住宅関連記事・ノウハウ
2026年7月27日(月)
お盆に家族で考えたい「実家のこれから」(前編)
データから考える、後悔しないマイホーム購入と住み替え
はじめに

ネクスト・アイズ早坂です。
お盆は、離れて暮らす家族が久しぶりに顔を合わせる貴重な機会。帰省してみると、「庭の手入れが以前より大変そう」「使っていない部屋が増えた」「買い物や通院に苦労している」など、電話だけでは分からない親の暮らしの変化に気づくことがあります。
一方で、自分たちも住宅購入や住み替えを考える年代になると、次のような疑問が浮かぶのではないでしょうか。
- ・いずれ実家を相続するなら、今は家を買わない方がいいのだろうか
- ・親が高齢になってきたのに、自分たちだけ住み替えてよいのだろうか
- ・実家を残すことは、親にも自分たちにも、本当に良い選択なのだろうか
こうした問題に、すべての家庭に当てはまる「たった一つの正解」はありません。大切なのは、親も子も元気なうちに、お互いの希望を少しずつ確認しておくことです。
本ガイドでは、SUUMOリサーチセンターの「50代・60代の住み替え実態調査」のデータを参考に、実家との向き合い方を分かりやすく解説します。
参考:SUUMOリサーチセンター「50代・60代の住み替え実態調査」(2026年6月9日公開)
詳細はこちら
今年のお盆は、「実家を受け継ぐか、手放すか」と急いで結論を出すのではなく、「これからどんな暮らしをしたいか」を家族で話し始めるきっかけにしてみませんか。
第1章:初めて住宅を購入する方へ
「いつか実家を相続するかも」と迷っているなら
1. 「実家を待つ」が、最適とは限らない
初めての住宅購入を考える際、「将来実家を相続するかもしれないから、今は手狭な賃貸で我慢しよう」と考える方は少なくありません。一見堅実ですが、相続の時期は自分たちでは決められません。親が現在60代であれば、実際に相続について考えるのは20~30年先になる可能性があります。その頃には自分自身も50代、60代。子どもが小さく広い家が必要な「今」を我慢し、子どもが独立した後に大きな実家を引き継ぐのでは、「住まいが必要な時期」と「手に入る時期」が合わなくなってしまいます。自分たちの住宅計画は、現在の家族構成や働き方を基準に考えることが大切です。
2. 親は必ずしも「子どもに住んでほしい」わけではない
調査データを見ると、親と子の「すれ違い」が浮き彫りになります。
- ・11.7%:死後、子どもに住まいを「引き継いでほしい・住んでほしい」と考える親の割合
- ・24.5%:自分の代で家を「整理したい」と考える親の割合
「親は実家を残したいはず」と思っていても、実際には「古い家で子どもを困らせたくない」「元気なうちに整理したい」と考えている親も多いのです。資産についても、親の24.2%が「一定額を子どもに残したい」と考える一方、「残してほしい」と望む子はわずか7.4%。お互いを思いやるからこそのギャップが存在しています。
3. 家の「変化(老朽化)」にも目を向ける
実家は思い出の詰まった大切な場所ですが、将来自分たちが住む前提であれば、現在の暮らしやすさもシビアに確認する必要があります。調査では、持ち家居住者の住生活満足度は「居住5年以内」が7.2点なのに対し、「35年以上」では5.8点まで低下しています。
- ・冬の浴室や廊下が寒い、夏場は2階が暑い
- ・室内の段差や急な階段が危険
- ・屋根や外壁、水回りの修繕時期が来ている
- ・庭や空き部屋の管理が負担になっている
帰省の際は「まだ住めるから大丈夫」と安心するだけでなく、親が無理をしていないか、将来改修にいくらかかるかという視点も持ちましょう。
4. 実家の将来と、自分たちの家づくりは「分けて」考える
自分たちの住宅購入については、以下の基準でフラットに検討してみましょう。
- ・子育てや教育に適した環境か
- ・通勤・通学を無理なく続けられるか
- ・毎月の住宅費を安定して支払えるか
- ・将来の家族構成の変化に対応できるか
- ・売却や賃貸など、次の選択肢を持てるか
その上で、親にはこう伝えてみてはいかがでしょうか。
「私たちは今の生活に合う場所で家を探そうと思っているよ。実家を継いでほしいと思っているのか、それとも別の考えがあるのか、今度ゆっくり聞かせてほしいな」
第2章:現在の家から住み替えを検討している方へ
自分たちの住み替えと、親の老後を一緒に考える
1. 親が望むのは「今の家に住み続けること」とは限らない
30代後半~40代は、自分たちの住み替えと親の老後という「二つの住まい」の課題が重なる時期です。遠方の親が車に乗れなくなったり、家の段差を苦にするようになったりすると、心配が増えてきます。「親は住み慣れた家を離れたくないはず」と思いがちですが、調査による親世代の「住み替え理由」の上位は以下の通りです。
- ・19.7%:定年退職や働き方の変化
- ・17.0%:自宅の老朽化に伴う建て替え・大規模修繕の必要性
- ・15.9%:買い物や病院などの生活利便施設が近い場所で暮らしたい
親も内心では「買い物や通院が便利な場所に住みたい」「家の管理から解放されたい」と思っているかもしれません。まずは親の気持ちを決めつけず、希望を聞くことから始めましょう。
2. 二世帯住宅や大規模リフォームは、費用と将来性をシビアに確認
実家を二世帯住宅にするのは近くで支え合える大きなメリットがありますが、慎重な検討も必要です。
- ・親子それぞれの生活時間やプライバシーを保てるか
- ・建築費や修繕費の負担割合、名義をどうするか
- ・相続人が複数いる場合、他の兄弟姉妹と合意できるか
- ・将来売却する場合、買い手を見つけやすいか(郊外の大きな二世帯住宅は売却しにくい傾向があります)
「一緒に暮らせば安心」という感情面だけでなく、維持費や税金を含めたトータルコストで比較することが重要です。
3. 程よい距離感を保つ「近居」という選択肢
同居だけでなく、親子が行き来しやすい距離に住む「近居」も有力です。子世帯が便利な場所へ住み替え、その周辺で親世帯もコンパクトな住まいを探すという方法です。
- ・買い物や通院がしやすくなる
- ・親の体調や生活の変化にすぐ気づける
- ・生活に干渉しすぎず、お互いのプライバシーを守れる
- ・親が元気なうちに、実家の整理を進められる
ただし、住み替えが親にとって幸せかどうかは、立地やお金だけでは決まりません。地域のつながりやかかりつけ医なども大切な要素です。まずは子世帯の近くの物件を一緒に見学してみるなど、段階を踏んで検討しましょう。
【後編へ続く】いざ実家の話をしようと思っても、「親を怒らせてしまわないか」と心配になる方も多いはず。続く後編では、お盆に実践したい「親とモメないコミュニケーション術」と、話し合いに役立つ「チェックリスト」をご紹介します。
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