住宅関連記事・ノウハウ
親と住む子と住む(4)親の本音と子の本音?
○今回のポイント 1 中途半端な距離感は余計な気を使う可能性も
○今回のポイント 2 まずはじめに、親子・夫婦の異なる同居のメリットを知ること
非常事態宣言がこうも長く続くと親子互いが心配になりますが、だからと言って親の家に同居しては、とも思いますが、果たして同居がうまく出来そうもなく、自信が持てないようなら、あえて「二世帯住宅」などにして無理に住まない方がいいと思うのです。
スープの冷めない距離は住みやすいか?
またよく言う「スープの冷めない距離」など親の近所に住むと言うのはどうでしょう。なんと!「近くに住んでいながら、なんで顔を出さないのだろう?」とか、「何かあったのかな?」など気になり、かえって疑念が生じることもあると言うのです。中途半端に親の近くに離れて住むなど安易にしない方がいいのです。
日ごろ子育てや仕事に忙しい子世帯にはまったく気にならないことが、悠々自適でゆったり過ごす親側には子や孫を思い案ずる気持ちも高じてこんな疑念を生むのです。むしろ離れて住む方があきらめもつき、時折の電話などでコミュニケーションも取れると言うものです。
前回もお話したように互いが意識し合いながら親が同居の期待を持って「二世帯住宅」などを建て、一、二階別々に住むと今度は近過ぎて、家が建つまでの苦労や土地の提供や工費など負担等の金銭も含め、同居の“失望”が強調され、あの“鬼の心”も芽生え、メリットどころか親子の関係にまで響くデメリットともなるのです。
※前回記事「二世帯住宅は鬼の住み処か?」はこちら
同居には「真意」と「本意」のルールがあるのです
このように難しい同居の家を何軒も設計してきた私どもは同居のプランづくりにはある一定の法則があると思うのです。それこそ同居の「真意」とその「本意」です。「真意」と「本意」などと、まるで同じ意味合いの言葉のように思えるのですが、さにあらず、同居住宅の設計となるとこの両者には微妙な相違点が現われて来るのです。それこそ同居に対する「親の本音」と「子の本音」のそれぞれの「真意」があり、それこそ親の「老後不安」と子の「戸建て願望」であり、そしてさらに同居することの意義を互いがどのように捉えるかの「本意」があるのです。
つまりそれぞれの「真意」は、ご想像の通りで、互いに“異なる同居のメリット”を探ってわが身、わが暮らしのこれからと今の「得」を考えることなのです。これは親の家や土地の有効利用と言う点でもきわめて当然のことで、その「本意」とは、これからの少子高齢化の時代、社会保障の行方や医療費などの高負担がかさむであろうことと、さらに高齢者施設やケアの質の不安に対処できる同居です。これはますます増え続ける「空き家」にならない土地の有効活用のみならず、身内が共存すると言うきわめて安心感があるはずです。
「親の本音」「子の本音」を知る秘伝のゲーム?
こうした意義ある「本意」に反して、同居は依然として嫁姑問題などがあり、それが同居不安ともなっているのです。が、実は封建社会での先入観念であって現代は嫁姑が互いに“気を遣い過ぎる”のが同居不安の要因となっているのです。だからと言って同じ屋根の下に親子が別々に住む「二世帯住宅」などにすれば互いがもっと交流を密にしていない限り、かえって“意識が通い合って”近過ぎるがゆえの住みにくさ、あの“鬼”ともなりうるのです。その丁度良い距離関係こそ、住まいやすい同居プランなのです。
<イラスト1:同居の距離のマトリックスパターン・断面パターン(画:天野彰)>
そこで「親の本音」「子の本音」を探り出すことになるのですが・・・これがなかなか本音は語りたがらないのです。主には嫁と姑の「本音」なのですが、これがまた厄介なことにそのつれ合い、つまり父親と息子、つまり夫婦、親子は一つでなくまた夫婦も一つではないのです。
<イラスト2:同居形態パターン図のゲーム*複製転載禁止(画:天野彰)>
そこでわが“秘伝のゲーム”を行うのです。ゲームと言っても親夫婦、子夫婦の4者が別々に行うのです。こうして出た4者を合わせてたどり着く同居のパターン図の一番下の型を見いだすのです。
さて次回は理想の同居形態のプランとは?
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