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2025年11月29日(土)
狭楽し収納法(4) 表と裏(ハレとケ)の伝統文化収納
はじめに
収納は神経質に片付けるよりも大雑把な物入がいい、とは前回のまさに“一時置き場”感覚のあの「ポケット収納」が重宝で心理的にも安らぐのかも知れないとお話しました。確かに引っ越しや買い物、帰りの際はまずは持ち込みの一時保管?場所であり、行き場不明の物や、季節毎の頂き物やさらに雑誌や新聞段ボールなどは回収日まで置くは生活の“隠しポケット”なのです。
季節で仕分けて出し入れする「隠しポケット」
実はわが国の伝統的な“仕舞う”の収納法もまさにハレとケの“隠しポケット”手法?とも言えるのです。
かつてわが国の家はもともと柱と屋根だけの壁のない家でした。それも床に坐る文化で、西欧のような椅子やソファー、さらにはチェストのような収納家具の文化ではなかったのです。やがて、そこそこ大きめの屋敷や商家の家の中には納戸や倉庫のような「塗り籠め(ぬりごめ)」ができるのです。ここだけは木舞壁(こまいかべ)で土を塗って固めた、まさしく「塗籠(ぬりごめ)」で、これが住まいの中で大切な物をしまう唯一の場所であり、また主人の寝床でもあったのです。
こうして寝室兼用の「納戸」(塗り籠め)」や耐火の「蔵」ができ、庶民の家にも部屋の中にも「押入れ」ができて、室内にタンスも持ち込まれ身近な収納家具となったのです。季節ごとや行事毎にこうした必要な物を丁寧に出し入れする所作を重んじた“仕舞う文化が”でき上がったのです。毎年季節の模様替えや行事ごとに必要な物を出して使い、そしてまたそれらを丁寧に仕舞うのです。
まさしく仕舞うは「仕」分けながら「舞う」文化で、なんと美しい言葉でしょう。蛇足ながら、私は「住まう」も住んで美しく「舞う」すなわち「住舞う」場だと解釈しているのです。だから住まいは“住舞”だと信じているのです。
外から持ち込まない収納「玄関クローゼット」
さて近年になり、やっと洋箪笥などが壁のない家の中に持ち込まれ、襖や障子の前に置かれて不自然で滑稽な情景となっているのです。近代になって西欧化が急激に進み、あの畳の上に絨毯を敷いて椅子やテーブルを置き革靴を履いていた将軍や主君たちの姿がわざとらしく滑稽に映るのもまさにこの本質的な文化の違和感と言えるのです。
そして今、住まいが壁の家となりクロゼットなどの造りつけの「収納」の時代となるのです。しかし今日でもハレとケの文化は残って、合理的な収納とはまったく違った“表と裏の棲み分け”を本能的に持っていて、こうした異常なまでの「シュウノ-!」「収納!」となるのかも知れません。
とは言え、屋敷の中に蔵や納戸もない3LDKの家の時代となって、いったい増え続けるものをどうするかなのですが、まずは、家の“玄関は物の関所”と考え、この玄関で物の侵入をすべて食い止めるのです。
とまあ大げさですが、まさしく「住まいの外と内の関所」をつくるのです。それこそ玄関でストップのあの広めの「玄関クローゼット」であり、買い物帰りの一時預かり、勝手口の「パントリー」やユーティリティと呼ばれる家事コーナーのスペースなのです。

シューズクロゼットと勝手クロゼット何でも棚 K様邸・N様邸 (設計:天野彰)
まずはこの玄関と勝手の二つのクロゼットを前回お話しのようにあえて大きく造り、窓や換気をも施した、ドア一つで中のすべてが見通せる巨大な棚をつくることです。
これこそが、合理的な現代の“ハレとケ”の仕舞う文化であり、世界に類のない下足と上履きに履き替える“表と裏”家の“ウチとソト”の文化の継承でもあるのです。
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