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2025年11月29日(土)
「木の住まい」が一番(5)木の家は基礎から再生(曳家)
はじめに
今残る古い家こそ良質な木の家で、大工や職人によって長年に渡り試行錯誤されながら工夫され建てられたものが多いのです。残念なことに、今多くの木の家が放置され朽ちようとしているのです。
実はこうした住まいを多く知ると、現代の鉄骨造にしてもラーメン構造にしてもこうした日本の軸組構造がベースとなり、研究熱心であろう欧米の建築家たちはそれまでの積層のアーチからわが国創始の木造の柱と梁の構造のフォームにかなり影響されていることに気付くのです。
寒くない家の構造
厳寒と外敵から身を守るためどうしても壁構造が中心の西欧の家も次第に太平な世となり、こうした窓が大きい外壁で、しかも間仕切りが自在な和の住まいに影響されて行き、ドイツのブルーノ・タウトらに「ユニバーサルプラン」と言わせたものです。
一方でアーチに始まった積層の大架構のドーム屋根の構造はもっと幅広大架構のトラス構造やさらに進化してスペースフレームさらにはフーラードームのような多面体の巨大なドームなどがつくられ、さらに橋梁からあのワイーヤーによる吊り橋となり、そのロングスパンのテンションの大屋根などが可能となるのです。
こうした和の文化をヒントに育ったであろう近代建築に気付き発想した偉大な建築家丹下健三が現れるのです。まるで清水の舞台のようなイメージのコンクリート造の香川県庁舎や広島の平和祈念館さらに鉄骨造の旧東京都庁舎と展開し、その一方で吊り橋に発想した東京オリンピックの代々木競技場、さらにスペースフレームロングスパンの大阪万国博のお祭り広場と日本の建築を世界的にしたのです。
おかげでロマネスクからアールデコと半ば彫刻化した石造スタイルは古典となるほどの建築となり。今やヨーロパを代表とする史跡の様なパリ、ロンドンの都市の周辺に近代都市が突如クリスタルリングのように取り囲むなどと言う奇妙な都市形態となっているのです。
しかしこうした都市の保存制御を可能とした市民のセンスに感銘を受けるとともに、わが国をはじめとした新興都市の東京や各新興国の都市のありようなどはまさに目を覆うようなものばかりです。しかしこの混沌とした都市にわが身を置く人々の心には歴史の重みから開放され、制御の必要のない自由な生活さらにはその混沌を快感として活きているような今の時世を憂える人もまた多く居ることになぜかホッとするのです。

写真1:元の本堂の位置右が新庫裏ここまで曳家(天野彰)
私が所属する300年ほど建つ木造の古い寺の建て替えの際、圧倒的多数の門徒が近代建築に反対し、同じ木造の建て替えを希望したのです。しかし新法により都市に木造の新築は不可能となり、基礎からの耐震の構造補強をするリフォームとなったのです。
もともと地盤の悪かった土地で数十メートルの杭を打つ必要があるため、まず庫裏(くり)を解体し、その位置まで寺の本堂をそのまま十数メートル移動したのです。敷地一杯の移動でわずか数十センチほどしか余裕のない曳家(ひきや)にまた、伝統的な匠の技と木造自体の強さに感動したものです。

写真2(左):「曳家」して杭を打ち新基礎の土台回り 写真3(右):「曳家」で戻し建ちを補正し耐震強化(天野彰)

写真4:完成後の本堂お墓が迫る(天野彰)
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