤、漬物石を建物とすれば地盤沈下・不同沈下のメカニズムがイメージしやすくなるかと思います。

3 不同沈下が与えるダメージ

建物の沈下には大きく分けて2種類あるのはご存じでしょうか。

均等沈下

建物が水平なまま沈んでいく沈下のことを均等沈下といいます。均等沈下は、建物への影響をあまり意識しなくてもいいです。

不同沈下

建物が斜めに傾いていく沈下を不同沈下といいます。不同沈下の傾斜の形状には、全体的に傾斜する一体傾斜と部分的に傾斜する「変形傾斜」に大別され、変形傾斜にはV字型・への字型・ジグザグ型があります。不同沈下は建物の基礎が水平を保持できなくなりますので、荷重の流れがきれいに分散せずに偏りが出て建物に対して大きな支障をもたらしますので、注意が必要です。一部分の部材だけに荷重が伝達され、本来分担するはずだった限度以上の過度な荷重が建物の構造体である梁や柱にかかれば、その部材には圧縮や引っ張りが働いてゆがみや変形が生じます。一通常主要な構造材である梁や柱は正方形や長方形を構成するように互いを直交して緊結しますが、不同沈下によってその部分が変形するので不整形な四辺形となり、その構造材部分に取り付けてある壁や開口などの部材までもが連鎖してゆがんでしますのです。

建物に不同沈下が発生していると建具の建付不良や床の不陸(床がまっすぐでないこと)の現象が多くみられることになりますので、こちらに関しては専門家に調べてもらう必要があるでしょう。

不同沈下
イラスト:不同沈下は建物に対して大きな支障をもたらします。注意が必要

4 不同沈下が発見される場所について

不同沈下によって最初に影響を受ける建物部位の場所は、もちろん地盤に接している部分です。不同沈下が進行していくと、土間コンクリート(犬走り)にクラック(ひび割れ)が入り始め、次に建物の基礎にもクラックが生じてきます。ここで気を付けなければいけないのが、「基礎にクラックが発生していたら、建物は必ず 不同沈下しているのか」という点です。基礎のコンクリート表面には髪の毛ほどの幅(0.3㎜以下)で深さがあまりないクラックが発生する場合があります。このクラックを「ヘアークラック」と呼びますが、これはコンクリートの乾燥・収縮や膨張などによって発生しているものですので、基礎の構造には影響しておらず、基礎の中にある鉄筋をサビさせてしまう等の影響を及ぼすことも考えにくいので、補修の必要はないとされています。(もしくはモルタルで隙間を埋める補修で問題ないとされています。)ヘアークラックは不同沈下が原因で発生しているものではありませんので、基礎にクラックが発生していたら、ヘアークラックなのか、それとも不同沈下が原因で発生している構造クラックなのかを判断する必要があります。さらに不同沈下が進行していくと、玄関ポーチ・テラスなどと基礎との間にすき間が生じたり、上部構造部分に不具合が生じてきたりします。上部構造部分の不具合事象の例としては壁紙にしわがよる・壁や床のタイルに亀裂が入る・サッシやドアの開閉に支障が出る・床に置いたゴルフボールが一方方向に転がっていく等の事象が発生した場合は、かなり不同沈下が進行していると判断しなければなりません。

木造建築物の不動沈下障害と変形地
基礎知識:木造建築物の不動沈下障害と変形地

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大串 豊(株式会社サードチェックアイ)
住宅地盤に関する専門情報を公開中「住宅じばん事典」もご覧ください。

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地盤情報コンダクター 大串 豊地盤情報コンダクター 大串 豊

地盤情報コンダクター 
大串 豊

株式会社サードチェックアイ(地盤情報サイト「住宅じばん事典」運営)
 大学卒業後、ハウスメーカーで住宅営業に従事した際、建築では建築地の「地盤」が大事なことを知る。その後商社系保険ブローカーで戸建住宅に関する保証制度の構築に約10年間携わる中で、地盤調査・補強工事会社の業務ミス等により住宅が不同沈下した場合の修復費用を補償する「地盤保険」の開発・運営に従事する。
 現在、住宅地盤に関する専門情報を一般消費者に知ってもらうべく、情報サイト「住宅じばん事典」を企画・運営している。