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2024年8月2日(金)
夏は暑い!が“涼しさ”の風情もある?
いつになく暑苦しい梅雨が明け、夏らしさが?と思えば・・・今度は熱中症アラート発令の灼熱地獄の酷暑!例年であれば夏は暑いが、涼しさの涼味もあると夏の風情をお話ししたいところですが・・・
近年は温暖化のせいで世界的にも異常な暑さの夏になっているのです。これは世界の指導者が総意一致し温暖化低減策をしなければならいところですが、「これは自然現象!カーボンのせいではない!」などと、まるで自国の産業従事者を鼓舞するような大統領も生まれようとしているのです。
今、一刻を争う地球規模の危機、国レベルの争いや分断など筆者には幼稚な思考としか思えないのですが・・・。
【1】時代が変わろうとわが国は「傘の家」
住まいの設計あたって常に意識するのは「徒然草」です。「住まいは夏を旨とすべし・・・」がわが国の風土と世相のすべてを言い表しているからです。そもそも卜部兼好こと吉田兼好の生き様や世相の見方に共感するのです。
住まいの設計を長年家業としているとどうしても世相が染みてくるのです。家族や経済、暮らしぶりもよく分かります。こうしてみると最近の住まいの周辺は内外ともに最悪の時世ではないかと思えてしかたないです。“老い”を感じ始める年齢層も、その先の老いの長さと現実の不景気感と医療費、年金、介護保険料負担増など、次世代の若者たちまでも巻き込んで意気消沈しているように思えるのです。
今日の繁栄をつくってきたはずの世代もある程度の覚悟はできて貯えてきたものの、まさかの現実は長寿で老朽化する住まいを耐震補強するにも資材の高騰や人材不足のために我慢を強いられ、もはや諦めに近い生活を余儀なくされているのです。それが1千万戸に迫る空き家の数ともなっているのです。
【2】「傘の家」が「箱の家」となった今・・・?
肝心の住まいも徒然草のように「夏を旨」とは言え、これほどの異常気象となると絵空事のように思えるかもしれません。そこで「箱の家」にすれば冬は機密の家となり暖房もよく効きます。しかしいったんそのように造ると夏はそのままエアコンに頼るしかなくなってしまいます。
こうして「暑いが故の涼しげがあり、涼味が味わえる」は無くなってしまい「衣食住」のすべても味気ないものになっていくのです。しかし、不思議なことに私たちの日常の生活や行事はあい変わらず春夏秋冬のはっきりした四季の中の暮らしが続くのです。それが文化です。
「衣」の装いも「食」の豊かさも、「住」の設えも、さらにアニメさえも、まるでDNAのように日本の古きカタチであり、夏の暑さと湿気対策の上にすべての生活やドラマが成り立っているように思えるのです。それこそが世界中から来るインバウンドの彼らの驚くところであり魅力なのでしょう。
しかし現実の住まいは次々とコンクリートや鉄の集合住宅となり、一戸建ても「箱の家」となっているのです。しかし、なぜか私たちは頑なに“裸足の暮らし”なのです。
【3】ともあれ暑い!「涼味」を味わいましょう
実は今、夏も冬も扇風機や換気扇が見直されています。室内の換気のためもあるのですが、エアコンの冷気や熱風をうまく送り、拡散させることにも使われるのです。外気も採り入れ風が入ってくる窓のところに扇風機を置き、風を天井や壁に効果的にぶつけ、コロナ禍では排気用にもしたのです。
こうして風は部屋中を回り巡るのです。暑い日も陽が落ちたら庭や道路に水を撒き、窓を少し開けて寝れば涼しくなるのです、これが「蒸発潜熱」の知恵です。寝室が二階にあればやや安心ですが、網戸の外側に雨戸用シャッターをつけると、スラット(格子板)に5ミリほどの隙間ができ。この隙間からやや冷えた風が入りこの「涼味」を味わえるのです。
最近は窓用半開き固定のロックも市販されてもいて防犯上も安心です。こうしてクーラーとは一味違う気持ちのよい風は、どう吹くのか。わが家でちょっと探してみるのはどうでしょう。
あの汗にまみれて登った山頂で、四方の山々を眺めながら吹かれる風は最高です。空気がおいしいとはこのことです。日光を遮る森の樹木の、屋根だけの東屋を吹き抜ける風。これもよい。
現代の高気密、高断熱の現代家屋でも風は換気扇がつくってくれます。換気扇もたいへんにすぐれた働きものですが、山頂の風ようにはいきません。緑陰の風のようにも、東屋の風のようにも、伝統的な日本の家屋のようにもいかないかも知れませんが。改めてあの夏を思い出してみてはいかがでしょう。
次回は湿気対策です。
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