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活かすリフォーム②炉辺は住まいの原点か?
今私たちの住む住まいの周辺は急激な変化に包まれています。突如新型コロナウイルスに苛まれ、まだその収束も不確かなままで、今度は温暖化が起因とされる海水温の急激な上昇からか各地に線状降水帯の豪雨を引き起こし、果ては灼熱と干ばつ!それによる大火災を各地に引き起こしています…。
いったい私たちはどこにどのように住んだらよいのでしょうか?かつて人類創始の住まいは洞穴だったとも言われ、その穴に家族が集まり、住みにくくなれば他の洞穴を探す・・・?
1 『炉辺』それが住まいの原点
<イラスト:おなじみ炉辺式のおひとりさまキッチンテーブル(画:天野 彰)>
最近、ジャンボテ―ブルキッチンとかパーティシンクなどと言うキッチンが注目を浴びています。かつて台所の片隅にあったキッチンは子育てと共に、対面式キッチンとかカウンターテーブルなどがもてはやされましたが、近年少子高齢化が進み、今やLDKは大きな“K”は台所化し、そこに“皆”が寄って、たかって食事し会話をする。
<イラスト:家族が集まるLDKのジャンボテーブル(画:天野 彰)>
LDKは人類創始の炉端化し、“皆”とは家族ではなく友だちや近所人たちとなっているのです。考えてみれば人類創始の住まいこそ、もともとは洞窟の洞穴か、竪穴の小屋でその真ん中に焚き木をたく炉があり、その端に家族が寄り添い寝起きしたものです。そこは暖を取るだけではなく煮炊きし物を焼くキッチンでありダイニングでもあったのです。
皮肉なことに夫婦だけとなった現在の家はこのキッチンが住まいの中心となり“炉辺化”し、もはやLDKどころか家そのものが大きな“K”となっているのです。
2 『おひとりさまの炉辺』それは今・・・?
<写真:もはやスナックバーの炉辺式キッチン(設計:アトリエ4A)>
その夫婦もやがて夫も見送り「おひとりさま」となり、妻は今、この炉辺キッチンで腕を振るい楽しく暮らしている人も多いのです。そればかりか今までの炉端仲間が集まり、呼んだり呼ばれたりし、互いのジャンボテーブルやキッチンに集まり料理を学び教え合い、一緒に食べる。などの今までの夫婦や家族を超えた、新たな“団欒コミューン”が生まれようとしているのです。これは残された夫も同じです。
<参考写真:白川郷合掌造りの炉端、唯一の暖房兼台所(撮影:天野 彰)>
このように今までの住まいは全く違った住まい方となりキッチンスタイルとなっているのです。それこそが開かれたキッチン、開かれたLDKとなるのです。
まさにリビングはホテルのロビーとか、そこに本でも並べれば図書館の閲覧室のようにもなり近所の子どもたちに開放し、まさに社交の場ともなるのです。ここで少しでも腕や知識に自信があればそのまま塾ともなり、毎日が忙しいLDKとなるのです。
このLDKのテーブルこそ、まだ子育ての時期から家族みんなの学習机であり、食事の場としておけば子育てが終わった後もさらに「おひとりさま」の“社交のテーブル”となって、わが身とともに長―く“活きていく”のです。
「こんな楽しいテーブルとなるのなら、もっと早くにしとけば良かった!」などと、老いてリフォームをされた「おひとりさま」の主婦の言です。
次回、住まいは部屋「間」ではなく「場」です。お楽しみに。
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