住宅関連記事・ノウハウ
秘策!「二世帯“含み”住宅」
1 秘策!「二世帯“含み”住宅」
嫁姑の同居こそ文化と生産性が高い?!
“嫁姑こそ”あえてべったり同居する方が夫婦の生産性も高く、義母からはいろいろ学べ、孫には半世紀以上にもおよぶ生の情報と文化やマナーも伝えられると言う。しかも現代の共働き子夫婦にとっては子どもたちを親に託して安心して働け、親たちもその間、責任感が持てて生きがいも感じられると言う。
“積極的な”親子同居には生産性があり「同居“共働”住宅」となるのです。親子夫婦双方に役割と責任感もあり、多少の諍いがあっても解決も早く、かつての封建社会の嫁姑の確執とはまったく違うのです。
娘同居はあえて二世帯住宅に!
反対に“娘”夫婦とは、互いが甘えてべったりとなってしまいます。同居はせず、近くに住むか、あえてきっちり分けた「二世帯住宅にした方が良いようです。母娘なら二世帯で別々に住んでいてもしょっちゅう親の家に来て、親も疎外感もなく、しかも家計をきっちり分けられ、義理の息子すなわち“婿”の暮らしも気楽に過ごせるのです。娘の方は親の家に勝手に入って来て、親娘で喧嘩をしても“親娘だけに”すぐにやって来て関係は修復されるのです。
親子同居住宅のプランニングは夫婦2組ではなく親子夫婦4人の家!
最近は長寿で親夫婦はもとより祖父母も元気で四世代が一緒に住む例も多いのです。これを中国の故事で「四世同堂」と言い、「鶴は千年 亀は万年」のようにめでたいことなのです。しかし現代の住まいの設計は夫婦それぞれが意志を持ち、一組の夫婦が住む家でさえ双方の希望や意見がそれぞれ10通りずつあるとすると夫婦で10×10=100なんと100通りのプランができることになります。これが親子の同居となると親、子夫婦それぞれで100通りのプランとすると、なんと100×100 で1万通り!となるのです。親子夫婦4人の意見や希望を際限なく聞いて全員の要望に合ったプランなど出来ようはずもないのです。そこで、「二世帯住宅」となるのですが、ここで分けてはだめなのです。
改めて住む人を考えて見るのです。住まいのプランニングは数の合理性では解けないのです。夫婦や家族は1つではなく夫と妻1人ずつです。冷たいようですが、それぞれの行動momentと多くの思惑vectorを持っていて、それらを尊重し時間を読むと自然にプラとカタチが生まれてくるのです。物理的にシンプルな分子構造のように構築するのです。
これが私の設計手法で、難しそうですがなんてことはありません、嫁姑それぞれの生活行動とその想いをよく観て、聴いてこの2つが気ままに動きやすいようにプランをつくれば周りの家族は自然についてくるのです。しかもこれによって、同居に必要な手立ても見えてくるのです。
そこで秘策 同居の“安全弁”? 二世帯“含み”マジックドアです。
<イラスト:二世帯“含み”階段のマジックドアA開くと一体に、閉じると二世帯(画:天野彰)>
あえて二世帯住宅の良さを生かして親子の間にドアをもうけるのです。その仕組み、いや、仕掛け?とは、両世帯の階段を中心に中からも外からも使える階段とし、その階段に“マジックドア”なるドアを設けるのです。
<イラスト:「二世帯“含み”住宅」のプラン 階段に注視(画:天野彰)>
プランのように親子1、2階に階段で分かれていても、べったり同居の一つの家です。しかし、時には孫の友だちの集まりでうるさいときや、嫁の友人や家族が訪問するときはこのドアを閉めて“別の家”にするのです。主玄関と階段直結のサブの玄関があり、息子世帯が転勤などで居なくなる時はドアAを締め、カギを掛けて人に貸すことも可能なのです。(イラストは二世帯“含み”の一般的なプラン。階段の立体図のドアAがマジックドア)
こうして互いの夫婦のプライパシ―を守りながらも親子孫三世代が一体で平穏に住め、しかも昨今のように親子どちらかの体調の急変にも対処できるのです。
親子「共働住宅」として、少子高齢化社会を救う一助となり、老いるわが身わが国家を救うことになると思うのです。
2 狭い土地にも同居共働住宅?
