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2025年4月1日(火)
相続税対策に?!賃貸併用住宅・二世帯住宅のすすめ
相続税対策!賃貸併用住宅・二世帯住宅

なぜ賃貸併用住宅や二世帯住宅が人気なのでしょうか?それは、今年度からの税制、特に相続税が事実上の増税になったことと、相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例である小規模宅地等の特例条件が緩和されたことにあります。昨年までは、小規模宅地等の特例要件適用について文言ひとつひとつが厳格で、宅地についての要件のほか、取得者(配偶者・子・親族)についても細かく定められておりました。重要なのは「同居の親族」の解釈で、たとえば二世帯住宅においても建物の構造によって同居と認められる場合と同居と認められていない場合がありました。
介護のために自宅を離れて老人ホームに入居していた場合でも、被相続人保有の宅地が「小規模宅地の特例」の適用となるかでトラブルになるケースもあり、それまで介護のために「同居」しており、親が老人ホームに入居した後も家屋に住んでいた子としては、現実問題として国税からケースバイケースで宅地の評価減を判断されてしまいます。最悪の場合、評価減がないまま相続することになることもあります。この評価額によっては子世帯の死活問題にもなりかねない重大な問題になりかねません。
今年度の税制改正において、小規模宅地等の特例要件適用が緩和され、消費税増税とあわせて、大きなトピックになりました。税制については、条件が緩和されることもある一方、小規模宅地等の特例要件適用が厳格化されたのは2010年と、毎年発表される次年度の税制改正大綱のもと緩和と厳格化が毎年のように変化することは否定できません。そして、消費税増税前というタイミングを受け、小規模宅地等の特例要件が適用される賃貸併用住宅や二世帯住宅に対し家を建てる計画をお持ちの方々の関心が集中してきています。
大半は節税対策で検討!二世帯住宅を建てるメリットとは

二世帯住宅のメリット
- 子世帯の共働き夫婦は、多忙な毎日、どうしても残業が必要な時に、親世帯にお子様を任せられることが安心
- 親世帯は孫と気軽に会えることができ、いざという時も直ぐに対処できるため安心
1番のメリットは相続

賃貸併用の場合のメリットは、家賃収入があるため、老後資金に宛てられることです。
読者の皆さまの中にも現在、相続の問題と向き合っていらっしゃる方がいるかもしれません。2013年度の税制改正により、相続税の基礎控除の引下げ等による相続税増税とともに、小規模宅地の見直しによる相続税の減税が盛り込まれたことはご存知の方も多いのではないでしょうか。
小規模宅地の見直しによる相続税減税対象のポイント

小規模宅地の特例における主な改正点
- 適用対象面積の拡大
- 居住用宅地の特例の限度面積が、昨年までの240m2から330m2に拡大
- 居住用宅地と事業用宅地の完全併用が認められた
被相続人の事業用宅地と居住用宅地の両方について小規模宅地特例の適用を受ける場合、昨年までは一定の調整計算のうえ、両方あわせて400m2までしか適用が認められませんでしたが、2013年度の税制改正では事業用宅地の限度面積400m2と居住用宅地の限度面積330m2をあわせた730m2まで完全に特例の適用が認められます。貸家の敷地等の貸付事業用宅地は、限度面積につき昨年同様の調整計算を行います。
上記の改正は、2015年1月1日以降の相続または遺贈につき適用されます。居住用宅地と事業用宅地の完全併用について、詳しくは弊社、もしくは税理士にお問い合わせ願います。
現在の法令を押さえよう!小規模宅地の見直し 相続税減税対象のポイント

居住用宅地の特例における適用要件の緩和
被相続人が老人ホームに入所していて空き家となった自宅敷地に係る小規模宅地特例の取扱いについて、被相続人の居住用宅地に係る小規模宅地特例の適用を受けるためには、その宅地が相続開始直前において被相続人が居住していた家屋の敷地であることが必要です。昨年までの国税当局の見解は、被相続人が自宅を空き家にして老人ホームに入居していた場合、その自宅の敷地がなお相続開始直前において被相続人が居住していた建物の敷地といえるかどうかについて、一定の要件を満たす場合以外は、原則、小規模宅地特例の適用対象とはならないというものでした。今年度につきましては、自宅であった家屋の敷地について、被相続人に対する介護が必要なため老人ホームに入所したことと、老人ホームへの入所前に居住していた家屋を貸付け等していないことの2つの要件を満たせば、居住用宅地の特例の適用を受けられるようになりました。
上記の改正は、2014年1月1日以降の相続または遺贈に適用されます。
先々の活用用途をあらかじめ考えておく

二世帯住宅を検討する場合には、先々の活用用途も同時に考えることが重要です。たとえば、転勤等の事情で二世帯住宅に親世帯または子世帯のいずれかが一世帯で住むことになった場合を想定してみましょう。
親世帯にせよ、子世帯にせよ、二世帯住宅に一世帯で住むには広すぎて、使わない部屋もできてしまいます。つまり、ローン負担が重くのしかかってくるだけでなく、日々の掃除やお手入れもたいへんです。解決策のひとつとして、一棟タイプの二世帯住宅でポピュラーになっているのが、長い目で見て可変性のある設計。ある程度の工事や配置がえは必要ですが、大がかりなリフォームをしなくても対応できるように設計時から工夫が必要です。
可変性のある設計のポイント
- 子どもの成長に合わせて部屋を分けられること。
- 二世帯である必要がなくなったら客間付きの家にできることなど
また、別棟タイプの二世帯住宅では、二世帯である必要がなくなったタイミングで1棟を賃貸住宅として貸せることがメリットのひとつ。賃貸の家賃収入でローン負担を少なくできる可能性もあるかもしれませんね。
将来の売却も検討課題のひとつとして考えておく

二世帯住宅に限らず、どんな住宅・建築物でも、建築時には最良の選択だと思っていても、自分自身や周辺の環境が大きく変わることも十分に考えられます。将来、経済的な理由など、何らかの理由で売却をしようと考えても、単世帯住宅をお探しの一般の方々には二世帯住宅は大きすぎます。キッチンやお風呂が複数あったとしても、買い手側がそのメリットは感じることはまれ。逆に二世帯住宅という大型の物件ならではの金額がデメリットになってしまい、たとえ売却を決意しても、そう簡単に購入してくれる人はなかなか見つかりません。
よって、特に一棟タイプの二世帯住宅を建てる時は、二世帯住宅ならではの使い勝手だけ考慮するのではなく、将来の建物本体価値をも考えながら設計することをおすすめします。将来の価値を下げないために長期優良住宅・低炭素住宅仕様にしておいた方が、一般の住宅よりも建物価値が下がる可能性も少なくより高い価格で売却できるかもしれませんね。
一方、別棟タイプの二世帯住宅は、考え方として単世帯住宅が並んでいるだけで大きさや設計が特殊なわけではありません。たとえば1棟だけ売却する、2棟とも売却して住み替えることなど、一棟タイプの二世帯住宅に比べて、将来への対応の幅は広いと言えます。昨年までデメリットのひとつだった相続税の小規模宅地等の特例についても緩和されていることから、一棟タイプ・別棟タイプの最大の差が現在では価格差になっています。建築時点でのイニシャルコストを優先するか、建築時点では高くなるものの将来のリスクに配慮して別棟にするか。親世帯・子世帯との関係も含めて、計画段階からしっかり考えておくといいでしょう。
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