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災害は忘れたころに 減災は想像力と発想力から!
この夏は多分全国の人々が温暖化による異常気象の本当の恐怖を抱いておられることでしょう。しかもこれがこの先何年も続き、危険度は増すことも考えられます。いきなり来る洪水や竜巻などの突風、さらに巨大地震と改めて家の在り方は廉価で的確な補強も必要となるのです。
1 創造的減災はあり得る災禍の想像と発想
<写真:あの津波から生き残った家(撮影:天野 彰)>
あの東日本の津波の災禍から、一気に壊され浸水から免れ何とか助かった建物や、津波をやり過ごし、絶えて助かった家 破壊から免れ、人々を救った家も多いです。
震災遺構として今も観てその時の恐怖を実感することができ、それらを検証するとある共通した事柄が多いことも分かってきます。
<写真:多くの人を救った震災遺構(撮影:天野 彰)>
まずは構造が強靭であることは言うまでもありませんが、無防備に玄関周りや窓辺を開放し、基礎工事に杭を打たなかった家との格差は大きいものでした。そして家の内外の避難ルートのプランニングの在りようでも多くの人命を救った例も多いのです。
何もすべての家が高台移転をし、巨大な防波堤で街を囲むことではなく、ちょっとの強靭な塀や石垣、衝立で衝撃に耐え、水や土砂、強風や飛来物をかわすこともできるのです。まさしく本コラムでもたびたび紹介される生き残るための“セルフディフェンス・ハウス”などの「外殻構造」の発想です。
<イラスト:セルフ・ディフェンス「外殻構造」(図:天野 彰)>
2 あり得ない災禍到来のイメージを心に抱く
防災の日などの月間中にいくつかの講演やTV出演などもしましたが、「災害に強い」「地震に負けない」などのタイトルの講演や番組では人々はあまり関心を持たれず寂しいものでした。
TV番組でも他のバラエティやニュースなどとの組み合わせでなければ視聴率も上がらず “受けない”などと言う。
災害直後のあの余りの惨劇をまるでまるでパニック映画ごとく大型テレビで目の当たりにすると、「あれほどの災害ではなすすべもない」などと諦めてしまっているのかも知れません。このことは実際に講演などで対面してお話をするとよく分かります。災害はいまだに“対岸の火事”なのです。
しかし、2019年にブレイクした、あの新海誠監督の長編アニメ「君の名は」は若い人たちに想像もつかない思わぬ災害の到来のイメージを今と未来の演出で、心の奥底に大きく抱いたはずです。
筆者の場合は1998年のブルース・ウイルス主演のSFドラマ「アルマゲドン」の前向きで感動的シーンが今も心の奥底に残っているのです。こうしたイメージを誰もが心に抱き、想像しそして自己の行動や回避の発想を持つことこそが減災と思いやりを育むものだと信じているのです。
次回はこうした発想を徐々に、少しずつ強化工夫することの意義をお話ししたいと思います。お楽しみに。
震災遺構高野会館内部を見る天野 彰(M氏撮影)
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