今の超少子高齢化社会において常態化する、「預かり保育」そして「介護サービス」への不安に加え、今回の長引くコロナ禍によるリモートワークの普及などにより親の家に一緒に住んだり、親が子を誘って同居する必然性が増えて来た、かつて当たり前だった、サザエさんやコボちゃん(読売新聞連載漫画)の親・子・孫の三世代同居家族の良さに気が着いたからかも知れません。
活動的な親子“共働”生活の家とは?
実際に職場を求め都市に集中して、核家族となり共働きの家族が、今その企業に失望し?都市の高家賃から逃れ、かつての“さんちゃん”農業ならぬ親子共働きの、同居共働住宅の時代となり、改めて二世帯同居住宅の是か非の議論となっているのでしょう。
新たな時代の同居とは、べったり同居では生活時間や好みの異なる台所(K)をあえて二つ別々に設け、互いの寝室は極力遠ざけプライバシーの確保に努め、反対にリビングダイニングを広く取って、互いの交流ゾーンにするなど、二組の夫婦が一緒に暮らせるプランこそ、共働きの子夫婦と、それをサポートする親夫婦の、まさしく親子の“共働”生活で、活動的な新たな同居住宅となるのです。
狭い家でも「同居“共働”住宅」は可能!
こうした生産的かつ積極的な現代の同居は、はつらつとした親子の新しい感覚の同居スタイルで、しかもいずれ介護が必要となっても、安心して暮らせ、育児と在宅介護双方の本質的な福祉が可能となるのです。
<イラスト:16坪の同居“共働”住宅プラン(Su様邸、設計・画:天野彰)>
イラストのプランのように、わずか16坪の家でも「同居“共働”住宅」になるのです。この2階建てのSu邸は、親たちが長年住んできた貸家を親子で買い上げ、1階が親御さんの住まい、そのリビングは洋服の仕立ての作業場兼用となっています。しかしその狭い中に親御さんの六畳の和室と専用のキッチンと共同の浴室があるのです。
<写真左:玄関土間から1階は親、子は直通階段で2階へ 写真右:階段下に引き出し式収納(Ko様邸、設計:アトリエ4A)>
2階へのアクセスは互いのプライバシーを確保できるよう、玄関から直接上がれる階段があり、子夫婦の専用のキッチンと和室の寝室兼居間と孫たちの部屋もあるのです。総床面積16坪と狭いながらも、2つのキッチンとさらに上下2つのトイレ、親子が働ける作業場がある立派な「同居“共働”住宅」なのです。
親の家に住みたい?子と住みたい?
今にわかに、同居しようとする親と子夫婦が増えているようです。中にはマンションを購入したにもかかわらず処分するか、人に貸してまでも親と同居する例もあるのです。親の方もわが家をあっさり壊して同居住宅に建て替えると言うのです。一体どうしたのでしょう?
確かに、質は良くなったとは言え、マンションの住み心地は今ひとつなのか、子どもたちが大きくなって手狭か、あるいは犬を飼える庭が欲しいか?何より親の土地で自分たちの好みにあった家が建てられればそれに越したことはなく、親が元気なうちに資金援助を受けて建てれば?などと“ちゃっかり”子夫婦もいるようですが・・・。実際はもう少し現実的で、育児保育など不安な子育てをしながらの共働きのしにくさや、もう1人子供が欲しいなど子育て優先の想いがあるのです。高齢の親たちも要介護者が増え続けるなか、はたして老人施設など簡単に入所できるかどうか?肝心の扱いやサービスは?またその費用も心配で、最後まで本当に面倒を見てくれるかどうかも不安なのです?挙句の果て、施設の経営までも考えるのです。こうして親子双方ともに、心もとない育児制度や年金不安など、行政の頼りない潜在的不安があるようです。とにかく家に居てこそ、育児と在宅介護の本質的福祉サポートが可能となるのかも知れません。
関連記事
おすすめ特集
人気のある家をテーマ別にご紹介する特集記事です。建てる際のポイントや、知っておきたい注意点など、情報満載!