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住宅関連記事・ノウハウ

建築家 天野 彰 日本の家はなぜ継承されない?

壊すなら奇抜な発想で回転し、いざとなると地下に潜る家!

都市の家と農家の共通点

都市に建つ家々を改めて観てみますと、古来はもとより現代のモダンな家にしても、なんと発想はすべて地方に建つ農家と同じであることに気付きます。都市に集中した大名や商家さらには町人ともすべて邸宅の発想であることが分かります。考えようによっては自然住宅の考えでとても良いことなのですが、ひとたび火災が起こると大変なことになります。そんなことから何度も火災に見舞われた京都では、あの町家群の発想となったのです。それこそタウンハウスで、かつ植栽とも言う中庭に面した自然住宅なのです。街道上の大店も隣家との間には隔壁を立て、防火壁を突き出す卯建の文化まで生みだしたのです。

セルフディフェンスハウスの進化系

都市は人口集中で防火耐火建築の高層のマンション群の時代ともなったが、戸建の住まいは人気で相変わらず無防備な自然住宅のままです。そこで私は、外壁を耐火構造の擁壁にしてその内側は木造の中庭式自然住宅の現代町家そう、あのセルフディフェンス・ハウスをつくって来たのですが今、北も南も無く家相も気にしない。外観も無いすなわち日差しや風向き対してくるくると回り、さらに地下に沈むそんな家をイメージしているのです。台風が来たり、火災が発生したら地下に造られた強靭なポッドに沈み込む。家はあっても建蔽率がない家、容積だけの家!なんと沈めばすべて庭となり広く、広い家ともなる。沈んだときに水が心配ですが、周りを丘のようにこんもりと高くすれば大丈夫。地下にある+アルファの地下室にも連結し家財や重い本などを収納する。地上に現れたときは回転して日照は家中自在に得られ、納戸や倉庫などを天気の良い日に南に向ければ虫干しにもなる。広い庭で屋外パーティーも、キャンプもでき、ゴルフのバッティングも可能となる。私の人生のような、浮き沈みカルーセル回転・ハウスなのです。

あらゆる形の家々
あらゆる形の家々
「いざとなったら沈み込むシェルターハウス」(画:天野彰)
「いざとなったら沈み込むシェルターハウス」(画:天野彰)
敷地に穴だけが見える(中庭)
敷地に穴だけが見える(中庭)
浮き沈みハウスの地下
写真:浮き沈みハウスの地下(写真:天野 彰)
浮き沈み住宅 地上
写真:浮き沈み住宅 地上(写真:天野 彰)

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変わってしまった住まい

住まいは文化であり、その国の気候風土から長年にわたって形成された伝統でもあるのです。その住まいがこの半世紀ほどで構造からスタイルまで全く変わってしまったのです。反面日本人の住まい方はさほど変わっていないはずなのですが、肝心の気候風土と伝統的な文化が徐々に失われ、今や国籍不明のベニヤ板の構造と、全天候の窯業系のサイディングボードの外壁が主流の家となっていることです。確かに都市の住まいは、耐火耐震さらに高耐候性能はとてもよいことですが、残念なことはわが国の高湿度に対する蒸れや自然通気が損なわれ、構造の中から腐り、反面室内は高気密となり乾燥し酸欠を起こすなど、思わぬ弊害も起こっているのです。外観やスタイルに個性を失い、四季の移ろいにも面白みを失い、挙句の果ては住の文化を失い次世代に和の暮らし文化の継承すらできないのです。これらはすべて住む側よりも建てる側の発想で、さらに現場の省力化と工業生産化が発想の主流となり、伝統技術や技術者の養成を失い、使う側の環境重視の姿勢とならなかったのです。

住まいの診療所

今ここで急に伝統木造の構造にして外観を漆喰塗りの土壁にしょうとは思わないのですが、せめて古いわが国の良き居住スタイルを守り、後の世代に継承して行きたいと思うのです。40年ほど前、第一次マンションブームで出来たマンションの一つに住むことになってその劣悪さに驚き、それを徹底リフォーム(まだリフォームなどの言葉がなく「増改築」)して住んだことがきっかけで、仲間の建築家を集め『日本住改善委員会』(写真:冊子表紙と抜粋記事)なる大仰な会を建ち上げ、マンションに住む人々にその居住性や不満などを直接アンケート調査し、その実態を生々しく知り、日本ハウジング・クリニック住まいの居住の診療所を立ち上げたのです。

