住宅関連記事・ノウハウ
建物も暮らしも湿気が怖い?湿気大国日本?
【1】やはり湿気との戦いは続きます
異常に続くこの連日の灼熱地獄の中、今まさにパリではオリンピック真っ最中で熱戦が続いているのです。さぞかし暑かろうと思うのですが・・・、意外にも陽ざしはわが国同様の強さに係わらずさほど暑そうではないと言うのです。まさしくこれこそが大陸性の乾燥した空気のせいなのです。近年わが国では暑さ指数なる言葉が定着してきましたがその数値こそまさしく気温と“湿気”です。暑いときも寒いときも常に湿気にかかわり、そしてこの夏や梅雨のときこそ、わが国の住まいはその本領を発揮してきたのです。
湿度の高い日本では、風はご馳走で、吹き抜ける風を楽しむことです。これこそが涼味なのですが・・・、最近の暑さはちょっと違います。
除湿機や吸湿パックも有効ですが、まずはやはり通気です。家の隅々を見ていくと、床下であれ、納戸であれ、押し入れであれ、おなじことで湿気との戦いは通気のある無しなのです。
納戸なら二方向、二か所に窓か扉をつけ、天気のよい日には、そこを開けっ放しにして風を通す。湿気やすい押し入れに水分を含んだフトンを押し込めば、さらに湿気るのです。押し入れは上段であれ、下の段であれ、必ずスノコ板を敷き空気層をつくり、さらに奥の壁との間にも空気層をつくるのです。そして天気のよい日には、ふすまを少し開けておいて、風を通すのです。
こうして個室であれ、風呂であれ、トイレであれ、キッチンであれ、わが国の住まいは対角に窓や戸を設け自然通気を求めることです。こうして家そのものを長持ちさせて来たのです。風通しと通気は家にとってもごちそうなのです。
時代が変われば工法も変わって来ますが、湿気のわが国は相変わらず「傘の家」でずっとこの先も変わらないのです。
【2】エアコンや除湿器、扇風機応用で「涼味」を味わう
寝室の足の方向に窓をつけ自然の風の通りを良くすると、ちょっと涼しいときは快適です。年をとると冷房に対して敏感となり。クーラーのよく効いた部屋に長く居ると、肩が冷えて肩こりの症状が起こり、しまいには足まで震えてくることもあります。
それを防ぐために、ひざ掛けがそなえてありましたが、コロナ以降それもなくなり、各個で対応を余儀なくされています。通勤電車には弱冷房車もありますが、やはり乾燥によって喉を痛めたり、皮膚がかさかさになったり、気管支炎や喘息にもなりやすく、これが、冷暖房をめぐる女性の美容や高齢者の健康上のトラブルです。
そこでプランニングで自然の通風を考え、暑ければ窓を開けて通気をし、夏でなくても空気をとり入れるのです。梅雨どきの蒸し蒸ししたときでも、ひんやりした雨の空気を入れたくなるものです。
その上でこうした風の流れをつくるエアコンの位置や換気扇の位置を考えるのです。これは現代の建売住宅やマンションでも同じことです。
【3】生活優先のエアコン利用と大きく開く窓
最近は高気密高断熱と、暖房やクーラーをよく効かせるため、窓や開口を小さくし、開かなくしたりする住まいが多くなっているのです。わが国の住みやすい家は、そういう家ではないはずです。こんな温暖化の中でも、諸外国の家の形はその本質はさほど変わっていないのです。もともと湿気の国でありながら、突如として「傘の家」がその本質とは違う「壁の家」となり、さらに近代化によって車のような工業製品となり、わが国の生活文化?として浸透してしまったようです。
しかし壁や開口部の高気密は守りながらも、その窓をどこにつけるか、どう風が入り、どう抜けていくか、風の通り道を、設計上考えることが大切です。そして寝室のどこで寝るか、リビングのどこに座るのか、自分たちの居場所を想定してプランを考え、エアコンの位置を決めるのです。
最近の暑さではちょっと贅沢ですが、クーラーをつけながら窓を少し開けておくことも大切なポイントです。クーラーは自分からいちばん遠いところにつけ、風が肩や顔に当たらないようにし、扇風機やサーキュレーターの併用も考えます。これは暖房も同じで、風を壁や天井にぶつけ直接体に当たらないように工夫するのです。
そしてちょっとでも涼しく、湿度の少ない時はすべての開口部を開け、押し入れや納戸にも扇風機やサーキュレーターで風を押し込むのです。まさにこの時こそが現代の異常気象の夏の「涼味」なのかも知れませんね。
次回は都市の暑い密集地にて「目元涼しい京の粋な町家」のお話です。
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