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2025年1月25日(土)
「収納」は収めて納めるより、出す「収出」
家づくりでの関心事はやはり収納です。しかし収納は難しいのです。人生が長くなればなるほど物が増え、所狭しと、物だらけとなります。毎日が忙しく、特に歳をとると物を収納にしまい込むことが苦手になるのです。いくら収納を多く設けてもいちいち所定の場所には入れられず物に溢れてしまいます。
苦手な収納は実は伝統美学?!
わが国の伝統的生活文化は「設え」と「片付け」です。「設え」は場と季節と歴史を創り、片づけは“仕舞う”ことです。なんと“仕分けて舞う”は日本の美とも言えます。
それこそが収めて納める“収納”の作法なのです。そのため家の中は常にすっきりとし優雅となります。その代わりに納めるのは家の外の納戸や蔵にあって季節や行事に合わせて設えるのです。
しかし今日の毎日が忙しい現代の生活にはそのゆとりと覚悟がありません。やはり日常の生活スペースにはとりあえずの収納が欲しいのです。
しかもそれは時間を取ってさらに納戸などに片づけるなどという機会も時間もなく、第一余分なスペースもありません。とは言え心の中で誰もがあの“仕舞う”美を求めるのです。それが現代のわが国の狭い住まいでは出来ないのです。そのためにストレスが起こり、かえって家の中がゴミの山となりさらに苦手となるのです。
現代の収納は「収出」の考え
そこで現代の収納を改めて見ますと、「収納」とは文字通り「収めて」「納める」ものです。だからと言って 収納は多くあるいは大きくあれば良いと言うものではないのです。
いくら多く「納めて」もただの 「納」で、それは単なる「物入れ」か「倉庫」です。「収納」はしまいやすいところに「収め」保管し、そしてまた欲しいときにすぐ出せる。すなわち「収“出”」の考えが望ましいのです。「収納」は入れることよりも出すことが大切です。
その使いやすい収納は、生活行動に合わせうまく配置されているかが重要です。しかしいくら大きな収納をつくっても入れたら簡単に出せなくなってしまうのです。その最たる例が押入れで、物を次々“押し”込んでしまうのです。
押入れはただの「納」!リフォームで改造
生活空間の多くの物を大容量で押し込むことはできますが、高いところやその奥は入れたらどこにあるか分かりません。それを欲しいときにすぐに物が出て来る多機能収納にリフォームするのです。それこそ天井までの浅く面の広い収納にするのです。
まずは使いにくい中棚を取り外し、その奥に30cmほどの奥行の棚を設け、その前にハンガーパイプを渡してクロゼットのようにするのです。奥の棚には帽子やバッグ・履物などの小物を置き、前に掛けた洋服を掻き分けて使います。
その下は奥行きのままの深い引き出しにし、中を前後に仕切り、夏冬の収納に分けて“仕舞う”のです。その引き出しを季節に合わせ、“舞う♬が如く”前後を逆にするのです。
この押し入れの改造は賃貸のアパートでも可能です。中段はそのままに、古い本棚などを切って奥に押し込み、その前に突っ張り棒などで、ハンガーパイプを付け下は押入れの深さの引き出し式のプラケースを置くと、大容量の使いやすいクロゼットになるのです。
次回は老いても使いやすい「面収納」についてお話します。
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