日本住改善委員会パンフ(1974~)と内容抜粋×3カット
日本住改善委員会パンフ(1974~)と内容抜粋×3カット

狭楽しく住む

耐震強化はもとより環境など居住性を重視し、住まい手の側の思想の家づくりです。まだシックハウスはもとより阪神大震災も起こる前のことです。蛇足ながら、都市に住む以上狭いことに変わりがない。狭苦しさの“苦”を取り去りさらに楽しく住もう!狭“楽しく”住む法(新声社)を出版しました。

狭楽しく住む法(新声社)の表紙
狭楽しく住む法(新声社)表紙

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住まいの現状

今の家をこの先どうしたらよいか。思い切って壊してこじんまりした終の棲家をつくるか?あるいは、一部を壊して流行りの減築リフォームにするかはたまた全体を間取りから大幅リフォームしてその一部を貸して老い暮らしの糧にでもするか?この答えを出すのはなかなか難しいものです。まずその相談をどこにすればよいか?投げ込みのチラシも何となく不安で、近所の工務店やリフォームの看板を掲げた店に声を掛ければ、近所だけに安心のようだが、反面断ることも難しそう。何よりも家の内情を知られることも気恥ずかしい、などなど。そこでネットや展示場などで安心そうな窓口に相談をすると、今度は妙に丁寧に対応され、なにか割高になりそうな話しとなり、挙句の果ては家にまで追っ掛けセールスされて迷惑することにもなりかねない。なるほど考えてみれば、肝心の自分たちが何かを決めている訳でもなく、どうしたい訳でもない。ましてそんな予算を用意している訳でもない。ほとんどの人が地震に対して大丈夫かこの先のわが暮らしにどんな暮らしや家が良いかを知りたいだけなのです。

住まいの選択肢

よほどの老朽家屋でない限りまあまあの家となっておりとり合えず、今なんとか住めてこのまま何事もなければそれでいいとも思っているのです。ひと頃インテリアが流行ってシステムキッチンに憧れたりもした時代もありましたが、すでに子どもたちは出て行って、夫も同僚たちを連れて来るような世代でもない。その子世代の若い人たちはと言うと、賃貸から何とか分譲のマンションか、できれば戸建ての持ち家へとの夢もありそうなのだが、それもかつてのように意欲的でもないのです。こうして今、全国の各都市の都心部にあるかつて憧れの住宅地に何百万戸の空き家が増え続け、その数以上もの高齢世帯が空き家予備軍となっているのです。それらをドーナッツ状に取り囲むかのように働く世帯が張り付き、相変わらず過酷な通勤をしているのです。これはわが家どころか大きな都市問題でもあり、国家的損失の社会問題でもあるのです。私たちの住まいは今、自らの老後不安とともに都市の中での存在を、もう一度根底から考える時が来ているのです。身体と同様、住まいの健康診断さらには予防診断が必要となっているのです。

10のチェックポイント

住まいを検討するときに確認したい10の視点。安全性・快適性・将来性を総合的にチェックしましょう。

No.チェック項目ポイント
1地震・台風・津波などの大災害に強そうか安全・安心な構造と設計
2夫婦・家族の関係がよいか間取りやプランニングの工夫
3主婦が健康で若返りできそうか疲れない家事動線と快適な生活動線
4いざとなったら子夫婦・親夫婦と住めそうか同居や賃貸対応が可能な設計
5家族それぞれの居心地がよいか家族の居場所づくりと空間バランス
6寿命が延びそうか化学物質の少ない健康的な住環境
7最後までわが身を支えてくれそうか自助・自立を支える設備やバリアフリー
8風の通りがよく家相も気にならないか心理的・生理的な安心感のある設計
9夫婦には広すぎないか減築・省エネルギーを考えた設計
10メンテナンスが行き届くか長期的に家を診てくれる主治医の存在

10項目を参考に、家づくりやリフォームの際に「安心・快適・長寿命」のバランスを意識してチェックしてみましょう。

以上10のチェックポイントです。5ポイントを満点として最高50点。35ポイント以上であれば身にも心にも安全で安心な家です。長い人生の自分と環境の変化を考え、住まいは構造や設備はもとより家族が互いに住みやすいかこの先いくつになっても“居心地がいいか老いて安心ができるかが重要です。

わが家の診断箇所(家)
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安全と健康の家
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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
 一級建築士事務所アトリエ4A ホームページ

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