住宅関連記事・ノウハウ
2025年11月13日(木)
土を見る
はじめに
地盤調査について、皆様はどのようなイメージをお持ちでしょうか?概ね、ビルのような大きな建物で杭を打つためにボーリング調査をして固い層が出る深度を調べる
といった感じでしょうか。
戸建て住宅の場合はどうでしょう?もちろん、ボーリング調査は貫通力があり、深い深度まで土を採れるため、様々なことが分かるオールマイティな調査です。しかし、大掛かりな為に高額で、1箇所行うだけで数10万円の費用が掛かります。そこで、簡便で安価な、比較的重さの軽い戸建て住宅(小規模建築物)に向いている、スウェーデン式サウンディング試験があります。(以下SWS試験と呼びます)ボーリング調査と比較すると固い層は貫入できず、土の採取はできませんが、小規模建築物であれば、地盤が建物の重さに対して強いか弱いかの判断は十分にできます。また、数万円の費用で一般的には建物の四隅と中央の計5箇所を調査します。ここが重要ですが、これは配置内の地盤のバランスを見ることが出来るということなのです。

地盤が原因で建物が傾く(不同沈下)とき、盛土地盤や埋戻し地盤、傾斜地盤などでバランスの悪さに起因する事例が多いと言われています。強さに加え、バランスの良し悪しも検討できる、木造建築物向けのSWS試験を行うことが望まれます。
地盤調査の概要
- ・大規模建築物ではボーリング調査が一般的
- ・戸建て住宅にはSWS試験が適している
- ・SWS試験は安価で地盤のバランスを把握できる
不同沈下のリスク
- ・盛土や埋戻し地盤は不同沈下のリスクが高い
- ・地盤の強さとバランスの両方が重要
- ・木造建築物にはSWS試験が推奨される
土の採取ができるメリット
建築基準法施行令93条で、地盤の許容応力度(地盤の強さ)は国土交通大臣が定める方法によって地盤調査を行い、その結果に基づくこととされていますが、ただし、次の表に掲げる地盤の許容応力度
については、地盤の種類に応じて、次の表の数値によることができる」となっています(表-1参照)。目視で土の種類が判別できれば、表の通りの地盤の強さがある、と判定できるということです。

これによると、ローム層の地盤の強さは50kN/m2となっています。一般的な小規模建築物(木造3階建てまで)の接地圧が20kN/m2~30kN/m2であることを考えると、もう少し重い建物の確認に対応できることになります。もう少し重い建物というと、例えば、基礎幅の狭い布基礎、鉄筋コンクリートと木造の混構造、地下室、重量鉄骨造などがあります。ローム層は火山灰質土と呼ばれ、火山灰が堆積し、数万年以上の年月をかけて圧縮されたものですが、粒子が比較的細かい割に粒子間の間隙が大きく、含水比の高い土です。そのため、SWS試験のスクリューポイントのように尖ったものの集中的な荷重には弱く、30kN/m2程度の数値になることが多いですが、実際は土粒子の結合力が強く、面的な荷重には強いため、土を採取してローム層であることを確認できると、地盤の強さは50kN/m2まで引き上げられるのです。
でも、ボーリング試験は費用が高い。もう少し安価なものがあれば…というところですが…。実は、土を採取する試験にも安価で簡便なものがあるのです。
地盤の許容応力度
- ・建築基準法施行令で地盤調査が義務付けられている
- ・目視で土の種類が判別できれば許容応力度を判断可能
- ・ローム層は50kN/m2の許容応力度を持つ
ローム層の特徴
- ・火山灰が堆積した土
- ・粒子が細かいが間隙が大きい
- ・面的な荷重には強い
新築住宅の場合
簡便なため貫入できる深度や地層に条件があり、不攪乱採取はできませんが、ローム層や腐植土などの土質確認の他、条件によっては簡易的な液状化予測のための試料採取にも使用できます。また、ボーリング調査が数10万円かかるのに対して、今回紹介する採取方法はどれも数万円で行えます。
| 方法 | 特徴 | 制限 |
|---|---|---|
| ハンドオーガーボーリング | ・人力で土を採取 ・深度2~3m程度まで | ・固い地層や地下水位以深は採取不可 |
| ドリルサンプラー | ・SWS試験機で回転貫入 ・連続的な土質確認が可能 | ・採取量は少ない |
| 土壌すくい | ・SWS試験孔を利用 ・ピンポイントで試料採取が可能 | ・礫混じりや孔壁が崩壊する場合は採取不可 |
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地盤品質判定士 千葉由美子(ジオテック株式会社)
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