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建築家 天野 彰 治水・建築構造にわが国唯一の構造的手法

1 巨大建築も従自然、千年の「柔」の思想!

相手の巨大な力を利用して受け流す。そればかりか敢えてその力を利用して相手にダメージを与える柔の道、日本古来の柔術なのですが、治水・建築構造にわが国唯一の構造的手法を編み出している。地震や強風さらに耐久性に強い伝統「木組み」木造の匠の技なのです。

その唯一のものに楔(くさび)の妙があるのです。あの尖った三角鋭角のようなくさびは互いの部材の隙間に差し込み、両者を固く繋ぎ留める働きや、反対にその隙間にくさびを叩き込み、大きな岩石などを割るためにも用いられるのです。その特性を生かしてまさしくわが国独自の柔の構造をつくったのです。鋭角のくさびは木組みの隙間に差し込み、叩いて徐々に締め付けるのですが、驚くべきはなんと木組みの部材にさらなる荷重が掛った時は、ぎしぎしと言う応力に、締め付けたくさびが徐々に緩み始め、くさび自身が破損したり、抜け落ちて互いの部材を傷つけることなく災禍が過ぎ去るのを待つのです。その最たるものが神社の入口に必ずある鳥居です。二本の丸太と笠木による単純な門ですが、肝心なのは両方の柱を繋ぐ貫です。貫の上の柱の左右に耳のように刺されたくさびです。これでしっかりとした門構えを造るのですが地震などの揺れに柔軟に対処し。その後また玄能(げんのう=金づち)などで閉め直せるのです。さらに巨大な揺れには、くさびが外れてバラバラに崩れるのです。これは部材に損傷がないため、またなにごともなかったかのように組み立てられるのです。

そんな方式で造られたのが、清水寺の舞台で有名な懸崖構造(写真)で、あらゆる巨大建築の寺社の柱梁の構造に使われ、揺れや経年変化の乾燥にさらにくさびを締め直すのです。

写真1(左):清水の舞台を支える柱・梁・貫・楔の懸崖構造(写真:天野 彰) 写真2(右):同じ清水寺の三重塔 (写真:天野 彰)左 清水の舞台を支える柱・梁・貫・楔の懸崖構造(写真:天野 彰)
右 同じ清水寺の三重塔 (写真:天野 彰)

この「柔」の構造は世界に席捲した超高層の柔構造に応用されていると言い、五重塔や三重塔の芯柱による天秤(てんびん)バランス構造なのです。まさしく四隅の柱で建物全体を支え、重層屋根の重みを芯柱がなんと、下に引きずるようにバランスし、ゆらゆらと柳腰のように揺れて、揺れを吸収してしまうのです。(写真:清水寺の三重塔の芯柱)この思想が堅い構造から高層ビルにおける柔構造や、現代の制震構造のヒントともなっているのです。千年の柔の精神と言えるのです。

同上 内部「芯柱」(撮影:天野 彰)
同上 内部「芯柱」(撮影:天野 彰)

蛇足ながら私自身はこれらの柔の精神から、揺れを避ける「免震」や、制する「制震」よりもっと、建物全部が揺れを吸ってしまう「吸震構造」を考えているのです。(写真)これについてはまたいずれの機会に。次回は「生きるためのリフォーム(6)―老いたわが身を支える家-」

2 まずはわが心を支える自助自立の思想!

住まいがいくら快適強靭化しても、わが身わが心の不安は隠せない。それこそ老いの対処と、その暮らしのセキュリティをこれからどうするかです。まず何よりも家で過ごす時間が長くなる老いの暮らしの生活です。肌や粘膜が過敏となり、いろいろな疾患の原因となります。そのうえで長年体現してきた好みや趣向の奥ゆかしさにも心身が敏感となります。あらためて自然素材の価値観やそれらによる空間校正そして醸し出される優しい空気との生理心理作用が重要となります。

自然素材で健康住宅

また伝統工芸に感じ入り伝統生活へのノスタルジアと人として真の生き方の成就。行く川の流れと、方丈庵にあこがれ。その暮らしも徒然がなるままにとなる。なるほどこれこそ心身に良い至福の生活かもしれない。今ある家をすべて木の住まいに変え、そればかりか方丈庵よろしく山小屋や民家の様相に変え、かつ構造補強を兼ねる(イラスト)などとして自然に帰る。

イラスト1:都会のマンションを『木造の家』に(画:天野 彰)

