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住宅関連記事・ノウハウ

建築家 天野 彰 若い人に告ぐ(2)「老楽しく住む家」の暮らしとは?

○ 今回のポイント 1 大人の住まいづくり
○ 今回のポイント 2 リフォーム・ブームのきっかっけ
○ 今回のポイント 3 賃貸か持ち家か


やっと始まる「大人の住まいづくり」

わが国の住宅政策は長い間、「子育ての住まい」が基軸となっていました。

しかし、超高齢化社会となって、ようやく「大人の住まいづくり」の必要性を感じ始めたのです。が、今度はいきなりバリアフリー、それも老いた人の車いすの為の街づくりや家づくりの掛け声?と極めて短絡的です。

バリアフリーとはもともとはノーマライゼーションで始まり、お年寄りも障害のある人たちにも誰にでも分け隔てなく暮らせる街や家づくりの思想のはずで、それが現代のスマート・シティの発想でもあるはずです。

しかしそれがなぜかいきなり全自動のまさにAIにコントロールされるかのような5G?の街、“えせユートピア”のような発想となってしまいそうです。

憂えるべきはそのために本来の老いた日常の自分たち夫婦の身の回りの“小さなこと”を忘れがちとなってしまうことです。

リフォーム・ブームのきっかっけとは

では「大人の住まい」とはそもそもどういうことなのでしょう。

かつてのシステムキッチン・リフォームがブームを引き起こした団塊の世代の主婦たちを見てみましょう。ある日長年使い慣れたキッチンを見たら、そこは単に飯をつくるだけの流し台のある暗い台所に過ぎなかったことに気づき、やっと子どもたちから手が離れて自分の時間ができてみると、いかに殺風景なダイニングキッチンかが見えたのです。

そんな時、たまたま学生時代の友だちの家に誘われて行ってみると、古ぼけたかつての家が素晴らしくリフォームされて、そこには大人の女性?たちが愉しげに集い、あたかも子育てのままの自分に、“大人の家”?の暮らしぶりを見せつけられたように驚いたと言うのです

大きなショックを受け、その帰り展示場やシステムキッチンのショールームなどを覗いて見た・・・。これがキッチンを始めとするリフォーム・ブームを起こしたきっかけとも言われているのです。

しかし、それが果たして夢の“大人の暮らし”だったのでしょうか・・・?

気付いた「家の格式」?

一方、企業戦士だった夫たちは、定年退職後、まるで方向感覚を失ったイルカのように、毎日家でゴロゴロとしているばかり、時々訪れていた仲間たちも来ることもなく、おもちゃ箱をひっくり返したような「子育ての家」に居ながら、妻がキッチンを中心としたリフォームをしようとしたことを端に、家を見直してみる・・・。

すると今まで忘れていた「家の格式」がまったくなく、自分の居場所も楽しみもないことに気が付くのです。自身が育った家には、玄関を始めとして、床の間や床柱等のそれなりの家の格式があったものです。そこに季節の飾りも歴史もあり、父親の居場所もあったのです。それが「子育ての住まい」では、ただ学校が行う季節の行事としてだけで、まったく忘れられてきたことなのです。こうして改めて今の家を見てみるといかに空虚なものか!と初めて思えて来たとも言うのです。

見えてきた老いの生活の不安と愉しみ

こうしてはじめて、「三度の食事をつくるキッチン」から「愉のしむキッチン」へ、そして「子育て優先の住まい」から「格式のある住まい」へと「大人の住まい」の実現に大きく変わろうとしているのです。

しかしこうした「大人の住まい」のリフォームは案外高額になり、子育てが終って子どもたちが出て行けば、スペースも広く必要としなくなることも想像ができます。そこで今の家を思い切って壊し、自分たちだけの住まいに建て替えようか?また別のところにでも住み替えようか?などと迷いはじめ結局子育てのままの抜け殻のような家に住み続けることになるのです。

さらにこの先、老いの暮らしはどうなる?果たして子どもたちとの同居は?などなどと迷い始め心が千々に乱れると言うのです。

そこに急激に販路を見いだしたハウスメーカーや分譲住宅などのデベロッパーたちは子育てのままの洒落た3LDKの基本プランの規格住宅で、家の価値や格式とはまったくかけ離れた、ただ持ち家だけをテーマに千載一遇のチャンスとばかりに売り急いでいるのです。

あわてず騒がず賃貸か持ち家か?を含めわが未来を考える

ここでもうひと踏ん張り!も少し長いスパンで、わが老いた暮らし、ありうる災禍や世相の変化(前々回までのコラム)などを改めて想像し、同時に、親の方もわが子家族の将来、そして近いわが老いの生活の現実を見るのです。すると現実の暮らしの将来像が見えてくるのです。

すると、今の住まいを生かして、同居かあるいは賃貸併用かも見えてくるのです。

イラスト1:親と子の家族世帯の重ね時計、謙虚に人生80歳の例(画:天野彰
<イラスト1:親と子の家族世帯の重ね時計、謙虚に人生80歳の例(画:天野彰>

写真:二世帯でも賃貸でもいかなるケースに対応する家(設計アトリエ4A)
<写真:二世帯でも賃貸でもいかなるケースに対応する家(設計アトリエ4A)>

こうして初めて今の家を壊して建て替えるか、あるいは処分して住み替えるか?老いの生活とはいったいどこでどう暮らすか?も見えてくるのです。そこには住まいの現実的なすべて、家のカタチや間取り、さらにはトイレや水回り、手すりなどの安全対策、さらに暖房や照明、換気扇などのエネルギーや健康の必要策、そして非常時などの対応と、わが暮らしの“必要素”の詳細も見えてくるのです。

★隔週最新コラム公開中!

では次回はここでちょっと立ち止まって老いの暮らしの“必要素”?を考えてみたいものです。。


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お楽しみに♪

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
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