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建築家 天野 彰 減築リフォーム 若い家族に庭付き住宅を

はじめに

端午の節句のゴールデンウイークが去って、いよいよ暑い夏に向かいます。気持ちの良い今こそ部屋の不要なものを片付け、できれば思いきって断捨離して風通しの良い家にしたい季節でもあります。

改めて最近の都市に住む子どもたちを見ますとマンションの最上階からエレベーターで降りて来ていきなりバスや電車で通学と、公園や住宅地の庭にたなびく鯉のぼりなど見るいとまもなく、端午など何処のことと寂しく思えるのは田舎育ちの筆者だからでしょうか?

減築は高齢化社会での暮らしと心の糧となる

土地付きの一戸建ての住まいの“パワー”は法制限以内なら今の家をどうにでもなり、子どもが出て行った後の夫婦だけの住まいなら自分たちの居住スペースを最小限にすれば、場所によっては余った部分を店舗や庭付きのアパートにだってできるのです。

このことは3、4LDKの広めのマンションでも同じで、夫婦だけのスペースに最小に狭め、空いた部屋を下宿のようにして、近所の大学の学生やインバウンドの留学生を預かっているケースもあるのです。プランによってはトイレだけを共用にして互いを区画して施錠もできるようにもできるのです。

こうして僅かばかりの収入にもなり、何よりも子育て中の世帯への助けともなるのです。まさに近くに人がいて寂しくもなく、次世代への貢献ともなり心の糧ともなるのです。

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減築で、街を、次世代の住まいを考える

以前お話したように減築は二階など現在使われていない部分を取り除き家を軽くすることで耐震強化が容易で、さらに住まいがコンパクトになれば、その分断熱など省エネ工事もしやすくなりこの先の居住スペースのグレードアップとなるのです。

何よりも高齢化社会の時代を考え、生活部分がすっきりとコンパクトになれば動きやすく、老いの生活に有利となり、さらに住む場所を図のように縦割りに最小に減築して余った土地を2LDKほどのアパートにして、若い家族に貸して老いの生活の糧にするばかりか、庭付きの子育て住まいにするのです。

老いて若い世代が同じ屋根の下に一緒に住んで居れば心強く、もしどちらかの容体が急変したり、災害時などいざとなったときも助かるのです。

イラスト:老いの住まいをコンパクトに減築、2LDKのアパートにする(画:筆者)(天野 彰)

イラスト:老いの住まいをコンパクトに減築、2LDKのアパートにする(画:筆者)(天野 彰)

減築は都市全体を縮めることも可能

せっかく都市に住むのならの都市の利便性を最大限に生かし。大きな冷蔵庫など置かず近所のコンビニを“巨大な冷蔵庫”と考えるなどコンパクトにして住み、それよりも若い人たちと積極的に接し“交流の場”をつくり新たなコミュニティーをつくることです。そう、大げさに云えば今の都市にあの白川郷の結(ゆい)を生みだすのです。

このコラムで何度もお話ししている減築は、老いて広さを必要としなくなった家を徹底的にコンパクトにして、それによって生まれるスペースを若い家族に貸して老いの生活の糧にすることはもとより、老いも若い世代も一緒に住んで居る心強さと、互いに助け合えることです。

賃貸「契約同居」減築リフォームで都市も減築

これは今都市にあるすべての戸建の家を壊さず柱だけのスケルトンにして新たな同居の家にするリフォームで、賃貸併用住宅とは呼ばない、“他人と住む”契約同居にすることです。

今、都市の住宅地に住む多くの高齢者たちは子どもたちが既に出て行った後でそのまま何もせずに住み続けていることです。なかには比較的広い敷地で大きな家に住んでいるケースも多いのです。言わば子どもたちの“遺留品”と一緒に住み続けていることです。

そしていずれどちらかが亡くなり一人暮らしとなってさらに“広く”なり、何もするすべもなく空家予備軍の街となっているのです。これらの家が今、減築リフォームでこの契約同居住宅にすれば、あらゆる都市に割安の庭付きの家が数多く生まれ、子どもたちが街に戻って来て、住宅街もシャッター街の商店も活性化するはずです。

イラスト:2LDKのアパートはまさしく賃貸「契約同居」プラン(画:天野 彰)写真:同じ屋根の下の庭付き賃貸同居住宅M邸(設計:画:天野 彰)写真:庭付き賃貸同居住宅K邸 今はお子さん家族が住む(設計:アトリエ4A)

イラスト:2LDKのアパートはまさしく賃貸「契約同居」プラン(画:天野 彰)写真:同じ屋根の下の庭付き賃貸同居住宅M邸(設計:画:天野 彰)写真:庭付き賃貸同居住宅K邸 今はお子さん家族が住む(設計:アトリエ4A)

減築で福祉住宅の福祉都市として医療福祉財政に寄与!

これによって都市は拡大することなく、子育てに危うい高額な高層住宅を建てることなく、今の都市に若い世代が庭付きの住宅に住むことになるのです。何よりも高齢者たちの近しい見守りもでき、反対に高齢者たちも子どもの世話や教育にも参加でき、まさにかつての長屋や寺子屋の“ご近所さんの町”に生まれ変わるのです。

しかし現実には、空家予備軍の家は新興デベロッパーの餌食となり、買い叩かれ、高額な建て売り住宅のオンパレードとなり一般の子育て世代にはとても住めない異様な街に変貌しているのです。

今こそ全国の自治体や国は野放しの街づくりの行政に気付き、国家戦略、防災戦略として、高齢者住宅を助成育成し、優先融資をし、若い世代に割安に住めるようにし、いずれ行政が収容すれば空家とはならないと思うのですが・・・読者の皆さんはいかが思われますか。

さて次回は減築で健康住宅にです。

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
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