イラスト2:構造補強を兼ねた『山小屋』(画:天野 彰)

老いてなお「職」の生きがい。高齢者の労働復帰が望まれる。しかしわが家にて行える職も多い。簡単には余ったスペースを貸駐車場にしたり貸室にして下宿屋さんもできます。さらに積極的に、近所のお子さんのために私設の保育所や民宿もできるのです。これなら若い人との交流もできて毎日が愉しく生きられるのです。趣味や能力を生かして、塾や夫婦で喫茶店やアトリエを兼ねたブティックも行えるのです。

写真3:余ったスペースをブティックにしたSさんの家 (設計撮影:天野 彰)

こうしたわくわくした毎日こそこれからの徒然なるままの老いの暮らしなのです。気が付いたら、なんとわが家が“職場”になっていたのです。わが家を開放する豊かさ。これこそ今日本の重要な労働資源、人材育成そして発掘のチャンスなのかも知れないのです。

3 そしてわが身を支える自助自立の活きていく家!

建物の安全はもとより、それとともに老いるわが身のサポートが大切です。それこそ私が常々提唱している2S+3Fなのです。2つのSとはSelf-defenseセルフディフェンス自己防衛の「自助」とSelf-supportセルフサポート自己支援の「自立」です。地震などの災害に自ら積極的に対処し、老いる身体を自らで最期までサポートしようとする強い姿勢のことです。

そして3つのFとは老後の生活でつまづいたり転ばないBarrier-freeと身体に悪影響を与える化学物質や無駄なエネルギーを使わないChemical-free、さらに将来手を加えたり建て直さなくてもよいようなMaintenance-freeのフリーを心がけることが大切です。中でもトイレは身体が不自由となっても自身で快適トイレができることが何よりも重要で、老いて自己尊厳が最後の砦となるのです。思えば最後まで入院や介護者に頼ることなく頑張って生きた私の祖母の生きざまから、人として女として活きる姿勢を教えられたものです。この尊厳こそがこれからもっとITや科学技術によるべきものだと思うのです。どんなに安全で便利で快適な家でも、自らトイレ一つもできないような家では価値がありません。かと言って介護施設ですべてが解決するわけでもないのです。わが身に重大な障害がない限り、最後の最後までわが家で暮らせるように最大の工夫をするのです。祖母の実際の生活姿勢からイラストのように、風呂にはスノコを敷いて手すりを浴室の下方に付けて脱衣室のタオルケットの上で裸になり、そのまま這って行って洗い場で自らシャワーヘッドとブラシで身体を洗う。
 トイレはベッドからそのままベンチの上の便座まで腰をずらして行って用を足す。自ら生きていく姿勢に驚かされたものです。

イラスト1:自ら這って行って身体を洗う祖母の入浴に学ぶ(イメージ:天野 彰)

イラスト2:手をついて移動するベンチ式トイレ(画:天野 彰)

写真:ベッド(手前)から扉を引いてベンチ伝いに便座へ(扉を逆に開く)(設計撮影:天野 彰)

住まいとは、人が最期まで自立するために壁から支えの手が優しく出てくるように人を支えるものだ。と教わったのです。これこそ人の尊厳を守る真のユニバーサルデザインなのです。

3 ホームナーシングユニットのわが家の自立介護施設!?

最期まで家に居たい。これは誰もが願う人生末期の住まい願望なのです。ところが介護施設や老人ホームの幻想からか、あるいは介護制度の法整備のせいか?家にいれば「在宅」要介護度が上がれば「施設」と定まり、「在宅」は不安な一人暮らしとなるか家族の負担となり。たいまい払って介護施設に入ればこれまた労働力不足となってこれまた不安。頼みの特別養護施設はどこに行っても100人余の順番待ちと言う。命が続くか、番が来るかの気の遠くなるような現実なのです。双方が曖昧なままの老人対策なのです。科学技術が進みIT社会のわりにこの大問題を解決しないままでいるのです。確かに老後の生活は人様々で、家族状況更には経済状況によって大きく変わってくるものです。何よりも本人の自覚そのものによって大きく変わってきます。自身で老後準備をしていたかどうかに尽きると言えるのです。

すでに同居すれば安心の神話も老人ホームの安らぎも他力の頼りは当てにならない時代となり、若者のも労働力も不足の時代となっているのです。家を建てる時、リフォームをするときなぜこうした事態を予測できなかったのだろうかと思うことしだいなのです。

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
 一級建築士事務所アトリエ4A ホームページ

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